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デジタルテクノロジー

上流から実装・運用まで LTSのAWS構築・アプリ開発

クラウドの選択肢として耳にするAWSですが、エンジニアリングに関わる人以外は具体的な活用シーンや、どのように事業改題解決に役立っているのか?といった事例までを知る機会は少ないのではないでしょうか。今回はLTSのCloud Integration事業部に所属するエンジニアリングサービスのリーダーが経験した事例を通じて、AWSなどクラウド構築やアプリ開発でどのような課題解決ができるのか?を聞いてみました。

LTSのIT開発サービスを担うCloud Integration事業部

CI(Cloud Integration)事業部は、お客様のデジタルシフトを支援するクラウドインテグレーション業務と、LTSグループで展開するサービスの開発・運用を行う自社開発業務を行っています。

技術が好きで学ぶ意欲が高く、チームや社会のために奔走できる、そんなメンバーが集まっています。「作って終わり」ではなく、依頼者やユーザーに寄り添い、あるべき未来を一緒に考えながら伴走するLTSマインドはCI事業部にも底流しています。

業務支援ツールからAIを実務利用するアプリ開発まで、エンジニアリーダー3人の経験を紹介

LTSにはコンサルティングとの並走でサービス提供を担う職種として、主にIT開発を担う「ITエンジニア職」と、IT運用を支援する「ITサービス職」があります。今回は、CI事業部に所属する若手ITエンジニア職のリーダー3名に、最近のプロジェクト経験やAWSなど活用しているクラウドサービスについて解説してもらいました。


大手アパレル勤務からのキャリアチェンジを経て、LTSでエンジニアのキャリアをスタートして経験を重ねている品川直輝さんから、クラウドベースのシステム開発事例を紹介します。

品川 直輝(LTS エンジニア)

LTS入社後、数々のWEBシステム開発において、フロントエンド、バックエンド、データベース問わず、フルスタックで開発を担当。特定技術だけでなく積極的なモダン技術の活用や、テスト駆動開発、CI/CDを推進し、開発の効率化やシステム品質管理の役割を担う。

タブレットに最適化したUI実装により病院勤務スタッフの業務課題を解消

入院患者向けにレンタルや日用品の販売、院内のコンビニ運営などをしている医療サービス事業者様に、病院患者向け備品レンタル支援システムを構築しました。

入院患者が契約しているタオルや着替えなどのレンタル品を管理するシステムで、病院勤務スタッフが、どの部屋の誰にどのレンタル品を持っていく必要があるのか、という管理業務をフォローするようなシステムです。

システム化以前は、人手で管理されており、手間がかかる等多くの課題が発生していました。LTSのコンサルタントチームで業務課題を分析した上で新業務を設計し、その業務を支えるシステムをエンジニアチームがAWS基盤上で開発しました。

―――工夫した点や効果などを教えてください。

主なユーザである病院勤務スタッフの勤務環境やリテラシーを考慮し、タブレットに最適化されたUIを実装することで、入力業務・チェック業務を大幅に効率化した他、多くの業務課題を解消することができました。現在は、30程の病院に導入されています。

エンジニアリングサービス本格開始した2018年にキャリアチェンジを経てLTSに入社した品川さん

紙の地図からAWS基盤上で動くマップへ、各種情報・分析機能を実装

トヨタユナイテッド静岡株式会社(旧:静岡トヨペット)様は、 トヨタ車の販売・整備の他、地域コミュニティと密着した活動を展開しています。経営企画室向けに、各店舗が持っている顧客分布を統計情報と照らし合わせて地理的情報として表示することで、次の店舗出店や出店の統廃合の判断基準になるような、地図情報活用システムをAWS基盤上で構築しました。

――システム化したことで、どのような変化がありましたか?

システム化以前は、大きな紙に地図を印刷して検討するような業務でしたが、バッググランドで顧客データや国勢調査データと連携することにより、各種ヒートマップ上に、入庫頻度、購買車種、サービス利用等で層別された顧客を表示する顧客分布の分析機能を実現しています。

オンプレミスからAWS化、システム機能統合も含めた顧客管理システムの次世代化

現在、お客様社内オンプレミス環境で稼働している顧客管理システムについて、大量データ処理に時間がかかる、業務との乖離や機能不足などの問題が発生している状況であったため、顧客管理・イベント管理・購買履歴や集客の機能も含めた次世代システムへのリニューアルを担当しています。

従来は複数システムかつ様々な環境で稼働していたものを、すべてAWSで構築することで、初期投資を抑えつつ、事業規模の変動に耐えうる柔軟なインフラ選択を可能にすることが的のひとつです。分析業務などにも対応するため、大量データによる検索性も重視しています。

上流の要件定義からLTSのコンサルタントチームが対応しており、設計開発のフェーズから私がPMとして参加しているプロジェクトです。まさにワンストップ、一貫してLTSが相談・依頼先になるため、スピーディかつ柔軟に課題や要望に対応できていると思います。


次は、2019年新卒入社のエンジニアでAWS認定資格を全て保持している坂口昌幸さん(AWSのプログラムで表彰されました)から、花王様の事例を紹介します。

坂口 昌幸(LTS エンジニア)

LTS入社後は、インフラをメインにバックエンド開発やインフラの設計・構築・実装_運用を担当。サーバレスアーキテクチャやIaC(Infrastructure as Code)を用いた開発、pythonを使用したスクリプトの作成なども行なっている。2023年10月にベトナムFPT-AIC×LTSで行われたLLMのハッカソンでは3位入賞。

