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SAP運用保守コンサルとエンジニアの働き方 LTSとHRPの協働プロジェクト事例紹介

ERPの導入後の運用フェーズでは、専門ベンダーによるシステムの保守が必要です。日々発生する不具合対応、機能改善、インフラの改修など対応が必要な作業は複雑かつ多岐に渡るため、この領域を専門とするコンサルタントやエンジニアも存在します。
2023年10月にLTSグループに加わったHRP(日比谷リソースプランニング)とLTSは、運用エンジニアと運用コンサルの立場で協働してサービスを提供しています。今回は同じプロジェクトで活躍するコンサルタントとエンジニアに話を聞きました。
中村 拳史郎(LTSコンサルタント)

LTS入社後、SAP導入フェーズのプロジェクトに参画し、周辺システムを含めた運用定着化、システム運用保守、二次開発以降の開発管理などを経験。 現在は企画構想に関わるプロジェクトにも参画し、ITライフサイクル全般を幅広くカバー。(2024年8月時点)

野中 隆弘(HRP SAP認定テクノロジコンサルタント Basis)

日比谷コンピュータシステム入社後、SAP導入保守部門でベーシスエンジニアを経験。HRP(日比谷リソースプランニング)の立ち上げを経て保守チームリーダーを務めると同時に営業・提案も担当(2024年8月時点)

運用保守コンサル・エンジニアになるまで

―――これまでのキャリアを教えてください。

中村:
LTSに新卒入社後、最初のプロジェクトがSAPの移行フェーズでした。今も同じお客様でシステム運用保守コンサルタントとしてお客様側でSAP運用を支援しています。
運用保守の対象はSAPだけではなく、勤怠管理やインフラ・基盤なども含まれます。最近もシステム基盤をクラウドに移行するなどの支援を経験しました。

エル・ティー・エス 中村 拳史郎

野中:
日比谷コンピュータシステムに新卒で入社し、当時立ち上げていたSAPの導入保守を専門とする部門に配属されて、ベーシスエンジニアとしてのキャリアを開始しました。複数プロジェクトを担当して経験を積んだ後に、HRPの立ち上げを経て保守チームのリーダーをやっています。
ここ10年くらいは複数のお客様を掛け持ちで担当しつつ、様々な提案活動も行っています。その流れで昨年23年の10月から、LTSからの紹介で今のお客様の運用保守を、前のベンダーから引き継いで対応させて頂いているところです。

日比谷リソースプランニング 野中 隆弘

―――LTSとHRPの体制の運用保守プロジェクトを推進していると聞いています。現在のプロジェクトについて教えてください。

中村:
今、HRPと一緒にやっているSAP運用保守のプロジェクトは、LTSからは5~6人の体制で大きく分けると4つの領域、ヘルプデスク業務、決算業務などの会計業務支援、システム開発保守、SAP以外の周辺システムの保守、を支援しています。
導入フェーズから継続しているプロジェクトなので、運用フェーズの初期では不足分を埋める2次開発を主にやっていました。現在はマイナスをゼロにするフェーズは概ね一区切りつき、不便な部分の改善、プラスを増やしていくための運用保守コンサルティングを進めています。

野中:
HRPはSAPの保守を担当していて、私はRPSサービス(リソースプランニングサポートサービス)の提案などをやりつつ、6名体制のアプリとベーシス保守チームのマネジメントをしています。基本的には安定して運用していますが、都度工数管理をしつつ稼働の調整をしながら対応しています。

保守ベンダーの切り替え…対応できるベンダーがいない?!

―――どういった経緯でLTSとHRPが同じプロジェクトで協働するようになったのでしょうか?

中村:
昨年、担当しているお客様でSAP運用保守ベンダーを切り替えることになり、引継ぎ先の保守ベンダーを探していました。しかし、いわゆる一般的な販売・購買・会計だけなく少し特殊なPSというモジュールを使っている案件ということもあり、引継ぎ先のベンダー探しに苦戦していて…。
やっと1社見つかったところで、樺島さん(LTS代表)からの紹介でHRPとも会うことになりました。

野中:
当時の親会社の竹村さん(HCSホールディングス社長:当時)とLTS樺島さんに交流があったことは聞いていました。そこで保守ベンダー切り替えの話を聞きまして。運用保守の提案はいつもやっているので、その中の一つとしてまずは対応していました。
SAPとしては珍しいPSモジュールの経験は我々もなかったのですが、社内で勉強しつつ、シニアなメンバーと相談した上で「やれるだろう」と判断しました。

―――こういったケースは多いのですか?

