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はじめてのプロジェクトアサイン前に知っておいてほしいこと 若手コンサルの仕事術

今年も春がやってきました。
この記事では、これまで発信した「若手コンサルの仕事術」連載の特別編として、新入社員研修を終えプロジェクトへのアサインを目前に控えた、コンサルタントメンバーに向けて送られたアドバイスやメッセージをご紹介します。
LTSではコンサルタント職以外にも、ビジネスプロデュース職・エンジニア職・ITサービス職で新卒採用をしています。コンサルタント以外の職種にフォーカスした発信もしていきますので、今後もチェックしてもらえると嬉しいです。

社内SNSへの投稿で集まった、研修を終えた新入社員へのメッセージ

昨年(2021年)6月、LTSのコンサルタント職の多くが所属する部門の社内SNSにて、以下のような投稿がありました。

現在、新入社員の受け入れ準備をしています。その中で気づいたことやおすすめの情報を、新入社員に随時チャットで共有しています。
共有した内容をすでにプロジェクトに入られているみなさんにも見ていただきたく、投稿します。
新入社員はもちろんですが、初心を思い出す意味でもぜひご一読いただけたらと思います。


コンサルタント3年目(投稿時)メンバー

そしてこの投稿には、40以上もの返信が来ていました。

筆者も2016年に新卒でLTSにコンサルタントとして入社し、4~6月(現在は4~5月)にわたり新入社員研修を受け、はじめてのプロジェクトにアサインされました。コンサルタントは何をするのか?どのようなマインドでいるべきなのか?など研修では多くのことを学びますが、実際のプロジェクト現場は初めてなので、アサイン前はとても緊張したことを覚えています。

当時、現在使用している社内SNSはありませんでしたが、プロジェクトアサイン前には多くの先輩社員に声をかけていただき、1on1や食事の場にお誘いいただきました。しかし、現在はコロナ禍ということもあり、オフィスに出社している社員も少なく、外食をするにも様々な制限があり、以前ほど気軽に新入社員が先輩社員との場を持つことは難しくなったのではないかと考えています。

このような状況の中で上記のような投稿を見かけ、多くのメッセージが集まっていることを、LTSに内定している人やLTSに入社したいと考えている人に届けたいと思いました。そして投稿にもある通り、ベテランコンサルタントのみなさんにも「初心忘れるべからず」ということで見ていただけたらいいなと考えています。そして、コンサルタント職以外のメンバーにも参考になる部分があると思いますので、ご紹介したいと思います。

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これからご紹介するコメントは、新卒社員研修を終えたコンサルタント職の新入社員に向けて発信され、また新入社員の育成担当者間でも共有された、社内SNSに投稿されたメッセージです。

LTSのメンバーはどのようなことを大切にしているのか、そしてそのメンバーたちが集まり形成しているLTSの組織文化はどのようなものなのか、少しでも雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。

「”why”の大事さについて」(LTSコンサルタント 梅澤健太)

梅澤

みなさんが研修で作成した資料を通して、「why」の大事さを再度思い出しました。

コンサルティングの現場では「課題とどう向き合うか」が問われます。人間の認知や物事の理解には限界があり、「これが課題だ!」と思ったモノが「真の課題」ではないことが多く、コンサルタントである我々は真の課題であるのかを考える必要があります。

真の課題を模索する過程には、二つの「why」が大事だと思っています。
一つ目は、「その課題の原因とは何か?」のwhy
二つ目は、「目の前の事象が本当に真の課題であるのか?」のwhy

例えば、『ある友人から「英語を喋れるようになりたくて勉強しているが、全然上達しなくて困っている」と相談を受けた』という事象の場合。一つ目のwhyと向き合うことにより、「そもそも勉強時間が足りていない」「勉強方法が間違っている」といった原因に気が付くことができます。そして、さらに問いを繰り返すことで、根本的な原因に辿りつくことができます。これは、深堀のプロセスです。コンサルタントに求められるスキルの一つですね。

それに加えて、二つ目のwhyは「そもそも英語を喋れるようになりたいのは何故?」という問いを立てることです。「キャリアアップのため」「世界中の人と話したいから」「色々なコンテンツに触れたいから」等、その課題に様々な背景があると想像することです。このプロセスを通して、「キャリアアップのためなら、英語を勉強するのではなく会計を勉強したほうが良い」と提案することができます。(もちろん友人関係でいきなりこの様な事を言うと軋轢を生む可能性がありますが・・・)真の課題に気付き、新たな視点と提案を行うこともコンサルタントらしさと言えますね。

「whyを繰り返す」は非常に有効な手段なので、ぜひ使ってみてください。

引き続き、焦らず頑張っていきましょう!

