23年に早稲田大学を卒業し、LTSに入社。入社後からデータサイエンスの領域に足を踏み入れ、現在は製造業における大規模言語モデルの活用支援や、不動産業におけるデータ活用支援を行っている。(2024年1月時点)
各チームのアウトプット概要
Team1
Team name : JVF
Product name : RESister
LTS menber:舟山雄太さん(Strategy Design & Activate事業部) 志藤春樹さん(Cloud Integration事業部)
新しく社員が入社した時に知りたい就業規則や福利厚生、施設・設備情報などを回答するchatbotプロダクトとそれら自体の開発を容易にするフレームワークを設計しました。また、簡便なインターフェースを増やすため、Discord上で利用できる機能を開発しました。さらに、多くの企業ドメインで活用できるためプライベート環境に構築し、セキュアなプロダクトの開発を目指しました。
Team2
Team name : Fusion Frontiers
Product name : Knowledge X
LTS member:井上翔太さん(Strategy Design & Activate事業部) 角谷あおい(Strategy Design & Activate事業部)
「非構造化データからの知識を抽出し活用するためのプロダクト」をテーマとしたプロダクトを開発しました。RAG(Retriever-Augmented Generation)のアーキテクチャは、LLMが企業内の最新かつドメイン固有の情報に基づいて質問に回答できるようにすることを目的としています。しかし、実際の企業の文書にはPDFやPPT形式で図や表が存在しており、このような情報をRAG向けのVectorDBに取り込むことが課題となっています。さらに、これらの情報を意味のある塊にセグメント化することは非常に難しく、製造業のお客様は技術文書や取扱説明書、トラブルシューティングガイドなどに埋め込まれた知識の活用に苦労しています。
このような課題を解決すべく、PDFやPPTのような非構造化データソースを、構造化された解釈可能なフォーマットに変換する方法を検討しました。1つのアプローチでは、マルチモーダルモデル(言語と視覚の組み合わせ)を使用して画像をテキストに変換します。さらに、コンテンツを再解釈し、意味のある形式で保存します。
そして、このコンセプトを体現するために、製造業におけるトラブルシューティングガイドをデータソースとしてデモを作成しました。マニュアルには図や表が豊富に含まれているため、我々のマルチモーダルモデル(Language & Vision)の有効性が活かされました。
Team3
Team name : YenDongTech
Product name : SMILE
LTS menber:田原幹久さん(Strategy Design & Activate事業部) 吉田晴貴さん(Strategy Design & Activate事業部)
一般企業の若手リサーチャー向けに、投資判断を行うための資料作成に必要な情報収集を、チャットbotスタイルでサポートするアプリケーション「SMILE(Smart Investment Leading Application)」を作成しました。
金融領域のデータが膨大になる一方、金融データソースはフォーマットが統一されておらず、金融情報を集める際の障害になっています。調査業務を担う若手リサーチャーにとって情報の多さ、収集データの信頼性、金融知識の不足による情報の要約・解釈の難しさといったペインを解決し、迅速で正確な意思決定をサポートするアプリにはニーズがあると考えました。アプリの特徴は、以下の4点です。
機能1:WebAPIを連携させた特定企業の特定の金融および財務情報の簡易収集機能
機能2:収集した情報から必要な情報を抽出する機能
機能3:収集した情報から必要な要約および情報を解釈する機能
機能4:複数企業の上記抽出・要約・解釈した情報を比較できる機能
Team4
Team name : weloveporkcurryrice
Product name : LLMed
LTS menber:坂口昌幸さん(Cloud Integration事業部)曽根原奎斗さん(Transformation Consulting事業部)
医師・薬剤師向けに、診断と処方を効率化するアプリを開発しました。日本と同様に、ベトナムでも少子高齢化とそれ伴う地方での医師不足が問題になっています。これに対応すべく、医師・薬剤師が診断・処方を効率化することを目指しています。
診察でヒアリングした症状や、病歴、家族の病歴、アレルギー情報等を入力すると、アプリが可能性の高い病名や対応する処方薬、処方薬同士に併用禁忌等が無いかを提案します。
参加メンバーの振り返り
ハッカソンには事業部・年次・普段の役割などが異なる、様々なメンバーが参加しました。参加メンバーに振り返ってもらいました。
学びや気付きについて教えてください!
