開催概要
カンファレンスでは、LTSの現在の姿とそれを実現するLTSのケイパビリティを知っていただくにあたり、アジャイルの歴史の証人である竹内先生に講演いただき、現在に求められる企業経営の姿や、LTSがありたいと考える姿を、参加者の皆様へとお伝えさせていただきました。
当日は、500名にも及ぶ多くの方々にご参加いただきました。当日ご参加くださった方々、誠にありがとうございました。
登壇者紹介
プログラム1:ウェルカムスピーチ「LTSの歩み」
プログラム2:基調講演「新しい“知”の創出」
国際基督教大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校にて修士号・博士号(経営学)を取得。組織における知識創造プロセス、グローバル産業における日本企業の競争力を研究。企業の社外取締役も務める。2019年より国際基督教大学理事長。(2023年6月時点)
プログラム3:LTSが考える“ビジネスアジリティ”
ウェルカムスピーチ「LTSの歩み」
最初に、LTS創業の経緯と現在のLTSの会社としての立ち位置・ステージについて樺島からのメッセージをまとめたオープニングムービーを上映しました。
そしてウェルカムスピーチとして、代表の樺島から参加者の方々へ、これまでのLTSの歩みと現在、そして関係者の方々へのお礼のご挨拶させていただきました。
LTSが育んできたもの「成長を支援する」こと
樺島:
この20年間LTSが大切にしてきたことは「成長を支援する」ことです。
「個」「事業」「組織」「企業」の成長とはなにか、それを支援するということはどういうことなのか、この2点にとことん向かい合い事業を展開してきました。そこには次の3つのフェーズがありました。
チェンジマネジメント(2002年~)
樺島:
創業時の2002年、私はまだ26歳でしたが、当時の問題意識は
- なぜこんなにも、変革プロジェクトは失敗するのか
- 練りに練られた戦略が実行されないのはなぜなのか
- せっかく作られたいい仕組みが現場で捨てられてしまう、あるいは、現場が理解してそれに向かって動き出すのに時間がかかっていてあまりにももったいない
というところにありました。
このような問題意識から、創業からの7年間は“チェンジマネジメント”“定着化領域”にフォーカスした事業を展開すると決めました。
そして、全社業務改革に取り組む企業様やそれを支援するコンサルティング・IT企業の皆様からたくさんご評価いただき、数多くの実績を作ることができました。
ビジネスプロセスマネジメント(2009年~)
樺島:
現場向けのコミュニケーションはスムーズになり、混乱のない形で新システム、新業務が動き出しました。しかし、これは変革の成功といえるのか、そもそもこの変革プロジェクトの投資対効果はどうなっているのか、そこに疑問を持つようになりました。
大規模IT刷新プロジェクトのリリースや海外の大型M&Aのクロージングは、世間で話題になりますが、数年後冷静になってみると、実はさほどの競争力強化につながっていないケースもたくさん見受けられました。
そこで、我々としてはチェンジマネジメントだけではなくて、その先の上流工程、ユーザ企業側で変革そのものを企画構想する段階から支援する、ビジネスプロセスマネジメントを中心とした事業展開を進めてきました。
変革から定常業務に移行する部分のご支援、定常時の業務の運用や改善のご支援、そして、事業アーキテクチャを可視化して管理しそこから課題を特定し、それを改善・変革するためのプロジェクトを企画し、そのプロジェクトに入り込こんで変革プロジェクトの全体をご支援する、というサービスを提供してきました。
ビジネスアジリティ2013年~
樺島:
そして2013年からの10年間は、個別の変革に加え、変化に強い事業組織をどう作るかが、お客様の関心でありLTSの事業の中心になりました。
LTSはビジネスアジリティという言葉を使っています。外部の環境変化に対して、自らの事業構造を素早く適応させていく組織能力と同時に、自ら変革を生み出していく組織能力をビジネスアジリティといいます。
F1マシンのように、特定の条件の元においてのみ早いだけでは意味がなく、ラリーカーのように刻一刻と変わる状況や環境の変化に素早く適応しながらゴールを目指していく、そのような組織や事業を作っていく必要があります。人や資源をただ保有することの価値が薄れて、必要に応じて外部のリソースを上手に活用していく、そのような力こそ求められています。
この10年、LTSは個別の変革の支援だけではなく、変化に強い事業組織、アジリティを備えた経営や事業組織をどう作るかを中心にご支援してきましたが、この先10年は更に強化していこうと思っております。
LTSが育んできたもの「お客様との関係性」
樺島:
LTSがこの20年間で育んできたもの、二つめは「お客様との関係性」です。戦略は模倣されますが、お客様との関係性は模倣されません。お客様とどういう形でつながり、その関係性をどう育んでいくのかをチャレンジした20年間でした。
最初はお客様が抱えている課題をソリューションやテクノロジーで解決することから始まりますが、お客様が課題ごとに最適なテクノロジーやソリューション選定し続けていくことは難しく、本音では長く頼れるパートナーを探していらっしゃいます。LTSも最終的にはそのようなベストパートナーになることを目指し、とにかくお客様の事前期待を理解しそれに合致しているものを提供していく、そして期待値を超えていくことを繰り返し、関係性を築いてきました。
