コンサルティングを含めたプロフェッショナルサービスを主業とするLTSは、その拠点を東京都新宿区に置いています。加えて、静岡、京都、大阪にもオフィスを構え、それぞれの地域に合わせた事業や、独自の文化に寄り添ったサービスの提供をしています。
今回、LTS静岡の立ち上げから今日まで、事業づくりや仲間づくりに尽力してきたお二人にお話を聞きました。どのような経緯で静岡にオフィスを構えたのか、その地域で求められている事業やサービスとは何か、そこで働くメンバーたちの想いや多様性、そして静岡での経験を活かした次の展望などをお話しいただきました。
地域の特色を活かしたお客様の支援
中島:
なぜ静岡で?というのは、最初にお話があったとおり、ほぼ偶然なんです。でも、それでこうして十年以上もご縁があるということは大切にしていきたいですね。
漆畑:
静岡での事業を新しくしなければ、と意識し始めたのは2015~2016年あたりの、静岡オフィスができる前くらいでした。これまでやってきた運用の案件は、これ以上の拡大よりも現状の維持のほうが大切だと判断しました。静岡のメンバーはエンジニア気質で、変化より生活の安定を好むというのがあり、営業や交渉を推し進めるより、システム運用が主業ですので堅実・正確なオペレーションに価値があると考える社員が多いですね。
なので、静岡メンバーを主体とした戦略的事業拡大のイメージが湧かなかった、というのが正直なところです。私たちエンジニア以外に、これまでとは違うチームを立上げないと何も新しいことが起こらないぞ…という意識で(笑)。
中島:
自分たちに何ができるか、いろんなところを探ってきました。このあたりの地域を、盛り上げたいという想いもあります。産業を盛り上げることしかできないですが、産業が盛り上がることでお客様企業が盛り上がって雇用が増え、それで首都圏から人が戻ってきたり、人が出にくくなったり、間接的に盛り上げられるんじゃないかな、と思っています。
漆畑:
手探りが故に、いろいろやっているんですよね。
中島:
あとは、地域の特色を理解しながら事業活動をすること自体が、面白いんじゃないかと個人的には思っています。東京ではなかなか経験することがない、初めましての挨拶からスタートする、新規開拓的な営業も必要になります。そのあたりに興味があるメンバーがLTS社内にいたら、是非チャレンジしてほしいと思っています。
そういう活躍の場を、社内的に作っていきたいという考えもあって。LTSのビジネスコンサルティング部のミッションに「コンサル難民を助けたい」というのがあるんですが、実は地域のほうが、この問題が顕著だなと感じています。困っている人は多いけれど、近くにコンサルタントがいないという実態があるので、私たちのバリューが発揮できる場もあるんじゃないかなと思っています。そのあたりがミッションであり、モチベーションです。
漆畑:
実は、今年から愛知にも行こうとしているんですよね。
中島:
そうなんです。愛知事業元年です。静岡でやっていたような、地域での事業モデルはまだまだ未完成で未成熟ですが、地元のコミュニティに参加して進めるところや、採用の観点も応用できるところだと思っています。愛知での事業の立ち上げをやりたいと手を挙げてくれたメンバーもいるので、その挑戦の場を提供できるといいな、とも思っています。
漆畑:
実際に、愛知で事業を広げ始めているけれど、静岡で10年やってきたことを全部やるぞ、というよりは、応用できそうなところを適用していくイメージですね。エリアが違うので、その特性の違いも考えなきゃいけないですし。
その地域ならではの難しさはありますね。企業リストを起こしてみたりするものの、特色を考えると、同じような攻め方にはならないな、と思います。大手企業とひと口で言っても、地域によって業態や規模感も全然違うんですよね。
中島:
LTSのサービスの特性上、ある程度規模の大きい会社から実績を作っていかないと、事業として形作るのは難しいなと感じています。愛知でもそのように進めていますし、需要もあるようですが、実際に形にするのは難しいなと思います。LTS社内にも中小企業向けにサービスを検討しているメンバーがいますが、考えれば考えるほど難しいと言っていました。
この土地に想いを持っているから、この先もよりよくするお手伝いをしたい
漆畑:
協会もそうですけど、ここでは時間軸が長いんですよ。人付き合いの世界は、どこに行っても切り離せないですね。この会社と仕事する、というよりも、この人と仕事する、という感覚で、お互い10年とか長い未来を見据えているんですよね。
中島:
静岡は観光資源が多く、それに惹かれて来た人がいたり、地域としての特徴も魅力的だったりします。でも、人口流出はあって、継続的に人が流れ出ているようなんです。静岡市と浜松市は政令指定都市なので、基盤や市の職員の数も多いんですが、先進的な取り組みまでは十分に手が回っていないようです。
漆畑:
