第2回は、LTS卒業後、静岡県焼津市にある食品・医薬品向け製造機械を完全オーダーメイドで開発・設計・製造するメーカー、イシダテックの代表取締役社長として活躍する、石田尚さんにお話を伺いました。
静岡県焼津市出身。2012年LTSに入社。主に、システム展開支援、業務変革支援、基幹システム導入支援プロジェクトに従事。また、新卒採用のリーダーも務める。2015年、家業の事業継承準備のためにイシダテックに入社し、営業統括や経営企画を経験。2018年にスイス企業と合弁会社AO Group Japanを設立し、同取締役COOも兼務する。2020年12月より現職。産業用のオーダーメイド装置を設計・製造するメーカーを経営している。(2022年1月時点)
お客様の課題を解決する力を付けたい!
まずは、イシダテックの会社紹介、ありがとうございました。
普段目にすることのない製造機械が多く、とても面白かったです。
すみません、張り切って、結構なお時間を頂きました(笑)
いえいえ。
早速お話を伺いたのですが、石田さんはなぜLTSに入社されたのですか。
当時の青い言葉で言いますと、歴史的・宗教的・文化的な文脈関係なく、人を突き動かせるような人になりたいと思っていました。私が入社する2012年は、LTSの第2創業期で会社づくりができるフェーズということで、採用活動を通して面白そうだなと感じていました。
決め手となったのは、コンサルティングという職種もさることながら、世の中やお客様が解決したいと思っているふわっとした課題意識に対して、具体的な解決策を提示する力を身に付けたいと思ったからですね。
そしてその力を、既にあるサービスや事業の中で身に着けるのではなく、会社づくりやそれを通した人との関係性の中で身に着けていきたいと思ったんですよね。
活動時に、他に入社を迷った企業はありましたか?
最後の最後まで、大手人材会社と迷ってたんですけど…。当時、私の採用担当だったLTSの先輩に相談すると、図解してくださったんですよ。
ビジネスの一般的なフローの上に、私が身に着けたい力、やりたいこと、とかをマッピングして、LTSとその大手人材会社でできる=〇・できない=×書いて。そしたら、LTSに〇が多くて!(笑)決めましたね。
そんなことがあったんですね(笑)。
LTSの採用の方って、かなり親身にやりとりをしてくださいますよね。
採用プロセスの中で面談をさせていただいたLTSの方が、内定を親のように喜んでくださったこともあって、ファミリー感があるなと思いました。
間違っていることを、間違っていると指摘してくださる先輩方
入社後、LTSでの経験はどうでしたか。
に、ITシステム導入の展開支援プロジェクトを3か月ほど担当していました。その後、2014年入社の新卒採用を8か月ほどやらせていただきまして、またプロジェクトに戻りました。そのプロジェクトでは、業務プロセスを書いたり、要件定義をやり直したり…。
その後、忘れもしない事件がありまして。
私の、ベンダーさんに対するリスペクトが足りない言動が良くないと、当時の上司だった方や、プロジェクトの先輩にお叱りを受けました。
そのエピソード、社内で聞いたことあるかもしれないです。
でも、他人の考えや行動に対して、それは違うって言うのって相当なパワーを使うと思うんですよ。
自分に対して、先輩方がそんなに熱を持って接してくださったのが本当に嬉しくて、これは変わらなきゃいけないと思いました。
その夜帰宅後に、言われたことを噛み砕いて、こういうことですよね…というメールを先輩に送ると、返信の一言めが「真摯に受け止めてくれてありがとう」という言葉だったんです。感動しました。
今振り返っても、自分にはリスペクトが足りなかったな…と反省します。
そのプロジェクトはLTSの中でも、大成功プロジェクトだったと聞いています。
ベンダーさんについては、彼らも仲間だという意識を持って仕事をしてほしいと、当時の先輩方は考えていたんでしょうね。
そうですね。なんだか熱くなってきましたね。エアコン点けます(笑)。
LTSでの経験が、今の会社経営に活きている
石田さんがLTSに在籍されていたころは、石田さんのお父様がイシダテックを経営されていましたよね。
LTSを卒業するタイミングは、ご自身の中では決めていたのですか。
入社時は、7年は働きたいと思っていました。しかし、いろんな事情で予定より早くLTSを退社しました。
その時の上司や、社長の樺島さんとも話をしましたが、「いってらっしゃい」と送り出してくださいました。
先ほどの会社紹介でも、石田さんのご活躍…本当にすごいと思いました。
LTSでの経験は、どのように活きていますか。
その質問、待ってました。見ていただきたいものがあります!
…こちらが弊社の業務マップになります!