花王様向けAI自動棚割りアルゴリズムをAWS上で業務アプリ化、運用コスト最適化を実現

花王様向けに、LTSデータ分析チームでAI棚割り生成アルゴリズムを開発しました。そのアルゴリズムをユーザが使うためアプリケーションと接続するインターフェースと、アプリケーションのインフラストラクチャーをLTSのエンジニアチームで開発しました。

棚割を生成する最適化AIアルゴリズムの定期的な改善は引き続きデータ分析チームで進めており、バージョンアップ時のメンテナンス対応等は、データバリデーションをインフラ側で実施する必要があるため、エンジニアチームで実施しています。

最適化問題を解くアルゴリズムは計算負荷が大きいため、最適化モデルを解くのに特化したSaaSを利用していて、起動・停止等の指示を出すスケーリングの調整をしています。このあたりを適切に運用するのにAWSのスキルや知識が必要になってきます。

2023 Japan AWS All Certifications EngineersとしてAWSから表彰経験のある坂口さん

―――AIのアルゴリズム開発から業務側のアプリ実装まで一貫して構築して、定期的なメンテナンスと常時最適なインフラやサービスを使用できているからこそ、成果を出し続けられるということですね。

アルゴリズムの開発・データ構造パイプライン・アプリ開発までLTS内で完結するため、コミュニケーション面だけでなく、融通を利かせながら連携をして効率的な運用ができています。お客様から見ても、相談先が一つという点は何でも気兼ねなく言える関係という理念になっていると思います。


LTSリンクのプラットフォーム運営をリードする田中さんは、お客様向けのIT課題解決のサービスも提供しています。

田中 遥介(LTS エンジニア)

LTS入社以降、クラウドプラットフォームの開発・運用に従事。クラウドアーキテクチャやコンテナ技術に詳しく、最新の技術トレンドを常に取り入れてビジネス価値を向上。DevOpsを推進し、チーム間の開発と運用の協力を促進。

自社のWebサービス運営で機能改善やチーミングの進化を経験できる

LTSリンクのエンジニアチームは、AWS基盤上でRuby on RailsのWebサービスを構築し、運用している他、バックグラウンドは決済サービス、SFDC社のCRM、MAサービスとインテグレーションされ、データサイエンティストによるデータ分析基盤も整備されています。アジャイル開発を採用し、ユーザニーズに合わせた機能改善、追加を継続的に行っています。

―――継続的にご支援する中で、印象に残っている事はありますか?

画面表示の処理速度が年々落ちているところがあったので、SQLのチューニングやインフラのパフォーマンスのチェック、画面表示ロジックを見直して、最大で30秒、平均で3秒のパフォーマンスを向上することができました。

また別のシステムでは、4~5名の体制で運用しており、インフラを理解している人に業務が属人化していました。その方が退職することになったため、インフラメンバーが常駐しなくてもアプリメンバーだけで定常改善活動ができるようにCI/CDの不具合を解消し、開発・自動テスト・本番デプロイの一連の流れがスムーズになるように改善することで1~2名の体制で運用が回るようにしました。人件費削減の面でもインパクトがあったと思います。

LTSリンクのプラットフォームサービスを支えつつ顧客向けサービスでも活躍する田中さん

多数のAWSサービスを連携、SNSデータの解析アプリをSaaSから内製へ

決済プラットフォーム事業を軸に新規事業開発やマーケティングなどをされている企業向けに、SNSのクリック数やインプレッション数などの外部データを、抽出・加工してTableauで可視化するためのアプリケーション開発のご支援をしています。

ユーザ企業ではもともと外部のSaaSを利用していましたが、利用料金が高いため内製化で開発をしました。現在はその後の運用フェーズで、LTSとしてのミッションはTableauまで安定したデータパイプラインを通すことです。

多くのAWSサービスを活用しているので、数珠つなぎとなっているシステム間の調整が必要です。今までのプロジェクトで前例がないような大量のマネージドサービスを使っているため、ノウハウも乏しい分野です。また、当時の担当者もいなければ資料もないため、トライアルアンドエラーで地道に問題を解決している段階です。


LTSエンジニアチームについて

最後にLTSのエンジニアチームについて、コンサルタント職からエンジニアに社内での職種転換をした経歴を持つ高石さんから語ってもらいました。

高石 尚明(LTS / アサインナビ)

LTS新卒入社後、コンサルタント職で5年間クライアントワークに従事(ヘルプデスク運用支援/ECサイトPMO/予算管理業務のIT化支援)。2020年9月〜現在はエンジニア職で、自社webサービス(アサインナビ/CSClip)の開発業務及びチームマネジメントをリードしている。(2022年3月時点)

人柄がすごく誠実というのはLTSのカルチャーとしてあるので、気の利いたことが自然とできると言った点やコミュニケーションの取りやすさはありますね。また、すごく勉強熱心で学習能力も高いので、面倒と思えるような作業などもこつこつと地道に取り組みますし、ブラックボックス化しているものをどんどん可視化していくような思考力や体力も結構あると感じています。

他の会社だと投げ出してしまうようなことも、結果の出るところまで結びついていく、ブレイクスルーするまでしっかり寄り添っていくところが、LTSのエンジニアチームの強みなのかなと思います。他の会社と比べると実績は多くないかもしれませんが、ちゃんと結果につなげますので、安心してお任せいただければと思います。


ライター

忰田 雄也(LTS マーケティング&セールス部 部長代行)

SE・テクニカルライターを経て、LTS入社。ERP導入や業務改革におけるユーザー向け広報・教育企画および業務文書改善など組織コミュニケーションに関連するコンサルティングに従事。2017年よりLTSコンサルティング事業のマーケティングを担当。2021年より本サイト「CLOVER Light」の立ち上げ~運営・編集長を務める。(2024年1月時点)