そのあたりの推進力を支援できたらいいですね。
中島:
企業もユニークな民間企業が多く、地域や地元への貢献が考えられていていいなと思います。
愛着のある土地で自分の会社が認知されていると嬉しい
中島:
やっぱりメンバーがみんな、この土地に想い入れがありますよね。愛着というか。
漆畑:
そうですね。メンバーの顔が浮かびます(笑)。ここ静岡が地元だというメンバーも多く、子どもの頃からここで育っているので、愛着というかもはやそういう次元ではないのかもしれないですね…。
中島:
会社としてではなく、個人で地元のお祭りなどのイベントに参加している人も多いですよね。
漆畑:
お祭りへの参加はあたり前でそのために休暇を頂いたりするので、そういうのやらない人から見ると、愛着に見えるかもしれませんね。あと、静岡はアウトドアが盛んなので休日はみんな家族と出かけていますね。
中島:
ICTE本部で知名度向上のために何ができるか?という議題が出ていた時に、スポーツやイベントへの協賛はどうかという話になって、その流れで「自分の地元のお祭りに協賛するのはどうか」と提案したメンバーがいましたよね(笑)。
漆畑:
そうですね(笑)。実際、自分が住む地域のお祭りに、自分の会社の看板が出てるのって嬉しいんですよね。自分はここで働いてるんだよって家族など周りの人に紹介できる機会があまりないので、ちょっと胸張って話ができる場になりますね。
特に、コンサルティングや運用のエンジニアって家族に説明しにくい仕事なので、会社名やロゴをお祭りとかで見せた時の、家族の「おぉ!」という反応が嬉しいよね、という話はメンバー間でありましたね。
中島:
地域の企業だと、知名度向上や採用目的で、車内で聞くラジオや、公共交通機関である電車やバスに広告出すことがありますよね。あとは、地域でのマラソンやサッカー、お祭りなどいろんな場で企業のロゴを見かけます。
漆畑:
その後も、メンバーからの「あそこであんなイベントやってましたよ」という情報で、協賛を検討することが何度かありました。
中島:
仕事と地元のお祭りを繋げることに好意的なことが、地元への愛着じゃないですかね。
漆畑:
そうなんですかねえ。自分の話で言うと、静岡は自然も多いし豊かな土地で、東京・愛知・大阪などの都市に電車で気軽に行けるので良いなと感じます。特に、家族ができて子育てするようになってからは、仕事にも困らないですし、混雑しにくい場所に出かけられる、自然の中でいろんな体験を子どもにさせてあげられる、という点は良いですね。あと、食材も豊かなので、子どもに美味しいものを食べさせてあげられるとか…。
中島:
娯楽というよりは、生活が豊かなイメージですね。コロナ禍になってから、首都圏にいることのメリットが少なくなりましたよね。情報の速さはネットでカバーできますし、どこにいてもスマホひとつで様々なものが手に入る、人が少ないところで遊べる…など。あえて首都圏にいないとできないことは無くなっていますよね。それを実感しますね。
漆畑:
自分の住んでいるエリアの中で、この会社で働いていることが、会社の名前と併せて認められると、自分自身の存在価値が高まる感覚があるんですかね。
中島:
それって地元への愛着もそうですけど、会社への愛着もないと感じることができないことですよね。
漆畑:
そうですね。みんな何かしら、LTSで働く意味を感じてくれているんだろうなと思います。メンバーの中には、個人ではなくLTSという会社としてイベントに参加して、多くの人にいいねと思ってもらえるような機会を作りたいね、と話をしている人もいました。
地域に想いを寄せるLTS社員も多い
中島:
今、LTSは関西にもあります。そこのメンバーも、関西愛に溢れていました。みなさん愛がすごいですよね(笑)。
漆畑:
そうなんですか。いいですねえ。
中島:
他にも、九州の大学を出ている社員や、九州に実家がある社員で、将来福岡の拠点ができたら立ち上げを希望する人もいますね。
漆畑:
LTSに新卒で入社するメンバーは、意外と地方出身が多いんですよね。
中島:
そうなんですよね。広島での案件も盛んだと聞きました。広島出身の社員もそれを知ってすごく興味があると言っていました。いま、静岡で一緒にやっている若手メンバーも、もともと静岡にゆかりがあるそうですよ。
漆畑:
いずれ自分が地元でビジネスやりたいと考えていて、LTSには技術習得やキャリアのために入社している、と。LTSとして地元でビジネスをやるというのも含めて、これまでの事例を聞きたい、そういうことを新入社員に聞かれたこともあります。
中島:
今ではリモート環境も整ってきたので、場所に縛られない働き方をしている社員も増えていますよね。
漆畑:
そうですね。地方に想い入れのあるメンバーみんなに火をつけると、LTSがバラバラになっちゃいますよ(笑)。
ライター
自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)