エフェクチュエーションブートキャンプとは? ~新しいものを生み出す力を養う、体感・共創・共感のプログラム~

LTS経営・組織

LTSでは、エフェクチュエーションの論理を活用し、ビジネスイノベーションを生み出す流れを実現する「エフェクチュエーションブートキャンプ®」を提供しています。提供を開始して1年ほどであるにもかかわらず、提供実績は日々拡大しているそうです。エフェクチュエーションブートキャンプ®のサービスリーダーである鈴木稔さんにお話を伺いました。

エフェクチュエーションブートキャンプサービスリーダー

鈴木 稔(LTSマネージャー)
外資系の国際物流企業を経て、コンサルティング会社でイノベーションや改善の支援に従事。現在は、神戸大学経営学研究科 研究員と「エフェクチュエーション」理論を大企業へ適用するモデルづくりを行っている。大企業の変革、新規ビジネス創出、社会課題解決を目指すプロジェクトへの適用実践中。

エフェクチュエーションブートキャンプでは何をするのか

―――早速ですが、エフェクチュエーションブートキャンプの内容は、どういったものなのでしょうか。

鈴木:
エフェクチュエーションブートキャンプは、ワーク中心で行う実践型の研修サービスです。基本的には2日間、そこにお客様の課題に応じたカスタマイズを加えて、合計7日間程かけて実施するケースが多いです。

初めに「キックオフ」として、参加者同士であいさつや自己紹介をしていただきます。チーム形成のためのアイスブレイクです。そのあと、「基本的な思考の導入」として、従来の思考の枠組みを変えるための新たな大前提やルールをお伝えします。

次に、「未来からの兆しを捉える」では、自分の認知していることと認知できない領域の認識を明らかにします。また、仮説力とアイデアを連結する、連想力の訓練も実施します。

そして、「インプット講義」では、ビジネスを生み出し実践するための基礎的な要素を、講義形式でお伝えします。最後に、「導入ガイド」として、前項までのプログラムで習得した内容を活用し、アウトプット作りに取り組んでいただきます。

下の図2のような、黄色(欲求シート)・緑色(価値づくりシート)・桃色(飛躍シート)・白色(ビジネスシート)の4枚/1セットが、人数分作られます。ここでは、アウトプットを作ることで、アイデアの種を膨らませ、実際にビジネスモデルに落とし込むまでの一連が体験できます。

図1 エフェクチュエーションブートキャンプの流れ(出典:LTSプレスリリース)
図2 エフェクチュエーションブートキャンプ資料(出典:LTS社内資料)

―――ご説明いただいた中には「エフェクチュエーション」という言葉が出てきませんでしたが、どの部分がエフェクチュエーションなのでしょうか。

鈴木:
エフェクチュエーションは一つの考え方、新しいものを生み出す為のOSのようなものです。講義などで身に付けるというよりは、ブートキャンプが終わり振り返ってみると、エフェクチュエーションの要素がちりばめられていることに気が付くと思います。もちろんブートキャンプのなかで、エフェクチュエーションの「起業家の行動5原則」などは解説します。

例えば、この図3は未来ビジネスカタログと言い、ビジネスモデルキャンバスに絵や詳細な事項を加え、より現実的な事業に近い形で作成しています。この中にも、実はエフェクチュエーションの要素が、多分にちりばめられています。

そして、このようなアウトプットは、企業の中の新規ビジネスの提案書につながったり、役員会議向けの資料になったりします。出てきたものを、どうアレンジするかはお客様次第です。中期経営計画を入れたいという要望や、幹部研修モデルにしたいというご要望もあり、都度対応しています。

図3 エフェクチュエーションブートキャンプ資料(出典:LTS社内資料)

お客様の課題は千差万別、ニーズに合わせたブートキャンプを

―――お客様の課題やニーズによって、ブートキャンプはカスタマイズできるということですね。お客様の課題としては、どういったものが多いのでしょうか。

鈴木:
新規ビジネスという側面で見ると、そもそもビジネスの生み出し方が分からない。やっているけれど、能力が足りない。挑戦している最中だがうまくいかない。新規ビジネスを検討する中で、従来にない価値観というものが分からない。そういったものが多いです。他には、中期経営計画のテーマと、新規ビジネスが噛み合わない、という声もありました。

