トヨタ、東京ガス、大林組―こうした大手企業が現在、組織化・人材育成に着手している「ビジネスアーキテクト」は、経営と現場の間に立ち、部門を横断して全社最適の変革を推進する存在です。LTSは2025年12月、本社で「ビジネスアーキテクト」をテーマに勉強会を開催し、講義と企業変革の推進を担う実務者同士の意見・情報交換の場を設けました。
・プレスリリース:国内大手 7 社のデジタル変革人材リーダーが議論、ビジネスアーキテクト勉強会を開催しました(LTS 主催)~アドバンテスト・大林組・オリックス銀行・中外製薬・東京ガス・トヨタ自動車・リコーが参加~
大手7社、会社の枠を越え課題を共有
「役割の不在が課題になっている」「現場を巻き込む際の施策は」「人材の役割定義は」―。平日の午後、4つの班に分かれてテーブルを囲み、参加者同士でビジネスアーキテクト育成などの取り組み状況や意見が交わされました。初対面の緊張感はすぐに解け、共通した課題に向き合う仲間という意識が強くなっていきます。
今回、LTSが開催した「ビジネスアーキテクト勉強会」は、企業変革を担当する実務者が、所属や肩書を越えて率直に悩みや課題、意見などを語り合う場です。LTSが支援してきた国内大手7社(アドバンテスト・大林組・オリックス銀行・中外製薬・東京ガス・トヨタ自動車・リコー、五十音順)、約20名のビジネスアーキテクト、変革人材が集まりました。


最新動向を知る講演から開始
勉強会は二部構成で、第一部では「日本のビジネス変革人材の“これまで”と“これから” ~DSSビジネスアーキテクト検討の最新の状況を踏まえて~」をテーマに、経済産業省のタスクフォース主査を務めた山本政樹(LTS常務執行役員・CSO)が登壇。ビジネスアーキテクトがこれからどのように定義されるのかについて重きを置いて解説しました。
※DSS: Digital Skill Standardsの略。DX推進に必要な人材の能力を定義する指標。経済産業省が策定した「デジタルスキル標準」を指し、DX推進に必要な人材の能力定義(DXリテラシー・推進スキルなど)をまとめた指標。2026年春に改訂の見通し。(関連プレスリリース:LTS山本政樹が主査を務めた経済産業省タスクフォースが 「ビジネスアーキテクト」の人材定義を公開しました)
これまでも多くの外部セミナーなどで山本が語ってきたテーマですが、この日は参加者の“現在地”を考慮し、ビジネスアーキテクトのこれからの姿について重点を置いた内容となりました。



キャリア、制度、社内での動き方は
続く第二部のグループディスカッションでは、参加企業混成で4つの班に分かれディスカッションを行いました。LTS社員がファシリテーターとなり、「ビジネスアーキテクトのこれから」をテーマに、人材育成やキャリアパス、社内での役割、配属や振る舞い方、制度など多岐にわたるトピックについて、「現場経験のある人がITを学んで推進すると施策がうまく進めやすい」「スモールスタートでもまずは始めて成功体験を積むことも重要では」など企業の枠を越えた率直な意見が交わされました。


思考方法・ケースを共有
単なる情報収集にとどまらず、実務で使える思考方法や社内説明に有用なケースを参加者同士が持ち帰れることが、今回の勉強会の特徴の一つです。参加者アンケートからは、同業者との交流に高い価値を感じたという声が多く寄せられ、特に「学び」と「励み」に関するコメントが印象的でした。

他社からの学びは自社施策のヒント
国内では組織横断的な活動や人材育成が発展途上であり、ビジネスアーキテクトは孤独感を抱えやすい側面があります。多くの大手企業で「ビジネスアーキテクトが必要だ」という理解は徐々に進みつつある一方で、社内の理解や育成、キャリア・役割定義の制度化はまだ道半ばです。
アンケートからは、他社の担当者から取り組み事例や最新動向を直接聞けたことに対し、参加者が大きな価値を見出せたこと、社内でのビジネスアーキテクト育成や説明に役立てられること、また実務者同士の情報交換は、抽象的な議論を具体的な施策へ落とし込む手がかりとなったことが伺えました。他社の取り組みを自社の文脈で捉え直し、自社での昇華に繋げる糸口となるのです。
変革施策は長期目線で

企業変革に関わる人材育成や組織編成が難しいことの一つに、「取り組みを継続すること」が挙げられます。変革施策は成果が可視化されるまでに数年を要するためです。そのため、経営層の理解と支援が不可欠です。ここが上手くいかないと、思うような取り組みを進められず、また先行事例がなければ社内説明も難しくなります。
そんな中、同じ立場やミッションを担う実務者同士が率直に語り合える場は、継続の勇気と具体的な施策のヒントを与えます。大手企業の取り組みや制度整備の進展について情報が得られれば、経営層や社内説明の後押しにもなります。
社外コミュニティが企業変革を持続させる

ビジネスアーキテクトを組織に根付かせ、持続的な企業変革を実現するためには、その人材を守り、支える環境づくりが不可欠です。今回、参加いただいた方々は、企業変革を支えるだけではなく、日本のビジネスアーキテクトの役割確立、認知拡大を担う人材でもあります。
今回のようなコミュニティや情報交換の場が企業変革を前進させる力になります。さらに、2025年度末のDSS改訂といった国の動きは、経営層の理解を促進し、社内の役割定義やスキル要件、評価制度などの整備の後押しにもなるはずです。LTSは政府、企業、実務者といった多くのステークホルダーが企業変革人材の育成と定着を目指す、こうした取り組みの輪を広げ、社会的な認知向上・役割の確立にとどまらず、企業の持続的な経営と競争力獲得に寄与したいと考えています。
参考:講師/ファシリテーター紹介・サービスページ・関連書籍
講師
ディスカッションファシリテーター

2012年にLTSに入社。様々な企業の業務改革、業務分析・設計やIT構想・要求整理、基幹系システム刷新等、企業経営改善・改革に関る上流から下流まで幅広いプロジェクトに参画。また、事業環境調査や、新規事業企画/計画の策定案件等の戦略コンサルティング領域も経験。近年はマネジメントとして事業運営の他、これまでのノウハウを活用した人材育成事業の強化・推進に従事。(2025年5月時点)

ITコンサルティング会社、食品製造業での工場責任者・経営参画の経験を経て、LTSに入社。製造業を中心に、経営計画立案から業務構造改革、プロセス改善、システム導入、KPI運用まで、幅広い領域をカバー。経営戦略と現場業務、IT実装をつなぐ視点から、実行力のある変革の実現を強みとする。(2026年2月時点)
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