変化に適応できる組織作りに役立つ7冊 LTSの企業理念はここから生まれた(4)

LTS経営・組織

この記事では、LTSの組織作りに影響を与えた本について、LTS 執行役員山本政樹さんへインタビューした内容をご紹介します。山本さんが考える「読書」とは、本を通して見るLTSの企業理念の根底にある考え方とは。全4回です。

山本 政樹(LTS 執行役員)
アクセンチュア、フリーコンサルタントを経てLTSに入社。ビジネスプロセス変革案件を手掛け、ビジネスプロセスマネジメント及びビジネスアナリシスの手法や人材育成に関する啓蒙活動に注力している。近年、組織能力「ビジネスアジリティ」の研究家としても活動している。

『なぜ人と組織は変わらないのか』『学習する組織』で自分を見つめ直す

―――前回に続き、「自分たちが善だと思うものが何か」が、LTSのミッション・ビジョンの根底にはないといけないということですか。

山本:
そうですね。経営論を深堀すると組織論に行き着き組織論を深堀すると最後は個人の認知論に行き着くなという感覚があります。

その認知論を理解するには、『なぜ人と組織は変わらないのか』をおススメします。結局、自分自身がフラットなものの見方ができているか、他人に求めることと同じと自分ができているか、その逆も然りです。

そうなったときに、自分自身を客観視できるか、自分自身が良いと思っているものに即した行動ができているか、という内省ができるどうかです。

この本を真面目に読んで、そこで紹介されている手法を自分にあてはめてみると、結構ドキッっとしますよ。あまり気づきたくなかった、自分自身の嫌な面とかが見えてきたりします

―――そのような考え方が組織に浸透しているか否かで、組織としての様態が大きく変わりそうですね。

山本:
内省ができないリーダーは、どれだけかっこいいことを言っても説得力がありません。とはいえ、人間である以上、完璧に振舞うことなんて無理だと思っています。

その上で、いろいろと失敗をしてしまうことがあったとしても、それが失敗であることを認めて立ち止まって内省できるかどうかは、大きな差になると考えています。

そして、このように理解した個人レベルの内省の話を、もう一度、組織レベルに広げて話をする上で『学習する組織』が役に立つと思っています。

―――個人の話からまた組織に戻りましたね。

山本:
著者のピーター・センゲ氏に代表される「システムダイナミクス」系の研究者の人々の観点は、個人から組織へ、そしてその先の社会や地球環境へといった異なる階層の要素を結びつける見方を提示してくれます。

組織は結局、異なる意思をもった個人の集まりで、その意思の集合の上で動いているという視点は意外と忘れがちです。

U理論』という別の書籍で紹介されているセンゲ氏の言葉で、「組織はあくまで人間が作ったように動くのだが、我々は問題を引き起こしているのは組織だと言い張る」「人の思考から組織が生まれるが、その組織が人を拘束する」といったものがあります。

私はこれらの言葉が本当に大好きなのですが、これを肝に命じて組織の論理に振り回される前に「まず自分はどう考えているのか」をしっかり考えることは、ネットワーク組織に必須の個人の自律性を育てる上での最初の問いだと考えています。

『学習する組織』は、そのようなセンゲ氏の世界を知る上での必須の書です。これによってここまでお話したネットワーク組織の在り様を、全体のまとめ的に振り返ることができるように思います。

なおシステムダイナミクスの本としては、ドネラ・メドウズ氏の『世界はシステムで動く』という本があります。今回のテーマとは少しずれるので紹介対象からは外していますが、こちらも私が本当に好きな本で、システム思考について学びたい方にはぜひおススメしたいです。

―――『ティール組織』から『学習する組織』と、経営という広い視点から個人の認知まで、さまざまな観点がでてきました。

山本:
冒頭で、『ティール組織』や『適応力のマネジメント』の話をしましたが、これらはすべて個人の自律性やリーダーシップがある上で成り立っていて、それらを考える上では人間の認知というところまで深堀しないと、本当の意味でのネットワーク組織は実現できないと考えています。

今回ご紹介した本は、一般的には別のジャンルに分類されることが多いですが、一本の線で繋がっています。是非、これらの本をセットで読んでいただいて、そこにある繋がりを感じて頂けたらと思います。
今回のインタビューを受けて、またLTS内での読書会を企画してみようと思いました。また新たな気づきを得たら、このような形で発信できたらと思います。

