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ITは人と関わる仕事 ERPコンサルタントの働き方

LTSの女性ITコンサルリーダー2人に聞いた「ERPコンサルタントの働き方」。コンサルタントしてLTSに新卒入社した2人がITの世界に触れ、ERPコンサルタントとしてキャリアを歩み出していく軌跡を振り返ります。
新妻 優花(LTS マネージャー)

早稲田大学先進理工学部卒業後、新卒としてエル・ティー・エス入社。複数業界へのITコンサルティングサービスと、採用・育成・オンボーディングなど各種組織運営をリードしている 。「顧客の課題解決」「自社の組織創り」の両面にアプローチすることで、人と組織の成長を支えられる人になることを目指している。(2024年3月時点)

蓑田 ちひろ(LTS シニアマネージャー)

大学卒業後、新卒2期生としてLTS入社。入社後は、基幹システムパッケージであるSAPの導入~運用まで幅広いフェーズ・案件を経験。特にユーザへの展開定着化~運用立上げで複数のお客様での支援実績あり。2度の産休育休を経て、2020年からは副部長、2023年7月からは部長に就き組織運営を行っている。生涯を通じて女性活躍を推進・貢献することがテーマ。(2024年3月時点)

「ERPコンサルタント」になるまで

―――これまでの経歴を教えてください。

新妻:
2018年に新卒でLTSに入社して、1年目は当時引合いの多かったRPAを使った業務改善案件を担当しました。その後はLTSの新卒採用に関わり、コンサルタントの採用をしつつ、新たにビジネスプロデュース職・エンジニア職の採用プロセスの立ち上げを担当しました。2020年に入り新型コロナウイルス対応で選考プロセス全体のオンライン化のためのプロセス設計も担当しています。

ERPコンサルタントとしてのキャリアは3年目からスタートしました。まずは構想策定フェーズで業務要件の整理やRFP作成を経験しました。その後は現在担当している顧客の案件に入り、ERP導入の企画構想フェーズからベンダー選定、要件定義などを経て、現在(2024年2月時点)は導入フェーズの後半、受入テストの真っ最中です。

現在はLTSと外部のメンバー含めて7名のチームのリーダーを担当しています。お客様と一体になって動く役割で、どのように業務を変更していくかの検討、ヘルプデスクの立ち上げなども担当しつつ、ERPと関連・連携する他システムも含めたシステム部のお困りごと全般のご相談をいただくことが増えてきました。この先どのような対応をしていくか、お客様と伴走の仕方を考えているところです。

蓑田:
私はリーマンショック直後の2009年新卒入社です。最初はIT導入プロジェクトのPMOメンバーとしてITの世界に足を踏み入れました。その後にERP(SAP)コンサルを推進する部門に入り、SAP認定資格をとりつつERPコンサルタントの道を歩み始めました。最初は会計領域ロールアウトの要件定義で、管理会計の基本設計、受入テスト、大規模SAPの展開教育、販売領域のトレーナーなどで経験を積んでいます。

その後、現在のお客様に出会い、SAPの運用保守で十数名のリーダーとして働きつつ、2度の産休・育休をとりました。今はそのお客様のSAP刷新プロジェクトで、マスタ/権限領域を担当しています。

ITは人と関わる仕事

―――ITの世界でコンサルタントとして仕事を始める前と後で何か変化はありましたか?

新妻:
学生時代は生物・化学系で、ITの領域には接点がなかったです。最初のプロジェクトでRPAのコードを書くことになり「どうしよう」と思いましたし、正直ITには苦手意識があったのですが、いざ飛び込んでみるとITは人間がやりたいことを実現するためのツールでしかなく、そこには人間同士の意思決定があることに気付きました。

今は「ITをやりたい」というよりは「何かをより良くする方法を選ぶのにITを使わずに効率化するのは不自然」と感じるようになっています。ITを武器にして困っている人や課題を抱えている人を助けていければ、自分のキャリアとしても面白いかなと思います。

蓑田:
私は経済学部出身でITとは無縁でしたが、父は長くプログラマーとして在宅で働いていたので身近ではありました。しかも基幹業務であるサプライチェーンのプログラマーだったことを最近知り、知らないうちに近しいことを生業としていて驚きました。

就職活動中は「人が成長することに関わりたい」と思っていたので、人財育成・人財開発のコンサルティングをやっているLTSに入社しました。実際にLTSで仕事をしていくと、ITを導入する際に困っているお客様がたくさんいました。ITに関わることになったのは、それがきっかけです。困っている人がいたから、だと思います。

