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社員の自己実現と可能性を広げる社内キャリアチェンジ制度

LTSは、2021年に社内キャリアチェンジ制度「Career Link」を開始しました。開始から2年が経ち、複数の社員が社内でキャリアチェンジや現業と兼務して新たな挑戦を実現しています。今回、人事部組織人財開発グループ グループ長の舩木いくみさんに、制度の詳細や導入の背景・実績、LTSの人財育成に関する考え方についてご紹介いただきました。
舩木 いくみ(LTS 組織人財開発部 部長)

コンサルティング部門を経て、人事職にキャリアチェンジし、LTS内の組織開発・人財開発を担当。現在はオフィス移転(ワークスタイル変革含む)や20周年活動、ウェルビーイング活動に従事。(2021年11月時点)  ⇒プロフィールの詳細はこちら

社員の人生まで含めた人財育成の考え方

時代に合わせ変化するキャリア開発

――まず、LTSのキャリア開発の考え方を教えてください。

LTSではこれまで、新卒入社の社員に対して「入社後5~7年はLTSにいてください。一人前に成長すると共に、LTSでしかできない経験ができます」というメッセージを発信してきました。しかし、それはあくまでも社会人の初期フェーズだけにフォーカスしたメッセージで、キャリア開発が“企業の責任”から“個人の責任”に変化する中で、そのメッセージも変えていく必要がありました。

またキャリアの考え方の変化に加え組織と社員の関係性も大きく変わり、現代は個人と会社が対等な関係性の時代です。個人の注目は、“どの会社に入るか“ではなく、そこで”自分が何をするか、何を得られるか“という方向にシフトし、自分のやりたいことができるかどうかの方が個人にとっては重要になってきているのです。それと同時に組織は、“社員に選ばれ続ける会社”でなければなりません。

そのような背景に加え、LTSは昨年で創業20周年を迎え会社の規模も大きく変化し、10年以上の期間をLTSで過ごす人が増えてきました。そのような状況を鑑みて、人財育成の考え方を、新卒入社後の5~7年だけでなく、30代、40代、50代以降も含めた支援へと大きく変更し、新しい育成制度を整えている段階です。

※人財:LTSでは、「人材」を「人財」と表記しています。

社内キャリアチェンジ制度でキャリアの可能性を広げる

――2021年1月に社内キャリアチェンジ制度「Career Link制度」が開始しました。この制度の概要を教えてください。

この制度は、全社員に募集ポジションや条件を公開し、希望するポジションに応募してもらい⼈事配置に反映する取り組みです。実際に人事異動を決定する際は、応募者本人と所属・募集部門の関係者、そして⼈事担当者で面談や調整を重ね、最終的に応募者にとって何が最善かという観点で判断しています。

導入の目的は大きく2つあり、一つは、社員の⾃⽴的なキャリア開発を会社として⽀援すること、もう一つは社員の⾃⼰申告を中⻑期のアサインや配属に反映することです。応募型のキャリアチェンジ制度は異動辞令とは違い、社員がやりたい仕事を⾃分でつかむことができるといったメリットもあり、社員のキャリアの可能性を広げるきっかけにもなります。

会社として社員のよりよい人生に貢献する

――どのような背景から、今回この制度を開始されたのですか?

キャリアの考え方は、社会背景や組織の成長とともに変化してきましたが、LTSの人財の基本的な考え方は変わっていません。

※LTSの人財の基本的な考え方

LTSでは、成長の主体は本人であり、会社は成長しようとする個人を支援するという考え方に基づき、手を挙げた人には機会を提供しています。また、会社として⻑く広く個人のキャリア開発を支えるという方針を持っており、退職後や定年後に他のコミュニティに移っても、そこで活躍していけるための経験をLTSで積むことは必須だと考えています。

会社として何かしらの経験を積む場・枠組みを検討しており、その一つとして数年前からプロボノ活動にも取り組んでいます。また、将来的にはNPO法人の立ち上げも検討しています。これらの活動は社会貢献の意味合いもありますが、会社として社員に様々な活躍場所を提供したいという意図も含まれています。

LTSのよつばのロゴマークに込められた想いのように、LTSは社員個⼈の幸福度を高めることも目指しています。会社として社員のより良い人生に貢献するためには、社員がやりたいことをやれることが重要であり、そのためにはさまざまな選択肢を提供し自ら選べる状態が理想的と考え導入したのが「Career Link」です。

※よつばのロゴマークへ込めた想い:

お客様の課題解決や成長に向けて単なる外部支援ではなく、LTSが一枚の葉としてお客様と一体化し三つ葉を四つ葉に変化させる、「質的な変化」をもたらす存在であること
一枚の葉としてお客様と同じ立ち位置で、共に変革を進めていく真のパートナーであること

社員の「やりたい」をみんなで応援する組織文化

社員にとって最善の選択肢をみんなで導き出す

――制度を導入してから今年の1月で2年になりますが、どのような効果がありましたか?

