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NGOを目指してコンサルタントをファーストキャリアに アジアに公正で平和な社会を

このシリーズでは、LTSを卒業したメンバーにお話を伺います。
第6回はLTS卒業後、認定NGO法人 アジア・コミュニティ・センター21(以下、ACC21)で広報を担当する辻本 紀子さんにインタビューしました。NGOでの活動を見据えてLTSに入社し、どのような経験をされたのでしょうか。
辻本 紀子(認定NGO法人 アジア・コミュニティ・センター21(ACC21) 広報、フィリピン事業担当)

一橋大学社会学部卒。大学時代に国際協力に関心を持ち、国際 NGO の広報インターンや東南アジアでの短期ボランティアを経験。LTSで3年間の勤務した後、2011年にACC21に入職し、以来広報を担当。ほかに、アジアで活動する現地・日本のNGOに資金助成を行う公益信託の事務局業務やフィリピンでのストリートチルドレン支援事業にも携わる。(2022年8月時点)

大井 悠(LTS ビジネスアナリスト/マネージャー)

ビジネスアナリシス領域に強みを持ち、多数の業務プロセスに関わるプロジェクトに従事。自社の業務変革の企画・遂行にも従事している。(2021年6月時点)  ⇒プロフィールの詳細はこちら

キャリアの通過点としてのLTS

大井
大井

この度はインタビューをお受けいただきありがとうございます。
FacebookなどでACC21の活動をされているのは存じ上げています。

辻本
辻本

ありがとうございます。

久しぶりにお話ができて嬉しいです。よろしくお願いします。

大井
大井

LTSに2008年に新卒一期生として入社して2011年まで在籍されていましたね。
入社の理由は何だったんですか?

辻本
辻本

はい。大学で国際協力・途上国開発などを勉強していて、将来はNGOで働きたいと思っていました。
ただ、当時学部生は卒業してすぐNGOには入らず、民間企業を経験するのが一般的でした。

辻本
辻本

なので、できるだけ早く多くのことを経験したかったというのと、NGOの組織設計をコンサルタントの方がやっているというお話も聞いたことがあったので、コンサルなら汎用スキルを習得できると思いました。

対談中の様子

お客様のカウンターは自分だけ、がモチベーションに

大井
大井

LTSでは、どのような業務にアサインされていたんですか?

辻本
辻本

大企業の基幹システムの導入支援、展開支援、など様々な案件を経験させていただきました。
お客様先に1人で常駐していることが多く、チームでというよりはお客様と伴走している感じでした。

大井
大井

入社年次が浅い中で、1人でお客様先に常駐するのは大変だったと思いますが、いかがですか?

辻本
辻本

そうですね、同期と会う機会もなく、社内のメンバーが何をしているのかも分からず(笑)。
LTSの人の仕事のやり方を見ないで仕事をしていたので、大丈夫かなとは思っていました。

辻本
辻本

ただ、上司を含め皆さん困った時にはすぐにレスポンスをくださったり、時には足を運んでくださったりと十分にサポートはしていただいたかなと思います。

大井
大井

プロジェクトの進め方など、仕事のやり方はどのように学ばれたのですか?

辻本
辻本

お客様の仕事を見て学ぶところは多かったかもしれないです。
専門知識を持っていらっしゃる方もいて、多くのことを学ばせていただきました。

辻本
辻本

孤独な気持ちはありつつ、お客様とやり取りをしているのは自分しかいないので、契約回りもすべて経験しました。
自分がやらなきゃいけないということがモチベーションになっていたように思います。

企業の中で働くこととNGOで働くこと、そのギャップに驚き

Asian Community Center 21 (ACC21)
ACC21は、アジア各国の100を超える現地NGOとのネットワークを基盤に、2005年からアジアの貧困削減や公正な社会の実現に取り組む国際協力NGOです。路上で暮らす子ども・若者の支援(フィリピン)、日韓みらい若者支援、貧しい農村女性の支援(スリランカ)などに取り組んでいます。
大井
大井

ACC21に入られて、LTSでの経験はどのように活かせていますか?

辻本
辻本

NGOでは、基本的に一人の人が担当する範囲がとても広く、自分一人で複数のタスクのスケジュールを含めた計画作成などを進めていかねばなりません。

辻本
辻本

基本的な仕事の仕方はもちろん、期待値のコントロールといったソフトスキルや、
Excelやパワーポイントの活用といったハードスキルも役に立っています。

ACC21での広報業務の様子(辻本さん提供)
大井
大井

NGOと企業では仕事に対するスタンスが違うように思いますが、いかがですか?

辻本
辻本

そうですね。
NGOと企業の一般的な違いでもありますが、売り上げが一番ではなく、相手の役に立ちたい気持ちや、理念に向かって物事を進めることが仕事なので、その違いに慣れるまでには時間がかかりました。

辻本
辻本

費用対効果では測れないものがある…という価値観に、かなりの驚きやギャップを感じていました。

辻本
辻本

「よりよいことをする」が目的なので、スケジュールや予算を覆してでもそれを優先する。
コンサルは枠組みの中でできる最大のことをする、なので、初めはそれがフラストレーションに感じることもありました。

助成金だけではなく、人・情報・制度の整備まで

大井
大井

ACC21は11年目とのことですが、これまでどのようなことをされてきたんですか?