野中:
基本的には、SAPの導入に関わって、そのまま運用保守にスライドしてくことが多いです。スポット的に一部の保守業務だけ依頼されることはありますが、今回のように導入フェーズで全く関わりがない案件の保守業務全体を途中から引き継ぐことは、珍しいです。

過去に同じような提案の経験はありますが、お客様の業務を確認しつつ、元のベンダーがやっていた運用保守としての作業手順や背景の確認など、引継ぎの工数が膨らむことになります。お客様や関係者にそういった点を理解して頂く必要もあり、難しさはあると思います。

HRPと組んだ理由は「仕事への向き合い方とコミュニケーション」

―――運用保守の引継ぎ先としてHRPに決めた理由を教えてください。

中村:
運用保守の引継ぎ検討先のベンダーはもう1社いました。HRPを選定した決め手になったのは、仕事への向き合い方と、コミュニケーションですね。意思疎通が取りやすく認識齟齬が生まれにくいなど、日頃からコミュニケーションに気を付けていることが分かりました。

野中:
必要な確認をしっかり積み重ねていくほうが、手間はかかりますが確実ですし、結果的に手戻りも防げて時間もかかりません。不明点があれば確認する、そういうことを心掛けています。

中村:
そうですね。LTSからだけではなく、HRPからの質問や確認がしっかり来ることも良かった点です。確認が必要なタイミングですぐに回答が得られるレスポンスの速さも高評価でした。

―――HRPから見てLTSはどう見えていましたか?

野中:
HRPのビジネスは導入保守ベンダーの立ち位置ですが、LTSはお客様側の立場で支援していることが印象的でした。他の案件では元請けのIT企業を通したお客様とのやりとりが中心ですが、お客様の立場でプロジェクトに入っているLTSの存在は大きいです。
HRPからお客様向けの説明資料を出すと、LTSが間に入って情報を集約し着地点を探した上で、お客様とコミュニケーションができる。これはとてもやりやすいですし、こちらでもやり方を勉強して取り入れたいと思っています。

中村:
こちらからの印象としては、HRPの仕事は堅実だなと感じます。そこに信頼感があります。

野中:
堅実と言ってもらえるとありがたいです。HRP内の周囲の社員がそういった仕事の仕方をしているので、当たり前になっているのではないかと思います。

中村:
事前に決めたプロセスがしっかり実行されているので、確認する際も状況が常に見えやすいです。基本的にやることが多くて常に余裕がなく時間に追われているのがIT運用の現場なので、決めたことをきちんと実行できることは大事ですね。

野中:
ITの現場では、時間がなくてドキュメント作成が後回しになり「動いているシステムが正しい」といったことはよく起きていると思います。色々なことを後回しにしてしまう結果ですね。結果として余計に時間がかかる事態になるので、そうならないように気を付けています。

―――現在はLTS・HRPの体制になって数カ月経ちますが、なにか変化はありましたか?

中村:
業務に寄り添った形での運用保守の提案資料をHRPが作ってくれるようになって、お客様のシステムの理解が進んだと感じています。これまではLTSがお客様と保守ベンダーの間に入って橋渡しすることが多く、その翻訳作業に力を使っていました。HRPが色々な作業の進め方について事前に整理した資料を出してくれるので、変化が起きていると思います。

野中:
必要な資料の作成や提案はできるだけやるようにしています。やはり直接お客様とお話ししてご理解いただくほうが伝言ゲームのようにならず、認識違いも防げますので。

SAPの運用保守を定額・定量でリモート支援するRPSサービス

―――今回のプロジェクトで採用しているRPSサービスについて教えてください。

野中:
RPSサービス(リソースプランニングサポートサービス)は、SAPや周辺の運用保守をはじめ、スポットの構築対応などを定額+従量制でリモート支援するサービスです。運用保守に必要なリソースのみを提供していて、全体としてはスポット的な保守業務の支援が多いです。

大多数のお客様は、多くある保守作業の一部だけ、社内や既存の保守ベンダーではうまく噛み合わない部分だけ、短時間だけ、などで契約しています。最小だと月2~3時間という作業もあります。そういった様々なお客様の保守サポート作業を組み合わせて、複数の運用エンジニアで回しています。

RPSサービス:https://www.hibiya-rp.co.jp/rps

―――メンバーへの作業アサインなどどのようにマネジメントしているのでしょうか?