現時点(2023年2月)で15件の応募があり、12件のキャリアチェンジ・兼務による新たな挑戦が実現しました。残り3件の内、2件は本人の希望による辞退、1件はCareer Linkとは別のポジションに異動となっていますが、約8割が成約 していますので、制度として根付いてきているという印象です。

制度開始時の懸念事項として、送り出す側としては「他部署に人を取られたくない」という気持ちがあるのではないかと考えていましたので、何かしら調整がうまくいかない案件やもめ事になる案件があることを想定していました。しかし、現時点でそのような案件はなく、送り出す側・迎え入れる側の双方に応援していただきキャリアチェンジを実現できています

また制度の名前を「Career Link」にしたのは、「FA」や「社内公募」という言葉をなるべく使わないようにしたいという意図がありました。制度の内容は社内公募と変わりありませんが、一方的に手を挙げて一方的に引き抜くというものではなくて、手を挙げて双方で相談して決めましょうという想いを「Career Link」の名前に込めています。そのため、冒頭でも説明しましたが、応募者にとって何が最善かという観点で、応募者本人と関係者や⼈事担当者で何度も面談や調整を重ねて人事異動への反映を決めています。

去る者快く送り出し、来る者拒まず活躍の場を提供する

――これまで約8割の案件が成約しているとのことですが、その要因は何だと思いますか?

成約率が高いのはLTSのいいカルチャーが影響しているからではないかと思います。送り出す側が「人を取られたくない」という考え方ではなく、皆に共通して「本人を応援してあげたい」という想いがあるように感じます。

例えば、自分の部下が「Career Link」に応募した場合、上司としては急に人がいなくなるのは困りますし、できれば手放しくないと思うはずです。ですが、成約している案件の面談の様子を見ていると、部下が以前から「やりたい」と言っていたことに対して応援したいという気持ちで頑張ってやっておいでと快く背中を押してくれている印象です。

とある案件では、成約が決まった後に送り出す側の上司から「育成の観点で本人が異動するまでの間、何か気をつけた方がいいことはあるか?」という質問をいただき、そこまで本人のことを考えてくれていることに驚きを感じました。成約したどの案件にも“本当にその本人のことを考えている”というのが共通してある気がしました。

応募者が募集ポジションの主ターゲットではない場合でも、受け入れ側には、手を挙げて挑戦したいって言ってくれているので“活躍場所を探そう”“育てよう”という意思があると感じています。複数の面談・対話を重ねる中で、何とかキャリアチェンジを実現できる方向を考えようという想いが皆に共通してありますし、直近の労働力としてではなくて、本当に本人のキャリアを考えて受け入れてくれていると感じています。

社員の自己実現の場としての組織

――今後、取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

「Career Link」はまだ始まったばかりの制度ですので、グループ会社への出向という形のキャリアチェンジ等、さまざまなケースが出てくると思います。新しい事例が出てきましたら、また記事でご紹介できればと思います。

冒頭でも少しご説明しましたが、現代は個人と会社が対等な関係性になり組織は個人に選ばれる立場になっていきます。

会社の未来に個人の未来を重ね合わせた時、個人にとってはそこで自分のやりたいことが実現できるかどうかが重要ですので、社員の自己実現の場としてLTSを選択してもらえるよう、LTSの描いている未来を共有し、組織のやりたいことと個人のやりたいことをリンクさせる・明確にするサポートもしていきたいと考えています。一方で、自分のやりたいことが明確になっていない社員も多くいると思いますので、会社としてさまざまな選択肢を提供し社員の自己実現の場を増やしていきたいです。


ライター

Yuno(LTS CLOVER編集部員)

CLOVER編集部員。メディアの立ち上げから携わり、現在は運営と運用・管理を担当。SIerでSE、社会教育団体で出版・編集業務を経験し、現在はLTSマーケティングGに所属。趣味は自然観賞、旅行、グルメ、和装。(2021年6月時点)