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業務品質を上げる「振り返り」どうしていますか 若手コンサルの仕事術

このシリーズでは、若手コンサルタントが実践している仕事術についてご紹介します。
今回お話を聞いたのはLTSの、吉田雄貴さん(コンサルタント6年目※)です。コンサルタントをとして、自分の担当したプロジェクトや業務に対して、どのように振り返りを実施しているのでしょうか。お話を伺いました。(※取材当時)
吉田 雄貴(LTS コンサルタント)

商社やIT企業の基幹システム再構築を支援。基幹システムとその連携先となるフロントシステムも含めたITアーキテクトの観点から、システム企画~システム移行の推進・実行を支援。週末は草野球チームで汗を流し、リフレッシュしている。(2021年12月時点)

振り返りとは

みなさんは「振り返り」にどんなイメージを持っていますか。うまくいったことやそうでなかったことを分析し、次につなげることができる時間でしょうか。自分の苦手なことにフォーカスする、少し苦しい時間でしょうか。人によってイメージは違うかもしれません。

振り返りはリフレクション(reflection)ともいい、アメリカの教育哲学者ジョン・デューイ(John Dewe)が提唱した、「実践的認識論」における内省的思考(reflective thinking)に由来するそうです。一般的に振り返りは、自身の行動や経験を客観的に顧みること、と定義されています。みなさんは、何を・誰と・どのように・いつ、振り返っていますか。

この記事では、LTSのコンサルタントがどのように日々のふりかえりを実施しているのか、インタビューしました。また、マネージャー層が考える振り返りとは何か。お話を伺いました。

インタビュー LTSの若手コンサルタントが実践する「振り返り」

いつ、どのように、実施しているか

―――普段はどのように振り返りをされていますか。

日次で勤怠を登録する際に「今日はこんなことをしたな」とは考えますが、しっかりとした自分の行動に対する振り返りは月次の1on1という上長との面談の場がメインです。そこで直近1か月を振り返って、今後の目標を立てています。その後は、評価のタイミングで、1on1で立てた目標について振り返っています。

社内の制度で、定期的に振り返りと目標の設定ができている感じです。評価という大きな振り返りのサイクルの中に、1on1という小さな振り返りがいくつもあるようなイメージです。

―――1on1よりも小さな、日次レベルの振り返りはどのようにされていますか。

1年目に書いていた日報(日次報告書)も、2年目以降は書かなくなりました。

今は、お風呂の時間が振り返りの時間になっているかもしれません。業務中は目の前のことに集中しているので、少し離れて思い返してみることで、違う視点や気づきがあるなと感じています。特に、その日うまくできなかったことは、すぐに改善するように心がけていますね、次の日同じ場面に再度遭遇するかもしれないので。

あとは、プロジェクトの性質にもよります。長期のプロジェクトもあれば短期のプロジェクトもあるので、日次や週次など柔軟に振り返りのタイミングを設けています。

―――振り返りにフレームワークは使いますか。]

きちんとしたフレームワークは使いませんが、例えばプロジェクトの終わりのタイミングで、「自分がもう一度このプロジェクトに初めから参画したら…」ということを考えます。すると、一通り経験したので、よりよくするにはどうしたらいいか、を考えることができると同時に、自分ができるようになったことが増えたという事実も実感できます。

後輩や先輩の振り返りから感じること

―――吉田さんのように6年目になると、後輩の振り返りをフォローすることもありますよね。

そうですね。メンバーの日報などに目を通し、業務内容は適切か心身の状態はどうかなどを確認しています。

これは私が新入社員の時もそうでしたが、経験が浅いと振り返りの際にマイナス面ばかりに気がいってしまいます。あれもできない、これもできない、自分はなにもできていないな、、、と。でも、それは言い換えると、まだまだ改善や学びの余地があるということなので、それで落ち込む必要はありません。

そのために、メンバーの振り返りをフォローする際は、本人が課題だなと感じていることだけではなく、うまくできたことや続けていきたいことにも焦点を当てています。

振り返りを通して、前を向いていくことが大切です。

―――周りの方はどうですか。人の振り返りをまじまじと確認する機会はありませんが、この人の振り返りは参考になるなと思ったことはありますか。

ある時先輩が、自身の失敗とその振り返りを通して学んだことを共有してくださったことがありました。その時は、先輩でも失敗することあるんだな、と感じましたし、自分の失敗をすぐに学びにつなげ前を向いていくサイクルを回す大切さ、のようなものも感じました。

振り返りを見える化し、周りに共有している先輩の姿を見て、その時は忙しくてできていなかった振り返りを、しっかりやらなきゃと痛感しました。

振り返りは「成長の機会」

―――LTSには強い成長志向を持っているメンバーも多いので、そのように振り返りのサイクルをどんどん回している人は多いのかもしれないですね。

失敗から学ぶことはとても多いと思うので、絶好の成長機会ですよね。そう考えると、振り返りをやらないという選択肢はないなと思います。

振り返りをするのに、新入社員だからしなければならないとか先輩だからやらなくていい、ということはないと思います。私はこれからも、自分の失敗も学びもどんどん共有していきたいです。そして、周りのメンバーの失敗も学びもどんどん吸収していきたいです。