ですが、お客様は様々な課題を抱えており、それに応えるためには単一サービスではなく複数サービスを組み合わせて提供する体制を拡大する必要がありました。そのための力を身に付けて、そしてパートナーと言われるにふさわしい会社としての信用力と総合力も磨いていく、それを繰り返していたらあっという間に20年が過ぎていました。
そして、ここ数年と現在のテーマは「共創」です。LTSが組織として成長したとしても、お客様への貢献・提供する価値が大きくならなければ、お客様には意味がありません。自社の成長とお客様の成長を共に作っていくためには何が必要なのか、本当の共創関係とは何か、それを持続させるためにはどういう取り組みが必要なのか、というところに向き合って経営をしております。
樺島:
加えて「エコシステム」。コンサルティングやITは、勝者総取りの世界ではなく、数あるプレーヤーが自ら強みを発揮し協力・連携しながらお客様や社会に貢献していく、そんな世界観だと思っています。LTSもいくつかの分野でパートナーと言えるポジションを確立した時に、結局は、自社のみでは応えきれないということに気が付きました。そのため、コンサルティングやテクノロジー、そして各サービス企業のみなさんとはいい協業関係を持ちながら、さらにプラットフォーム事業も手掛けながら、業界でお客様含めた良いエコシステムを作ろうと目下チャレンジ中です。
お客様との関係性やビジネスパートナーとの関係も、最終的には人と人です。変革を支援する、変化に強い事業組織を作る、これらは変革への意思と能力を持った人と出会って支えて育てていく活動に尽きると思っています。人と人との関係を土台にしながら、お客様の成長を支援して、長期の関係性も大切に育みながら、共に成長を創造する存在となるように企業活動に励んで参ろうと思います
この20周年にあわせて、ミッション、ビジョン、バリューをアップデートしました。LTSはこれからもお客様、お取引先様、業界の関係者の方々、株主様、社員、そしてその先にいるご家族の方々、さらに将来の世代にも貢献できるように引き続き精進してまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
基調講演「新しい“知”の創出」
そして、基調講演としてアジャイルの歴史の証人である竹内先生に「VUCA時代の戦略とは」をテーマに、お話しいただきました。
VUCA時代に必要なもの
「VUCA時代に必要なものは『Agility』『Speed』『Creativity』の3つ。日本は今、失われた30年と言われていますが、その前の30年は『世界から羨まれる国、日本』でした。その時代、この『Agility』『Speed』『Creativity』において、日本は世界の見本だったのです」(竹内氏)
日本が世界から羨まれる時代にやっていたことは、アメリカにバイクや車などを持っていき現地で売るために失敗に失敗を重ね、改善を繰返してきた、まさに「Agility」な取り組みをしてきました。そして、1964年の東京オリンピックが開催された時代、当時の日本メディアでよく出ていた言葉は「追いつけ、追い越せ」であり、新幹線の開業、SEIKOのオフィシャルタイムキーパーなど、世界がアッと驚く革新の「Speed」というのは日本人の得意技でした。失敗から学びを得る子供は創造力(Creativity)の天才であり、そのような時代において日本では、失敗した人の方が偉いという考え方があった、と語りました。
VUCA時代の戦略
「今後、日本が再び世界が羨む国・企業になるためには、『守破離』を『守』と『破離』の二項動態で捉える必要があります。『守』はどの時代においても不変・普遍であるもの、企業のミッション・ビジョン・バリューなどのパーパス、そして『破離』はVUCA時代に必要な『Agility』『Speed』『Creativity』とドンピシャな考え方。この2つを組み合わせていくことが重要です」(竹内氏)
また、デジタル時代において、日本は「DX」の「X」をトランスフォーメーションと捉えるのではなく、×(バツ=ダメ)、デジタルはまるっきりダメであるということを真摯に認めるべきであると言います。DXや改革に取り組む前に、まず、1950~70年代の日本のように、遅れていることを真摯に認める勇気が必要であり、遅れていると認めた方が、技術が何段階も進んでいる後者のアドバンテージを受けることができると解説しました。
LTSが考える“ビジネスアジリティ”
最後に執行役員山本政樹より、LTSが考えるビジネスアジリティとビジネスアジリティを実現する3つのポイント、そのために必要となる変革を核に捉えた組織と人材育成体系の設計、そしてLTSがお客様に提供する価値についてご紹介させていただきました。
山本の講演パートについては、以下よりご覧ください。
この3つのセッションを通して、関係者の皆様への感謝、LTSの現在の姿とそれを実現するLTSのケイパビリティ、そして現在に求められる企業経営の姿や、LTSがありたいと考える姿をお伝えさせていただきました。
当日会場にお越しくださった方は、誠にありがとうございました。LTSは次の10年に向けて既に歩みを進めております。これからもぜひLTSをよろしくお願いいたします。
ライター
CLOVER編集部員。メディアの立ち上げから携わり、現在は運営と運用・管理を担当。SIerでSE、社会教育団体で出版・編集業務を経験し、現在はLTSマーケティングGに所属。趣味は自然観賞、旅行、グルメ、和装。(2021年6月時点)