ベトナムメンバーの多くは高いエンジニアリング能力を持ち、先進的な技術に精通しています。そのため、技術的好奇心をベースに議論することが楽しいと感じる瞬間が多々ありました。私の目的はハッカソン終了後に日本のAI案件を協働できる関係性や相互理解を作ることでした。その点で十分に得るものがあった感じることができました。一方で、プロダクトの機能開発に集中してしまい、説明が難しい部分を後ろ倒しにしてしまうことは、プロジェクトチームを組成する際の注意点だと改めて気づくこともできました。(舟山さん)
ビジネス上の課題を捉える力と、技術に対する深い理解の両方が重要であることを学びました。近年、LLMが典型的ですが、非常に高度な処理を実行できる、使えそうな技術があふれています。しかし、そうした技術を継ぎ接ぎに繋げたところで、顧客の課題を本質的に解決するわけではありません。また、ビジネス課題は特定できても、限られた時間で動かせるものを設計し実装できないと、経営陣に説得力を持ってプロダクトの価値を示すことができません。ハッカソンでは、ビジネスと技術の両方ができる人財の価値の高さを非常に感じました。(井上さん)
世界で戦っているエンジニアと共同でプロダクトを作るという経験は、世界のレベルを肌で実感させてくれました。実装の質もスピードも高いレベルにあり、質やスピードをコントロールしながらビジネス的価値を創出していくことがいかに重要であるか、特に実感したところです。難易度は高いもののコンサルタントとして身につけなければならないスキルだと痛感しました。
普段コンサルタントとエンジニアの両軸で働く身として、エンジニア特化で開発を行ってきた方々との目的意識の違いにも直面しました。「エンジニアはこう考える」「顧客はこう考える」ことを橋渡しできるようにならなければならないと身に染みたのも貴重な経験です。(田原さん)
さらに、FPTメンバーの普段からの圧倒的なアウトプットの量に驚きました。入社2年目のメンバーの個人のGitHubを見る機会がありました。大小合わせ既に60以上のリポジトリーを持っており、彼・彼女らの高い技術力は、様々なアウトプットを短期間で大量に作る経験に裏付けされたものであることが分かりました。(坂口さん)
難しく感じた点はありますか?
国籍・得意領域と参加者はそれぞれ異なるバックグラウンドを持っています。そのため、フラットな関係で仕事を進めること、考えていることや実現したいことの擦り合わせは非常に困難でした。しかし、根気強くコンセプトを擦り合わせ共通の認識が生まれた後は、それぞれが得意領域で自律的に仕事を進め、非常に生産性の高い仕事ができました。(井上さん)
英語でのコミュニケーションにも苦労しました。日本語でも難しい議論を英語で行う必要があり、LTS側とFPT側、双方に認識のズレはないか、気になるところはくどくても確認するようにしました。それでも、プロダクト開発にはビジネス面・技術面で深い思考や知識が必要で、時間内にできること、やるべきことの認識に差が生まれることは多々ありました。(吉田さん)
原因の一つは、エンジニア志向とビジネス志向での違いです。ハッカソンという限られた時間の中でプロダクトを作る際、エンジニアが多い条件ではプロダクトアウトになってしまいます。やはりアイデア出しの際に「どうしても自分たちの技術を用いてこういったものが作りたい」という思考になってしまい、社会課題に対して演繹的に考えることが疎かになったことがあったようです。とは言え、最終的には社会ニーズとすり合わせることで形にすることができました。(坂口さん)
今後の意気込みを教えてください!
基本的にはベトナムチームとの共同での研究、プロダクト開発、案件遂行の実現が私の目標です。ぜひ今後も積極的に機会を作っていきたいと思います。(舟山さん)
英語のコミュニケーションで悔しい思いをしないように、1年後、2年後を念頭に英語力を日々高めていきます。また、FTPメンバーの技術力の高さは衝撃でした。自分が現在、業務でおこなっている技術だけではなく、フルスタックに高い技術が身につけられるようにしていきたい。(志藤さん)
FPTメンバーは、AI技術だけでなく、フロント/バックエンド問わずアプリ実装に幅広い知見を持っています。コミュニケーション能力が高く、人柄は楽しく、かつ優秀な人たちです。(曽根原さん)
今回、高いレベルを目の当たりにしたことで、自分のモチベーションをさらに上げることができました。(角谷)
FPTとの連携をより深め、実業務でも一緒に仕事をしてみたいなと考えています。(曽根原さん)
リアル・プロブレムを解決するための、さらに質の高いアウトプットが出せるようにこれからも頑張ります!(角谷)