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デジタルテクノロジー

LTSと花王 生成AIの活用をテーマにハッカソンを共催

株式会社エル・ティー・エス(本社:東京都港区、代表取締役社長:樺島 弘明、以下LTS)は、花王株式会社(本社:東京都中央区、以下花王)と協働で、生成AI(LLM=大規模言語モデル)に関するハッカソンを開催し、マーケティングとトレンドデータ分析のアプリケーションのプロトタイプを開発しました。3日間の集中開発と1日のプレゼンテーション・コンテストという超短期間で概念検証と評価までを実施。有用性が確認されたものについて今後、技術検証と実用化を検討します。

ハッカソンの参加者。終了後に記念撮影

日本人とベトナム人混合の4チームーハッカソン概要

花王から具体的な業務課題と必要なデータを提供いただき、2月19日~22日の4日間、FPTジャパンホールディングス株式会社(本社:東京都港区)にて開催。花王関係者約10人、LTSとFPTコンサルティングジャパン株式会社(本社:東京都港区)、FPT-AIC(ベトナムのICTリーディングカンパニーであるFPTの子会社FPT SoftwareのAI研究組織)のコンサルタント・AI/フロント/バックエンド/インフラエンジニア20人(日本人10人、ベトナム人10人)が参加しました。日本人とベトナム人混合の4チームに分かれ、業務課題解決のためのLLMを用いたプロトタイプを開発、プレゼンテーションに取り組みました。技術的・ビジネス的価値と創造性、プレゼンテーション技術の各項目で評価しました。
※LTSは、FPTジャパンホールディングスと資本業務提携を結んでいます。FPTコンサルティングジャパンは、FPTジャパンホールディングスとLTSの合弁会社です。

最優秀賞はー開発した4つのプロトタイプ

▽【最優秀賞】生活者が潜在的に考えていることを捉え、ファンになってもらうためのマーケティング戦略生成AI
特徴:人間であるブランドマネージャーやSNSを基にした〝生活者GPT〟が、複数の〝個性を持つAI戦略家〟と対話することで、AI戦略家がストーリー性のある戦略を生成、生活者調査・競合分析と合わせて行動計画を出力する。

▽従来の既成概念に囚われない新しい体験価値を発見することに特化した戦略的ソリューションAI
特徴:人間の認知バイアスや限界を超えるためにAIペルソナ(ユーザーイメージ)を設定。様々な立場のAIペルソナ同士が討論することで顧客の購買行動の根拠や動機を探り、人間の常識を超える現実的かつシャープな戦略の気づきを促す。

▽〝アナリストAI〟ならではの「トレンドの時系列データからその変化の要因をLLMで生成・改善プラン」検討AI
特徴:ChatGPTプラグインが、トレンドの時系列データの顕著な変動点を発見し、エビデンスとなる情報を収集。情報の感情分析を経て改善案を提案し、未来予測と取るべき行動アイデアの検討材料を提供する。

▽人間の視野を広げる、トレンド分析・施策検討webアプリ
特徴:ユーザーである人が作成したトレンドデータ分析レポートについて、不足している観点を抽出しユーザーに提案。ユーザーはアプリと対話を重ねることでレポートの改善を行い、ビジネス上の幅広い施策検討を可能とする。他テーマへの適用やレポートの自動生成、教育ツールとしての利用も可能。

「ソリューションのない課題解決に有効」ー関係者コメント

▽花王株式会社情報システム部門ESM部アナリティクス・テクノロジーグループ部長 永良 裕
生成AIの登場により、従来は人の仕事と考えられてきた創造性が必要な領域に対して、人の能力を補完し拡張することが可能になりました。一方で人の発想は、思い込み、経験などのバイアスが阻害要因になる場合があるとも感じていました。今回のハッカソンにおいては、現状維持や効率化という視点ではなく、現状突破という視点で、人の発想の限界を超えるために生成AIを活用できないかという視点でテーマ設定を行いました。
クライアントの立場からは、一切前提を設けずテーマをお伝えしただけでしたので、どんな物が出来上がるか期待と不安がありました。結果的には2日半という短期間で、想定を超えるアイデアと実際に動作するプロトタイプが出来上がり、LTS様の技術力と発想の柔軟さに驚いています
優れたソリューションの導入を進めている一方で、まだ満足できるソリューションのない課題については、その解決のためにアイデアを出し、恐れずに試してみる必要性を感じています。ハッカソンは、ソリューションのない課題解決にとても有効な手段だと感じました。

▽LTS取締役 専務執行役員 上野 亮祐、データ分析チーム 坂内 匠
AI開発は数か月のPoC(概念実証)を経て本格開発するのが一般的です。しかし、LLMは多様で曖昧なユースケースが多いため従来の開発アプローチでは対応しにくく、開発コストも増大する傾向にあります。LLMに関する多様な顧客ニーズに応えるため、様々なサービスを模索しているLTSとして、花王様とのハッカソン開催は、ソリューション開発の費用対効果、人財育成の面で非常に優れている手法だと考えています。

AIの業務導入について素早く判断ー狙いと効果

LLMの登場により経営資源の効率的利用や業務改善だけではなく、新規事業の開発・展開など、AIのビジネス活用が急加速しています。一方「どんなシステムやサービスを使えばいいか分からない」「人財がいない」といった理由で、導入に躊躇されるケースもあります。ハッカソンでAIアプリを短期間で集中開発をすることにより、主に以下2点の効果が期待されます。

  • 意思決定層が技術理解を深めることで、従来型のPoCよりも早くAI技術の業務導入について判断ができる。また、AIを研究・実務で担当しているコンサルタントやエンジニアと直接コミュニケーションをとることで、ビジネス利用について可能性を広げることができる。
  • 若手のAIコンサルタントとエンジニアが協働することで、急速に進化する技術への多面的な理解を深め、キャリアに関する選択肢の拡張という人財育成につながる。評価者や聴衆者も、技術のビジネス適用の理解を深めることができる

AIの超短期の概念検証と人財育成は、別々に取り組むことが一般的ですが、ハッカソンでは概念実証と人財育成を実践的かつ効率的に行うことができます。