辻本
辻本

入ってから3年間は、Webコンテンツを更新したり発行物を刊行したりといった広報業務を担当していました。ほかに、現地NGOの行う事業に資金助成を行う公益信託の事務局業務で、カンボジアを担当しました。

辻本
辻本

3年目以降は広報業務を続けながら、その後産育休をはさみ、現在はフィリピンのプロジェクトを担当しています。

大井
大井

そうなんですね。
各プロジェクトではどのようなことをされているんですか?

辻本
辻本

公益信託の事務局業務では、日本の寄付者と、アジアの現地で支援を必要とする人たちの橋渡しをするのが仕事です。現地の有意義な事業を発掘し、日本でいただいたご寄付が現地で有効に活用されているのかモニタリングをし、レポートします。

辻本
辻本

ACC21では、単に資金を現地に送るだけではなく、人と人のつながりや協力関係をつくり、知識や情報を共有し、必要なら政策・制度の変革を訴え、人材を育成するという考えで活動に取り組んでいます。

辻本
辻本

なので、現地NGOと協働のプロジェクトにも力を入れていて、それが現在担当しているフィリピンのプロジェクトです。
路上で暮らす若者たちが、職業技術を身につけて路上生活から抜け出せるように自立を支援しています。

辻本
辻本

事業は現地で行われていますが、資金を送るだけではなく、事業の計画から細かなトレーニングの内容まで、現地の団体と協力して検討・作成し進めています。

フィリピン訪問時の様子①(辻本さん提供)
大井
大井

コロナの影響もあったのかなと思っていますが、どうでしたか?

辻本
辻本

そうですね。
フィリピンのプロジェクトについては、そもそもコロナで国の経済状況が悪化し、せっかくトレーニングを受けて就職した若者たちが解雇されてしまい…。ほかにもトレーニング会場が一時閉鎖になるなど、事業に影響が出ています。

辻本
辻本

一方で、オンラインでのやりとりが活発化したことで、現地の状況を頻繁に確認できるようになったり、若者にオンラインでインタビューできたりしているという側面もあります。

また、現在では、就職以外の選択肢として、路上で小さなビジネスを始めるための支援にも力を入れるなど、柔軟に対応しています。

社会がより良くなるための行動のきっかけを作りたい

大井
大井

学生時代もNGO活動をされていたと伺っていますが、実際に入ってどうですか?

辻本
辻本

NGOと一口に言っても、いろんな活動のやり方があります。現地に駐在員を送ってプロジェクトを進めたり、現地のNGOと協力したり、日本では広報を主に担ったり…。

辻本
辻本

広報や資金調達に興味があったものの、現地のことを知らないまま、広報をすることには限界を感じていました。
なので、今の職場では、広報を担当しつつ、実際に現地の方と活動をできている点はとてもいいなと感じています。

辻本
辻本

もともと自分自身が持っている問題意識として、もっと日本の人に活動や現地の状況を知っていただき、寄付などの小さなアクションに繋げる機会を増やしたいと思っています。
社会がより良くなるための行動が増えたら良いなという想いのもと広報をやってきましたが、十分にやりきれていない感じはしています。

大井
大井

そうなんですね。
ご自身の課題に対してどのように向き合っていくか、難しいですね。

辻本
辻本

少しでも力をつけたいと思い、最近ファンドレイズ(資金調達)の資格(認定ファンドレイザー®)を取ったんです。
久しぶりに仕事に関して勉強の時間が取れたので、それを今の活動や社会に還元できないかなと考えています。

辻本
辻本

オンラインというやり方に、世代を超えたいろんな人が慣れている状況は追い風だと思うので、より多くの人に活動を知ってもらえるように引き続き尽力していきたいです。

「やりたいこと」をオープンにできる、稀有な環境を大切に

大井
大井

LTSのメンバーや、これからコンサルティング会社へ入社する人へのアドバイスをいただけますか?

辻本
辻本

LTSでの経験があって、本当に良かったと思っています。
みんな忙しそうでしたが、相談したいと言うとすぐに時間を作ってくれて足を運んでくれて、嫌な顔をされることは一度もありませんでした。
外から見ると、その環境自体が稀有で良いものだと改めて思います。

辻本
辻本

NGOにはいろんな規模の団体がありますが、基本的には一人でさまざまな業務ができるということが重要だと思います。
LTSだけではない、お客様の仕事のやり方も学べたので、とても感謝しています。

大井
大井

LTSには、辻本さんのように別のことがやりたくて入社しているメンバーも多くいます。
そしてその「やりたいこと」をみんなオープンにしています。

辻本
辻本

いいことですね。LTSの人の好さや信頼できるという点で、とてもいい環境だと思っています。
その環境はとても貴重ですし、その環境にいられるのは良いことだと思うのでぜひ大切にしてほしいです。

大井
大井

ありがとうございました。

辻本
辻本

最後に、みなさんおうちに「書き損じはがき」や「使用済みの切手」、外国の通貨などは無いでしょうか?
お金に換えて、困難な状況にある女性や子どもたちの支援のために活用できます。
詳細はこちらからどうぞ。お待ちしています。

大井
大井

私も探してみます!

フィリピン訪問時の様子②(辻本さん提供)

ライター

大山 あゆみ(LTS コンサルタント)

自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)