「相手を理解すること、共感すること、一緒にやること」(LTSコンサルタント 石田尚紀)

みなさんもプロジェクトにアサイン後は、日報や週報を書くことがあるかもしれません。私が確認した新入社員の週報の中から「相手の目線に立つこと」に対して送ったメッセージを共有します。

相手目線に立つのは、非常に大事です。当然のことですが、やはり自分事として実感できないとなかなか腹落ちしないですよね。歯を磨かないと気持ち悪いのと同じくらいに、「お客様どう思うかな?」「この日本語分かるかな?」と確認しないと気が済まない!と習慣づけられるといいですね。

「初心忘れるべからず」というと月並みな表現ですが、プロフェッショナルとして振る舞う上でいつまでも大切にしたいマインドセットです。

ちなみに、上記について私が普段心掛けていることは「相手の状況を理解すること」「相手に共感すること」「一緒にいいものを創っていきましょう」という姿勢です。難しいことではありますが、日々の気遣いが大切だと考えています。

これから一緒に、いいものをお客様に提供していきましょう!

石田
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「状況に応じて使い分ける「視点」を鍛えよう」(LTSコンサルタント 新妻優花)

新妻

プロジェクトアサイン後は、膨大な情報を資料やお客様・チームメンバーとの会話を基にキャッチアップすることから始まります。アサイン直後のキャッチアップ後も、普段の業務の中で多くの資料に目を通す機会があると思います。その際に私が「木を見て森を見ず」にならないよう、気を付けていることを共有します。

「森を見る」ために、概要をざっとつかもうとサッと読んでいる間に、どこに意識を向ければよいのかわからず集中力が続かなくなることや、気が付くと資料の細部が気になって全体がわからなくなることを避けるため、ある程度自分の中で問いや仮説を持って、何を目的にその資料を読むのかを明確にすることをおすすめします。

例えば、お客様企業に関する資料を読む時には「××システムではどんなことができるんだろう?」「○○部はどんな業務を担当しているんだろう?」「△△という業務についてこの資料で概要を理解しよう」などの問いを立てると良いと思います。

ゆくゆくは、森を見る「鳥の目」、木を見る「虫の目」を状況に応じて切り替えることが必要になってくるため、まずは「自分は今どの視点を使っているのか」を、資料の読み込みや作業をしながら客観的に意識する習慣をつけることが今後に活きるかなと思います。

一歩ずつ頑張りましょう!

「できていないことを認識することは階段を上っている証」(LTSコンサルタント 坂口沙織)

新入社員のみなさん、研修お疲れさまです。

できないことがたくさんで、悩むことも多いと思いますが、できないことを認識すること自体、階段を上っている証だよ、というお話です。

こちらの記事を読んでみてください!

坂口
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「自分はこのプロジェクトを語れるだろうか?を自問する」(LTSコンサルタント 匿名)

匿名

そのプロジェクトを終える/離れるときに、「担った役割からそのプロジェクトを“語れる”ようになる」「その役割を経験したと堂々と言える」状態を目指すのはいかがでしょうか。

例えば、グローバルメーカーの三桁億円規模のSAPプロジェクトにおける展開定着支援を担っている場合、「SAP(ERPパッケージ)導入」「グローバルメーカーのシステム導入」「ユーザ展開定着」「三桁億円規模のプロジェクト」を経験したと(少なくとも経歴上は)みなされます。次にアサインされるプロジェクトが上記のどこかに引っかかっていたら、何かしら経験に裏打ちされた知見を発揮すべき…ですが、日々漫然と業務をこなすだけだと、「…ほんとに経験したんですか?」という状態になってしまいます。