ERPは複雑で巨大なものですが、私のキャリアとしてはお客様ひとりひとりの困りごとの解決から始まっています。そこから徐々に俯瞰して全体を見るようになりました。最初から全体を把握しようとすると複雑すぎて得体の知れないバケモノに見えるERPですが、ミクロに捉えればそんなに難しいわけではありません。細かい粒度で切り取っていけば始められると思います。

構想、導入、運用 それぞれのフェーズの難しさ

―――ERPコンサルタントとして経験したフェーズについて教えてください。

新妻:
最初に経験した構想策定フェーズでは、必要になる教科書的なアーキテクチャの知識や各場面でやるべきことは独力でも学べますが、実際のプロジェクトでは足元の課題に対処しているお客様に向き合っていくことが必要でした。なので、教科書を越えて、人と人で対応していくことが、やりがいであり難しさでもあると思います。

導入フェーズは今回が初めての経験です。構想策定フェーズと同様に知識として知っていることはとても大事だと感じますが、全てを理解するのは難しいですね。移行や研修、テストなど、やらなければいけないことがたくさんありますが、社内で相談すれば誰かが助けてくれるので、なんとかやっていけています。

構想フェーズでお客様と一緒に検討した「やりたかったこと」を、導入フェーズを経て、体制の変更や人員の異動などもある中で実際の運用まで落とし込んでいく…これには何年もかかると思います。膨大な課題の一つ一つがどう解決されたのか?といった全ての関係性までは把握が難しく、悩ましいところです。

蓑田:
本当にその通りで、すごく難しいですね。
今、私が担当している刷新プロジェクトでは、個々の業務のワークフローを決めるのに苦労しています。例えば、品目マスタ登録のワークフローは、特に複数部門にまたがるので大変です。営業が起票して、製造部門・品質部門が追記、さらに会計部門が追記する…というフローの中で実際の担当部門はどこで誰と議論が必要なのか?プロセスを横断する場合はとても難しいです。キーパーソンをしっかり押さえて、合意事項を履歴として残しておくことが基本であり本当に大事だと痛感しています。

実際の運用まで考えると、最低限守るルールは仕組みで担保しつつ、ある程度選択の余地を残し最後は現場で決めてもらうようにするのがよいのかな、と最近は思っています。

新妻:
履歴を残す、キーパーソン、などの言葉の通り、人関係の課題が多いですね。
お客様上位層の意思決定で解決できそうな問題ですが、現実として経営層はIT以外にも多くの課題を抱えています。こういった経営や組織の課題を、ITを使ってどう乗り越えて課題解決できるか?が、難しいところであり、やりがいにもなっていると思います。

蓑田:
稼働後の運用フェーズの課題として、膨大な量のマニュアルを作成しトレーニング時は頼りにするものの、稼働後は徐々にマニュアルが使われなくなり形骸化するケースがありました。

教育展開フェーズを担当していた頃はこれに悩んでいましたが、運用保守フェーズを経験する中で、ヘルプデスクでマニュアルに書いてあること以上のサポートができる、問合せ対応をしつつマニュアルのメンテナンスもする、などを実現できたので、以前の悩みを解消できたかなと思っています。複数のフェーズを経験して解消範囲を広げられたのは、キャリアとしてもよいことだと思います。

専門知識か?マネジメントスキルか?

―――苦労していることや、工夫していることを教えてください。

新妻:
ITコンサルとして活躍するための必要な知識やERPの理解、そして現在のフェーズで取るべきアプローチなど、幅広い知識が重要です。さらに、人間関係のスキルや、どこでどのように合意形成を図るか、プロジェクトマネジメントのスキルも欠かせません。

今この場を乗り越えられたのは、専門的な知識があったからか?プロジェクトマネジメントや対人スキルで乗り切ったのか?そういった振り返りをして、足りないと感じたことを埋めていく形で、一歩一歩成長をさせていただいています。
自分の成長を現場は待ってくれないので、間に合わない部分は社内や外部の人に助けを求め、次回以降は自分で対応できるようにキャッチアップするよう心がけています。

蓑田:
プロジェクトのゴールを考えると、やらないといけないことは常にたくさんあります。余裕をもって全部やろうとしても難しいので、この瞬間、このタイミングでやらないといけないことを絞り込むようにしています。

新妻:
プロジェクトでのタスクにくわえて、自分よりも若手のメンバーとの1on1で自分が理解していることを言語化して伝えることで、自分の理解度を確認し続けています。チームメンバーが5〜6人いる場合、1on1で話すだけで月5〜6時間をかけられることになるので、その時間を自分の振り返りとしても活用しています。

2~3か月に1度、チームで振り返りを行うことも重要だと考え実践しています。社内の事例共有会の場で発表することで振り返りを兼ねることもあります。同じ失敗を繰り返さないようにするためにも、情報共有と振り返りの重要性を再認識しています。

メンバー育成はお客様にも支えられながら

―――メンバーの育成はどのようにやっていますか?