野中:
RPSサービスの運用エンジニアは、複数の案件をかけ持ちすることが前提になるので、日別や時間単位でタスクをアサインしています。お客様ごとの保守用PCを4~5台持っているメンバーもいますね。
プロジェクトごとにリーダーはいますが、インフラや導入などメンバーの得意領域に合わせて全体で工数をシェアして業務を回しています。3か月後くらいまで見通しを立てつつ、とはいえ急な対応も発生するので。必要なら部門をまたいでやりくりしています。

ちなみに、SAP以外のシステムでも手順を決められれば対応できます。
ご興味ある方はご連絡いただければお話聞きに行きますので、RPSサービスをよろしくお願いします!

RPSサービスについてのお問合せはこちらまで:https://www.hibiya-rp.co.jp/contact/

それでも大変だった保守ベンダーの引継ぎ

―――保守業務全てを別のベンダーから引継ぐことは珍しいとのことですが、どのように進めたのでしょうか?

中村:
ベンダーからベンダーの引継ぎでは、基本的にはシステムの話が中心になっていきます。裏にあるユーザー業務の話はされません。なので、ユーザー業務はLTSが講義形式で全6回業務説明会を実施しました。

 野中:
講義を全メンバーで聞いてからシステムの引継ぎが始まりました。

中村:
業務の説明は必要でしたし、やってよかったと思いますが、時間的には大変でしたね。

野中:
LTSとは都度相談ができる関係の中で切り替えができたのがよかったですね。前のベンダーがやっていた手順は確認しつつ、必要であればより良いやり方に変える合意形成がきちんとできました。

中村:
「保守ベンダーは変わったけど、やり方は同じで」ではなく、お互い議論してやりやすい形に変えられたこと、そういった相談をしてもらえたことが良かったです。

運用保守コンサル・エンジニアの今後のキャリア

―――LTSではERP運用コンサルからIT上流のコンサルまでキャリアがありますが、HRPの運用エンジニアではどういったキャリアがあるのでしょうか?

野中:
まず運用エンジニアのキャリア形成ですが、比較的大きめの案件でシニアがいてミドルがいて若手もいて…という体制の中でシニアが中堅を、中堅が若手の育成をしてキャリアを引き上げていく、というのが基本的なスタイルです。

保守だけというわけではないので、導入案件への提案をしていく選択肢もあります。実際に獲得できた案件と必要なポジションによって、育成したい人に機会を作ってチャレンジしてもらえるようにしています。複数の案件に入ることで経験が増えて提案能力も身に付いて行くので、広い目線でキャリアを考えてもらいたいです。

中村:
LTSの場合、このERP保守コンサルの領域では2年くらいのサイクルで次の案件に移っていくのが基本ローテーションです。運用保守案件で身につけられることは、エンドユーザーとのコミュニケーションや基本的なビジネススキル、あとは保守業務の中でシステムの知識を学んで、自分が専門にしたい領域を絞り込んでいく。これを2年かけてやりきるイメージです。その後、別の運用案件、導入や上流など別フェーズなど、次のステップに送り出してローテーションしていくのが良い形ですね。

HRPがLTSグループに入って人材面でも連携できるようになったので、今はエンジニア領域をHRPが、コンサル領域をLTSが、でやっていますが、今後はその垣根を越えた配置の転換も考えていきたいです。

野中:
6月あたりに現在のお客様でも「何人かLTS側のチームに入りませんか?」という話をもらいましたね。その時はメンバーの調整が合わず実現できませんでしたが、今後は挑戦していきたいと思っています。

中村:
はい、LTSとHRP双方でキャリアの可能性を模索していきたいですね!


インタビューアー・ライター

忰田 雄也(LTS マーケティング&セールス部 部長代行)

SE・テクニカルライターを経て、LTS入社。ERP導入や業務改革におけるユーザー向け広報・教育企画および業務文書改善など組織コミュニケーションに関連するコンサルティングに従事。2017年よりLTSコンサルティング事業のマーケティングを担当。2021年より本サイト「CLOVER Light」の立ち上げ~運営・編集長を務める。(2024年1月時点)