このような課題にぶつかり前に進めない企業・部門のために、事前のヒアリングでお客様の課題に対して、ブートキャンプが役立つポイントをご説明します。実際に、ビジネスイノベーションの実践方法を体感しながら、ビジネス創出物(アイデアから生まれたビジネスの芽)の作成とその創出能力向上ができます。「新しいものの生み出し方」を体感できる、ブートキャンプです。

行き詰っている人ほど、世の中の変化が激しく、自分たちのやりたいことができないという課題感を強く持っています。いろんなことをやってみたけど変わらない。そういう人にとっては、画期的な考え方かもしれません。

―――様々な課題やニーズに応えられるようになっているのですね。お客様の困りごとにあわせてブートキャンプのプログラムカスタマイズする際、ベースとなるものはあるのでしょうか。

鈴木:
基本は、A~Dのパターンがあると考えています。

A:ビジネスモデル創出(目的:自分のお客様のビジネスモデルを考える)
B:エフェクチュエーションブートキャンプ(目的:共創知で化学変化を起こし、新たなビジネスを創出する)
C:個別フォローアッププログラム(目的:個別の困りごとを解決する)
D:エフェクチュアル・メンター(目的:組織内における育成者の育成)

これらを組み合わせたり、必要なものを肉付けしたり、お客様のニーズにあわせて対応します。部署・部門限らず、業界限らず、広くご支援できると考えています。

目の前の壁を突破したい、そんな人におすすめ合

―――実際に受講した人の感想や、メンバーの変化はどうでしょうか。

鈴木:
これは実感値ですが、「あの人があんなに変わると思いませんでした!」というお声はありました。何かのCM広告みたいですね(笑)。ブートキャンプの実施後に、受講者の上司から聞きました。典型的な技術者タイプだったのに、自ら手を挙げて新しいことを始める…、そんなことは今までなかった!と。

人の変化は、その場ですぐに分かるものではありませんよね。職場に戻って仕事をしていると、周りの人が変化に気付きます。ブートキャンプを受講した後、普段の業務に取り組む視点が変わったのではないでしょうか。

―――実際にエフェクチュエーションブートキャンプを実施した事例を教えていただけますでしょうか。

鈴木:
LTSからプレスリリースが出ていましたが、静岡県庁でDX人材育成のための、エフェクチュエーションブートキャンプを実施しています。こちらの進め方は、DXは、新しい価値を生み出す、競争力を身に付ける、この二つを目指してデジタル技術を活用することです。デジタル技術はあくまで手段なので、本来の目的である「新しい価値を生み出す」ためにブートキャンプをやっています。

このブートキャンプの後に10年後からバックキャストをして、短期的なアクションにつなげることもセットで行っています。講義はリモートでの実施ですが、LTSの静岡メンバーが実際に県庁を訪れて受講者をサポートして進めています。早速、嬉しいお声を頂いています。

―――他社の、新規事業開発研修系のサービスとの明確な違いは、どんなところにあるのでしょうか。

鈴木:
LTSでは受講企業のリソースを念頭に置いて、お客様の状況や特徴に合わせて、ブートキャンプの内容を設計します。例えば、その企業の社員の皆様・ビジネスモデル・アイデア・技術・商品・マネジメント層の考え…など既存のリソースを、具体的にどのようにビジネスにつなげて、どのようなアウトプット(新事業テーマ)が出るかまで考えます。

―――新しいものを生み出す考え方だけではなく、それを実際に受講する企業の技術や事業と繋げアウトプットが出るところまでやる、ということでしょうか。

鈴木:
そうです。その企業ならではのいいところ、強みとかあると思うので、それは活かしていきましょうというお話はいつもさせていただきます。それを無しに新しいことを考えようとすると、必ず窮地に陥ります。新しいことをやろうとすると、本社やグループ会社に「それは会社にとってどんな良いことがあるのか」と言われてしまうことが、往々にしてあります。そして「会社にとっていいこととは何か」から考え始めると行き詰り、そのうちに規模も縮小され、芽にならいまま終わってしまいます。