読書によって、本来たどり着けないはずの遠くの世界に手を伸ばす

―――最後に、山本さんが考える「読書」について教えてください。

山本:
一言で読書と言っても、対象となる本には小説からビジネス書、専門書までさまざまなジャンルがあり、読書の目的もリラックスするためであったり知識の習得であったりと、その時々でさまざまです。

それでもあえてジャンルを問わず、私にとっての読書の価値を一言で表現するなら「自分を行動に駆り立てるもの」と言えると思います。良い本を読むと、何か居ても立っても居られない気分になります。小説から勇気をもらって新しいことにチャレンジしてみたくなったり、ビジネス書で得た新たな知識を活用してみたくなったりというように、です。

今回のテーマであったビジネス書に関して言えば、単に読み終わって新しい知識を得られた、というだけでは自分にとって良い読書ではありません。そこに書かれたノウハウにワクワクして誰かと共有して議論したり実務で実践してみたくなったりするような読書それが自分にとっての良い読書ですね。

今はテレビやインターネットなど、さまざまなメディアがあります。特に、インターネットには多様な記事があります。もちろん良い記事もたくさんありますが、閲覧者を稼ぐための記事が粗製乱造されているようにも感じます。

本は古典的なメディアではありますが、今でも正確で質の高い情報を短時間で得るための最良のツールの一つだと思います。本を通じて良質なストーリーや、さまざまな知識・考え方に触れ、その先で議論や実践につなげていくことで、私たちは自分の経験だけではたどり着くことのできない、はるか遠くの世界に手を伸ばすことができるのです。

―――LTSでは、読書会も開かれているんですよね。

山本:
はい。ここまで紹介した本も、過去の読書会で扱った本が多いですね。読んだ後に理解や感想をだれかと対話することで、本の内容を立体的に学ぶことができるので、とても効果的な取り組みだと思っています。

ただ一方で、若干の怖さもあります。例えば、自分の好きな本に否定的なコメントをされることもありますし、その逆もまたあるわけです。自分が感動した本の話をだれかにした時に、思ったような反応を得られなくてがっかりした経験は誰にもあるのではないでしょうか。

本から読み取るメッセージは人それぞれなので、読書会ではそういう個人の価値観は尊重したうえで、前向きな議論になるように気を付けて運営をしています。

―――今回は「LTS社員に読んでほしい本」というテーマのインタビューでしたが、たくさんある本の中からどのような観点で選定したのでしょうか。

山本:
社員に読んでほしい本というとさまざまな観点がありますよね。

例えば、お客様企業の変革を支援する立場としては経営学の古典は一通り知っていて欲しいし、デジタルトランスフォーメーション時代の経営を考えるのであれば最新のデジタル技術に関する動向は知っていて欲しい、といった具合です。

その中でも、今回はLTSのミッション・ビジョンの構築する上で土台となった本を選びました。ミッション・ビジョンは、LTSのメンバーの行動の中核となる原理・原則です。

LTSのメンバーであれば、自社のミッション・ビジョンを言葉として知っているというだけではなく、その前提となっている世界観を理解しておいてほしいと思います。そしてそれを理解する上で、今回紹介する書籍の読書はこれ以上ない最良の手段となります。

まとめ

―――ここまで、ありがとうございました。

山本:
今回は、LTSの組織作りに影響を与えた本をご紹介しました。

各本単体から得られる情報を、複数の本と関連させて整理することは、時間はかかりますが、理解を深め視野を大きく広げることができると思います。

皆さんの深める一助になればと思います。

今後もテーマを変えて、LTS社員はもちろん、IT・コンサルティング会社に興味のある方、企業や組織の変革に携わる方々に役立つ本の紹介をしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


取材・執筆者

ayumi.oyama
ayumi.oyama

CLOVER編集部員。育休復帰後、CLOVERの立ち上げ・運営に携わる。
主に、記事の企画立案・取材・執筆を担当。仕事と娘2人の育児で毎日がにぎやか。
地元は九州。通訳、翻訳、心理学の勉強を細々と続けている。

フォトグラファー

takamichi.inoue
takamichi.inoue

CLOVER撮影担当。
LTSに入社後、コンサルタントを経験。その後人事部に異動志願し、人財開発業務に従事。
息子の影響で?野山で昆虫採集やキャンプするのが休日の楽しみ。

編集者

yuya.kaseda
yuya.kaseda

CLOVERの編集・全体監修~メディア企画・運営全般。
SE、テクニカルライターを経てLTSでコンサルタントを経験、現在はLTSのマーケティングGリーダー。
スライド式QWERTY物理キーボード愛好家。