これは…完全な内輪ネタですが、この資料のフォーマットが、どこから来ているものか分かりますね(笑)。
やはり、企業の業務の流れをしっかり理解していないと、話にズレが生じてくるんですよね。
この業務マップを活用して、社員一人一人の認識を合わせることができています。あぁ、今ここの話してるんだって。必要に応じてアップデートして、現在v4です。
すごい…。
イシダテック入社1日目から、業務マップを作るために、業務把握、現状分析・把握、AS-ISの分析をやりました。
私の場合ちょっと特殊で、家業としてこのイシダテックに入社して、一から製造をやってください、とはならなかったんですよね。製造部には長年培ったものがあるので、それはそれで大切に、と。
自分が求められていた役割は、スムーズな社長の交代だったので、会社の全体を知るためにも、各部門部署にヒアリングして、これを作りました。
小さい会社とはいえ、いろんな話が出てくるし、みんな自分の言葉で話すので、「今どこの話してます?」って認識を合わせるために、業務マップを見ながらきちんと確認をする必要があります。
これを見ると、業務の流れが明確に分かりますね。
モノの流れとデータの流れが分かれているところが、石田さんの上司の方の作風を感じさせます。
LTSで学んだものが活きているというよりは、完全にLTSを引き継いでいます(笑)。
あと、人・組織のところでは、見よう見まねですがLTSの現人事部長からの学びを活かして、社員の職種ごとのキャリアパスや、評価シートを作りました。これも、社内ヒアリングでカスタマイズしまして。
あと、LTSではプロジェクトに入ると、1年目2年目でも、会社の上の方と接する機会が多く、多くの学びや気づきがありますよね。
例えば、お客様が気持ちよくゴールまで走っていけるように、もちろん自分も走りますが、サポートするに尽きるかなと思います。それは今でも多分に活きています。
壁にぶつかっても、仲間たちと前に進んでいく
LTSを卒業されてから、イシダテックではいろんな方と連携して、新しいチャレンジなどもされているようですが、もともとそういった社風なのでしょうか。
どうですかね…それは、あまり考えたことが無かったです。
地方のこういう会社で、長く勤めるとそれなりの想いや考えもあるので、そういう人の想いも大事にしながら、新しいチャレンジはどんどんしていきたいと思っています。
大事ですよね。
チャレンジをする中で、壁にぶつかったことはありましたか。
ジョイントベンチャーを作った時は、難しかったですね。
新しい機能が、業務マップに一つ加わるだけだと思ったんですけど、全くそんなことなかったです。新しい機能が会社に増えて、それを既存の人材・お客様で回そうとすると、大混乱が起きました…。
新しい機能を加えたら、そのための想いに共感してくれて、そのための機能を持ち合わせたメンバーを集めることが必要だったんですよね。
その新しいメンバーを見つけるのにも、苦労しました。
想いを一緒に持ってくれるメンバーを、つながりの中から見つけ出して、現在4人になりました。
そうすることでやっと、技術の種が芽を出して、お客様へ提供できる価値になりそうなところにきて、イシダテックに新しい価値が付加されました。
今だから言えますが、当時は2年間ぐらい毎晩寝る前にもうダメかもしれない…と思っていました。(笑)
話を聞いていると、石田さんってLTSの社長である樺島さんの一番弟子だったんじゃないかなと思いますね。
自分の中で内省してフィードバックを繰り返して、新しいチャレンジを推し進めていくような。
樺島さんとは、今でも年に1回くらいのペースでお会いしています。その度に、いろいろな学びがあります。笑顔で一喝されることもありますが…。
そうなんですね(笑)。今でもお会いすることがあるんですね。
石田さんは、採用も、ジョイントベンチャーも、現場の課題も、いろんなことをされているんですね。
はい。適性診断でも、好奇心が高くいろんなことに手を出しすぎて、周りは大混乱するでしょうと出ていました(笑)。なので、自分の周りには反対に保守的な人を置いたほうがいいそうです。
実際、私の周りには、私がやりたいということに対して、慎重に判断してくれるメンバーがいます。
あと、プロジェクトがうまく回っているときこそ、大丈夫かな?と思うようにはしています。
壁にぶつかった時はいつも、LTSでの経験や先輩方のお言葉を思い出します。
一つの領域で満足せずに、もっと先へ、先へ進んでほしい
最後に、LTSやコンサルティング業界に興味がある人へのコメントをお願いします。
コンサルタントのスキルって、かなり汎用的だと思います。
ふわっとしたお客様の課題を、言語化して解決までの道筋を立てて…はどこでも活きると思います。言葉にならないものを、何とかして形にしないと前に進まないので。
今扱っている装置も、多分にそういうところがありまして。
何とかして形にしてみて…まだベストとまでいかないけれど、これをやったほうがお客様の工場の中の自動化の機運が高まる!とか。最終的に、それであるべきプロセスが回ったらいいなと思うんですよね。
会社説明のところでお話しされた、アラスカの工場にそれまでなかった装置を導入して…というところも、そういう想いの先にあるんですね。
はい。そういう挑戦も大事にしています。
あと、若手の皆さんに伝えたいのは、小さくまとまらないでほしいなということです。
一つの分野を突き詰めて、そこを専門領域にして、その中で回せるようになると、その中だけで満足しちゃうこともあると思うんですよね。
でも、もっと、もっと、もっと上を目指してほしいです。
広い視野と、高い視座を持っていたら、チャンスはどこにでもあると思うので。
若手の皆さん、特に、自分の得意領域が固まってきた人。小さくまとまらないでほしいなと思います。
貴重なお話をたくさん聞くことができて、とても楽しかったです。
ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
最近弊社でも発信活動をはじめまして、noteをやっているのでぜひ覗いてみてください!
ライター
自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)