蓑田:
部門長をしているためマネジメント対象メンバーは多いですが、目の前のプロジェクトで見れば限定されます。自分が見られる人数には限りがあるので、自走できる状態の前のメンバーは手厚く状況確認をして、お客様と1対1で一緒に動けるメンバーはなるべく任せるようにしています。

新妻:
大規模なプロジェクトなら複数のチームごとに動くので、お客様の担当者とLTSメンバーの関係性が確立されていれば、なるべく自力で乗り越えてもらう機会を大切にするようにしています。他のメンバーやプロジェクト内外の社員、場合によってはお客様にもサポートして頂きながら、2人3脚で乗り越えられた経験を1つでも多く積み、自信を積み重ねる経験値としてもらうことを理想としています。そのために、依頼したタスクそのもののレビューはもちろんですが、お客様とメンバーの関係性の維持向上にも意識を向けています。

自分自身の時間も限られている中、自分のエネルギーと時間をどこに注力するか?はいつも悩みながら対処していますね。

蓑田:
新妻さんと同じようにお客様にも一緒に若手メンバーを育てていただける環境があるので、お客様には恵まれていると思います。外部やコンサル頼りという姿勢ではなく、ITや業務にも詳しい方がプロジェクトに入ってくれているので、私たちもパートナーとして一緒にやれていると思います。

新妻:
お客様と一緒に働けることは、すごく勉強になりますね。数年に一度のERP刷新は、お客様の中でも一大プロジェクトですので、様々な部署のキーマンに参加いただいており、業務面でも一社会人としても勉強させてもらうことが多いです。コンサルタントではない別の道で生きていたら、そういう方がたとの関りは作れなかったと思います。貴重な経験をさせてもらっています。

ERPコンサルタントというキャリアの作り方

―――キャリアや働き方について、これからERPコンサルタントを目指す人へメッセージをお願いします。

蓑田:
JSUG(Japan SAP Users’ Group)というSAPのユーザー会から最近発行された冊子で、女性のリスキリングを支援している経営者の記事がありました。SAPというグローバルでも通用するスキルをリスキリングのコンテンツとして提供しているそうです。

今までのキャリアでも実感していましたが、男女も関係なく、SAPのスキルを習得すれば自分の市場価値を上げられます。女性の労働賃金が低い日本の労働環境の中で、自分がSAPをはじめたきっかけは、出産を経てもちゃんとキャリアを作れる専門性を持つという選択の上でした。そういう意味で、ERPのコンサルタントは良い選択肢だと思います。この先も社内の他のメンバーも含めて、スキル習得する機会を継続的に作っていきたいと思っています。

新妻:
自分も含めてLTSのERPチームは女性が多いです。一方で、相対するお客様はベテランの意思決定層なので男性の役職者が多く、ベンダーさんも男性が多いです。そんな中で、お客様の男性管理職にLTSの若い女性メンバーが「あれをこうして」と対等な立場で発言している姿が、お客様社内では衝撃的だったそうです。いい刺激になっている、と言われています。LTSのようなコンサル企業では男女や年齢は関係なく意見が言い合えるので、意識したことがなかったですが、スキルや専門性が活きるコンサルタントならではのことかもしれません。

ITやコンサルの世界では、物事を前に進めてゴールを達成することに意欲や関心を持てれば、スタートではITに苦手意識があったとしても乗り越えていけるのではと思います。食わず嫌いせずに先に進めば自分なりのキャリアは作れるので、恐れずにITの世界に飛び込んで経験を積んでいってほしいです。


インタビューアー・ライター

忰田 雄也(LTS マーケティング&セールス部 部長代行)

SE・テクニカルライターを経て、LTS入社。ERP導入や業務改革におけるユーザー向け広報・教育企画および業務文書改善など組織コミュニケーションに関連するコンサルティングに従事。2017年よりLTSコンサルティング事業のマーケティングを担当。2021年より本サイト「CLOVER Light」の立ち上げ~運営・編集長を務める。(2024年1月時点)