まずは、プロジェクトにおける自身の役割を全うする自立することにフォーカスしましょう。

そして、「このプロジェクトを終えた時に、自分はこのプロジェクトを語れるだろうか?」を自問しつつ、日々過ごしてみてください。

「焦らず学び、常にお客様に提供している価値は何か?を意識しよう」(LTSコンサルタント 米満明子)

アサインによっては、基幹システムのように、学生時代には触れたこともないシステムやツールと向き合う場合もあるかと思います。こういったシステムは操作や仕組の習熟にも時間がかかりますので、「全然分からない!どこから勉強したらいいのだろう?」と焦ってしまうこともあると思います。

ですがまず、「なかなか理解できない、時間がかかる」のは当然なので、焦らないでください。

例えばSAPといった基幹システムには海外パッケージも多く、正直とっかかりづらいと思います。わたしも10年くらい基幹システムに関する案件に携わっていますが、世界各国のベストプラクティスが入っているので、個々のモジュール(財務会計・管理会計…など)自体がかなり深く、一週間やそこら勉強したところで太刀打ちできるものではありません。また、実務上は標準機能が分かっているだけでは不十分で、お客様固有の業務に合わせたアドオン機能についても習熟していないと通用しない部分も多々あります。

さらに強調したいのは、このようなシステムの操作スキルももちろん重要ではありつつ、システムはあくまでツールであるということです。その背後には、必ずそれを使ってお客様に提供している価値があります

自分がアサインされるチームがお客様のどの部署とかかわっていて、お客様は何のためにその業務をしているのか、その業務を通じてどのような価値を発揮したいと考えているのか、自分なりの解をもてるようにしてください。

そもそも、LTSはお客様にどのような価値提供をしているのかが一番重要なところです。

そこを忘れずに、何かあればいつでも声をかけてくださいね。

米満
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「この仕事は人を感動させ、喜ばせるだろうか?」(LTSコンサルタント 松本和也)

松本

私が社会人2年目の時に、実際にお客様から頂いたレビューの中で、特に刺さったものを少しアレンジして共有します。

ついつい言われたことを「こなす」ことに必死になってしまっていた時期に、ある成果物のレビュー依頼とともにいただいたコメントです。

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以下、今の仕事の仕方のイメージと、こうなってほしいというイメージです。

今の仕事の仕方は、レシピ通りの美味しい料理を作る、という具合です。これはこれで、1,2年目だけどおいしい料理を作るなぁという印象です。

こうなってほしいというイメージは、「ゴール設定ができる」と「想像力がある」状態です。作って終わりではなく、それを「食べる人がいて、美味しい気持ちになり、最後幸せになること」までがゴールです。

このゴールを設定しましょう。

そして、ゴールに行き着くまでのプロセスを的確に想像できるかがポイントです。

例えば、「何時に、誰が、どうやって食べるか?」などです。もしかしたら飲み物もあったほうがいいかもしれません。食べやすいように具材は小さく切っておいた方がいいかもしれません。一つの仕事でも、上述のような「料理を食べて幸せになるという体験」を想像して、ストーリー化できる人とそうでない人とではアウトプットが全然違います。

今回の成果物でも、いま××で困っている、△△のような人が、〇〇を感じて「わー!」とか「おー!」と言って喜ぶぞ!と想像しながら作ってください。もちろん簡単にはできないですし、経験と知恵が問われるのでそこは自分で学んだり人に聞いたりしてカバーしていきましょう。

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適当な仕事をしているつもりはなく、むしろやらなければいけないことに自分なりに必死で取り組んでいたつもりでした。それでも、人を喜ばせたり、驚かせたり、印象に残るような仕事に程遠かったと思います。

ただ言われたことをやるだけになってしまったら、「何より自分が面白くないでしょ?」とPMの方におっしゃっていただいたことが印象的です。

「この仕事は人を感動させ、喜ばせるだろうか?」この問いを、常に心に持っておくことをおすすめします。


ライター

大山 あゆみ(LTS コンサルタント)

自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)