DE&Iの実現に向けて初めてIntegration(同じ場に集合)した日
LTSグループでは毎年、ナレッジの還流を目的としたLTSグループカンファレンスを開催しています。今年も2023年7月22日に赤坂オフィスで開催されました。
今回のグループカンファレンスの講演の一つに「菜園の祭宴~よつば彩園のあゆみ~」と題した、よつば彩園グループ(ファーム型障がい者雇用で採用された方が配属される部署)についての講演がありました。
ファーム型障がい者雇用を推進するビジネスマネジメント本部よつば彩園グループ長から、この事業の概要や、LTSがこの取り組みを推進する意義、これまでの活動状況の共有とこれから検討していることについて、そして、よつば彩園グループの現場をリードする農場長によるパネルディスカッションと、メンバーからの自己紹介のプレゼンが実施されました。
実はこの日は、DE&Iの実現に向けて一歩前進した日でもあります。よつば彩園グループのメンバーが赤坂オフィスに出社するのは、この日が初めてででした。そして、彩園グループメンバーと他部門・他グループの社員が同じ場に集まり(Integration=統合)交流するのも、この日が初めてでした。
よつば彩園グループの紹介
「さいえん」は「いろどり(彩り)」の「園(その)」と書いて『彩園(さいえん)』としています。グループ名の名称は、社内に募集をかけて決めました。いろいろなアイディアから多くの想いを踏まえて、豊かさと美しさの源である差異=彩とLTSのシンボルであるよつばを掛け合わせてました。
LTSのよつばのコンセプト※のように、既存の社員にとって障がいをお持ちの方が四枚目の葉っぱであると同時に、参画いただいた障がいをお持ちの方にとっても、LTSが四枚目の葉っぱになって欲しいなという想いを込めて「よつば彩園グループ」にしました。
よつばのロゴマークに込められた意味
お客様の課題解決や成長に向けて単なる外部支援ではなく、LTSが一枚の葉としてお客様と一体化し三つ葉を四つ葉に変化させる、「質的な変化」をもたらす存在であること。
一枚の葉としてお客様と同じ立ち位置で、共に変革を進めていく真のパートナーであること。
グループとして“あらゆる人が、その人らしく社会と関りながら、生き生きと輝ける場”を目指していきたいなと思っています。
LTSにとってよつば彩園とは
LTSにとってのよつば彩園の位置づけは、大きく2つの要素が合わさって一つの施策になっています。
ひとつは、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)という組織の話と、もう一つは、障がい者雇用の側面です。加えて+αでいろんなものを生み出していきたいなとも願っています。
DE&I
LTSは企業理念に「可能性を解き放つ」を掲げている通りで、DE&Iの取り組みは会社にとって必然で至極当たり前の話だと思っています。また、経営の事業環境の複雑化に伴い、リスクヘッジの意味でも、新しいものを生み出していく上でも、多様性は必要だと認識しています。
さらに、そのような組織の在り方に社員も賛同していますし、今後、LTSに興味を持ってくださる人からの組織の見え方という意味でも重要な取り組みだと思っています。
LTSは事業の枠組みを固定せず、“新しいことを生み出していく“ことを推奨する会社なので、いろいろな考え方や経験を持った人が混ざり合うことは、新しい事業を生み出していく上でも、世の中にそのような流れを作っていく意味でも大事だと考えています。これはLTSらしさでもありますし、LTSの強さにもつながる取り組みではないかなと思います。
多様性と一言で言っても「何の多様性?」という疑問があると思います。LTSではこれまで、それぞれの生き方、それぞれのキャリアといった働き方や考え方など思考や心情の多様性、いわゆるサイコグラフィック側に寄った多様性を自然と大事にしてきました。
一方で、デモグラフィック側の多様性をあまり意識してこなかったので、これからはデモグラフィック側の多様性も作りこんでいくことで、サイコグラフィック側の多様性もさらに促進していきたいと考えています。
障がい者雇用
そもそも障がい者雇用とは、どんな人であっても同じように社会に参画し、同じように生産を担い、同じように生活していく、ということを実現するための制度です。日本の法律でも、従業員を43.5人以上雇用している企業は障がい者を1人以上雇用するよう義務づけられています。なおこの雇用人数は2024年以降段階的に引き上がられる予定となっています。
障がい者の雇用と同時に、働く個々人もちゃんと自立していこうという考え方があり、それを支援する制度や枠組みも社会にはあります。しかし現実的には、その“場”と“人”がマッチしていないのが現状です。
都市部は企業が集中しているため、必然と雇用義務のある企業も都市部へ集中しています。一方で、都市部で就業できる障がい者の数は限られるため、都市部の企業は法定雇用率の達成が困難な状況になっています。
LTSでは以前から障がいを持つ方の採用や同じ場所で働くことを進めてきましたが、なかなかうまく仕事を継続していただくことが難しい状況がありました。そこで、ファーム型の採用もあり得るのかなと検討を始めました。これが2年くらい前のことです。
今日は、よつば彩園グループのみなさんにもオフィスに来ていただいていますが、普段は埼玉県さいたま市の農園で働いているので、このファーム型障がい者雇用は本当の意味でDE&Iと言えるのか?という疑問が検討開始初期の議論としてありました。
社会正義の実現状態
まず、ファーム型障がい者雇用が社会的正義に向かっているか、この施策はどの段階にあるのかを考えた時に、同じような雇用条件があるので、平等ではあるかもしれないです。しかし、違いを受け入れて公平にできているかというと、農業という障がいに対して比較的親和性のある仕事に業務を限定しているという意味では、まだ公平とは言い切れない状態です。
さらに、あらゆる行動的な障害を取り除くことができているのかというと、そこもまだでいていないため、正義にはほど遠いいと認識しています。現状は「平等」から「公平」の間くらいかなと思います。
マジョリティ⇔マイノリティ関係
もう一点が、マジョリティから見た時に、マイノリティにどこまで配慮した施策なのだろうかという観点です。初期段階は関係を持たない状態(除外/排除)、次が一緒には難しいけど別のところ(分離)で、そして次の段階が中に入って(統合)、そして枠組みを取って(包摂/包含)という段階に進んでいきます。
現状は、赤坂オフィスと浦和の農園で「分離」してしまっているので、真のDE&Iを実現したいという理想に対して、ここが最も葛藤があった点です。
DE&I実現に向けたロードマップ
この2つの評価の観点を合わせた時に、LTSはまだまだDE&Iが実現できているとは言えません。
ですが、そこに向けて近づいてはいます。今は別の場所で働いていますが、今日が統合のための第一歩だと思っていて、同じ場所に会する、場所が融合していく、このような取り組みを少しずつ進めていけば、少しずつインテグレーション側にいけるのではないかなと思っています。
この考え方にはさまざまな批判もありますが、「実現不能なベストより、実現可能なベター」。結局、できない理想にこだわるよりも、小さな一歩でも前進にむけてできることをやってみた方がいいんじゃないの?ということです。何かを始めてみれば、現実を広げることで理想に近づいていくことができるのではないかと思っています。
現実拡張によって理想を追求する、そのための第一歩を始めるためにファーム型障害者雇用をやると決めました。
後編では、よつば彩園のこれまでの歩みをご紹介します。
ライター
CLOVER編集部員。メディアの立ち上げから携わり、現在は運営と運用・管理を担当。SIerでSE、社会教育団体で出版・編集業務を経験し、現在はLTSマーケティングGに所属。趣味は自然観賞、旅行、グルメ、和装。(2021年6月時点)