そうならないために、今ある技術やリソースをしっかり活用しましょうとお伝えします。これ自体が、エフェクチュエーションの考え方の一つです。手中の鳥の原則です。

ブートキャンプ講師も、ブートキャンプ受講者も、一緒に作り上げる

―――LTS社内の動きはどうでしょうか。ブートキャンプ運営側には、どのような学びや気づきがありましたでしょうか。

鈴木:
日々、私たちも多くの学びを得ています。LTSはブートキャンプを提供していますが、正直提供するという言い方はあまり好きではありません。ちょっと偉そうですよね。私たちは、ブートキャンプを一緒にやっている感覚を持っています。受講者も、私たちも同じ立場です。私たちもしっかり勉強しなければなりませんし、お客様と共に考えていかなければなりません。

新規ビジネスを作るのは、一人の知恵では難しい。なので、みんなの知恵を合わせて、アウトプットを一緒に作り上げていくことを大切にしています。これもまた、エフェクチュエーションの考え方の一つです(笑)。クレイジーキルトの原則です。

―――お話の中にもエフェクチュエーションの考え方がちりばめられていますね。ブートキャンプは、教える側と教わる側で分かれるのではなく、一緒に作っていくとのことですが、現在リモート開催がメインなのでしょうか。

鈴木:
はい。このような状況下ですので、リモートでも対応しています。しかし、本来であれば、対面でのブートキャンプとなります。私たちは、ブートキャンプの体験価値は、体感・共創・共感の3つだと考えています。この「体感」の部分が、先にお話をしたアウトプットを作るところを指します。

手作業で、一緒にいる人たちがみんなで作り上げる、共創・共感が、その後の行動変容につながるきっかけになると考えています。時間が経つと忘れてしまうのは、もちろんあります。しかし、体感しているので、忘却曲線はかなり緩やかだと思います。これはお客様に正直にお伝えしていますが、体感はリモートの場合、対面よりも6割減です。そのため、リモート開催でも対面のブートキャンプと同様に体感していただくために、試行錯誤をしています。

―――お客様に注意してほしい点などはありますか。

鈴木:
正直に、1回の受講では目覚ましい効果が得られないことはお伝えしています。例えば、四半期に一回ずつ開催するなど、定期的な開催で体験をリフレインさせることをおすすめしています。あとは、部門・部署という単位で開催するのか、全体で開催するのか悩まれる方も多いのですが、組織の中でもなるべく多くの人に、横断的に実施するのが良いです、とご提案しています。そうすることで、組織全体の考え方を新しいものにできます。

―――ブートキャンプの今後はどうなっていくのでしょうか。

鈴木:
お客様の困りごとは、千差万別なので、いろんなモデルのブートキャンプを実施していきたいと考えています。しかし、このブートキャンプで新規ビジネスを作ったり、中期経営計画に新規ビジネスを適応させたりすることは、入り口でしかありません。ブートキャンプをやるだけではなく、その先に出てくる課題もご支援していきたいです。

ドアノックツールという言葉がありますが、ブートキャンプはまさにそれです。ブートキャンプで、お客様の困りごとを解決するのではありません。お客様に困りごとを解決するための「考え方」や「力」を付けます。そうして、お客様自身が困りごと解決すると、その先にまた新しい困りごとが出てきます。もちろん、そこをブートキャンプとは異なる形でLTSがご支援できれば、喜んで対応します。LTSが大切にしている、「お客様の中に入り込む」はここから始まります。もちろん、ブートキャンプでもお客様の中に入り込んでいますよ。

―――鈴木さんにとって、エフェクチュエーションブートキャンプとは何でしょうか。

鈴木:
トリガーです。人を変える、組織を変える、世の中を変える。何かを変えるトリガーです。

―――ありがとうございました。


インタビュワー・執筆者

ayumi.oyama
ayumi.oyama

CLOVER編集部員。育休復帰後、CLOVERの立ち上げ・運営に携わる。
主に、記事の企画立案・取材・執筆を担当。仕事と娘2人の育児で毎日がにぎやか。
地元は九州。通訳、翻訳、心理学の勉強を細々と続けている。

編集者

yuya.kaseda
yuya.kaseda

CLOVERの編集・全体監修~メディア企画・運営全般。
SE、テクニカルライターを経てLTSでコンサルタントを経験、現在はLTSのマーケティングGリーダー。
スライド式QWERTY物理キーボード愛好家。