―――ありがとうございました。

マネージャー層が考える「振り返り」

「自分自身との対話の時間」 堂本 純輝さん(LTS ビジネスコンサルティング 第3部 部長)

振り返りは人それぞれだと思いますが、あくまで私個人の考え方です。

私は「目標設定」や「振り返り」という言葉を使うと、どうしても堅いイメージになってしまって、どちらかというとモチベーションが下がってしまいます。なので、「自分と対話する時間」だと考えています。

「自分が満足しているか、納得しているか」「心が満たされているか」「今を楽しめているか」を自分自身に問いかけます。例えば、今日1日自分は満足できたか?と問いかけたり、2021年の上期は楽しめたか?と問いかけたりします。

自分自身が満足できていなかったり、楽しめていなかったりするときは、何かが足りてないのだと思います。そんな時は、どうしてだろう?とさらに深堀して、何が足りていなかったのか確認します。

私が重要だと思うのは「あえて言語化はしない(心の中で自分自身と対話する)」「反省は少しだけで十分。過去は変えられないので、前を見ることに集中する」の2つです。

「ゴールを達成するためにはどうすればよいか、を考える時間」 髙橋 矢さん(LTS 執行役員)

私の場合、長期の目標や達成したいものがあり、半期や1年の目標設定は、それ自体が目標なのではなく、通過点でのチェックポイントという認識です。

そのチェックポイントは、何が何でも達成するべきものというより、色々な事情によって変わってしまうことがあるという前提で考えています。そのチェックポイントがうまくいった、いっていないか、というよりも、長期の目標に向かってしっかり前進できているのか現在地の確認をしてからのアクションプランの検討に時間を使っています。過去は戻ってこないしそこに時間をかけるより、今の現在地から、長期のゴールを達成するためにどうすればよいかを考えます。フォーキャスティングの考え方に近いですかね。

あとは、現在地の確認という意味で振り返り・反省というよりは、棚卸をやっています。経験したこと、できるようになったことなどを明確にします。棚卸の際には、スケジュールアプリを半日くらいかけて眺めています。

目標に対しての振り返りというより、日々の業務を改善する意味での振り返りは、それなりに頻繁に行っています。なぜかというと、日々の仕事の積み重ねの先に未来があると考えているからです。長期の目標に向かって前進できていたとしても、日々の業務が疎かになってしまっては 顧客や社内メンバーからの信頼や応援を得られませんよね。

目標はもちつつ、日々の仕事に全力を尽くし成果をあげていく…。日々の業務品質に対しては比較的短サイクルでやっている感じです。参考までに。

「自分が後悔しない時間の使い方ができているか、を確認する時間」 上野 亮祐さん(LTS 取締役)

私は、仕事のうえでは目標設定と振り返りのサイクルが1日、1週間、1か月、3か月、半年、1年、3年…などのスパンのものを常に同時にくるくる回している、という感覚です。一つ一つ振り返る、ということはなく、今日やるべきことは、達成できたけど、1週間で見たら、1か月で見たら、3か月で見たら…逆にそもそもこの目標って、本当に向かいたい方向なの?ということから、常々行動を変えている、という感じです。日々、今日、1週間の、1か月の、3か月の、半年の…時間の使い方ってよかったのかな、ということを向かいたい方向と照らし合わせて考えています。

振り返りのポイントは、時間の使い方です。いろいろな観点で見たときに、最後自分が後悔しない時間の使い方ができているか、が大切なのだろうなと思います。

と、ここまでが業務上の「振り返り」です。

プライベートに関していうと、私は、目標、という大きなものを掲げていません。目標があったほうがいい、というのは頭ではわかっているのですが、正直、目標を達成するために日々過ごす、という生き方が自分にはあっていないなと思っています。目の前のことを積み重ねていって、自分が想像もしていなかった自分を見つけたいな、という気持ちで生きています。

あとは、自分にとっては、これをやりたい、という目標よりも、やっぱり、どうありたいか、というありたい姿の方が重要で、「誠実でいる」「誰からも信頼してもらえる」「相手がどんな立場の人でも自然体でいる」みたいな状態が大切だと思っています。

そして、それはいつまでたっても終わりがないものだし、できるようになった、と思った瞬間、そうでなくなっていくようなものだと思うので、今日はできたかな、できなかったかな、ということを確認し続けて、すこしでも自分がこうありたいな、と思っていられる存在に近づいていきたい、という感じです。

そのためにも、やはり「ありたい姿」を磨いていくことがすごく大切だと思うし、そうなりたい、と思う意欲を持つことが大切なのかな、と思います。私は人と話をしたり、本を読んだりして、「まだまだ自分は未熟だなー」と思って、そういう中で自分の行動を振り返っています。


ライター

大山 あゆみ(LTS コンサルタント)

自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)