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部下のやる気を引き出す よりよい1on1の場づくり

LTSでは2020年より、1on1が制度化されました。チーム内のコミュニケーションが活性化する一方で、「1on1の場づくりや頻度はこれでいいのかな」と思う人も多いようです。

今回は1on1を上司側の視点から見て、普段の様子、工夫していること、難しいと思っていることなどを、アサインナビの佐藤さん、LTSの堂本さんに伺いました。インタビュワーは、LTS人事部で1on1制度を担当する井上さんです。
佐藤 佳代子(LTS / アサインナビ)

2008年にリクルートへ入社し営業・マネージャーを経験。2019年4月よりアサインナビに参画。現在はプレイングマネージャ―として、フリーコンサルタントの支援や、社内の人財開発・組織開発なども担う。(2022年3月時点)

堂本 純輝(LTS Digital事業本部 副本部長)

SIerを経て2016年にLTSに入社。システム化企画・構想策定を中心にユーザーサイドでのプロジェクト支援を得意としており、現在もPMとして複数案件を担当。また、DX領域のサービスリーダーも担当しており、より高いレベルでお客様の成長に貢献することを目指している。(2022年3月時点)  ⇒プロフィールの詳細はこちら

井上 孝通(LTS ビジネスマネジメント本部 人事部)

金融機関などを経てLTSに入社。コンサルタントとして、IT導入支援プロジェクトや人財開発プロジェクトに多数従事。その後、人事部に異動願いを出し、人財開発領域を担当。今後は新入社員のオンボーディング&エンゲージメントのさらなる充実を図っていく。最近の趣味は息子の影響で始めたキャンプ。(2022年3月時点)

1on1制度化で組織内のネットワーク形成を推進する

井上
人事部の井上です。
普段は、新卒研修をはじめとする様々な社内の研修に関わる業務を担当しており、1on1制度の担当でもあります。新卒メンバーの研修中やその後の、フォロー的な位置づけの1on1をやっています。

堂本
BC3部の部長、堂本です。普段はプロジェクトのPMや責任者をやっていまして、現在は4つのプロジェクトを担当しています。
1月時点で私との1on1対象になっているのが8名、対象ではないけれど定期的に話す場を持っているメンバーが何名かいます。

佐藤
LTS子会社のアサインナビで、コンサルタントジョブというサービスのプレイングマネージャーを担当しています。
前職はリクルートにおりまして、1on1は「よもやま」と呼ばれ大体週に一回開催されていました(笑)。

現在、2つの部署で6名の部下がおり、1on1の頻度や接点の持ち方は少しずつ異なります。
メンバーとの1on1もあれば、メンバーを束ねているリーダーとの1on1もあります。

井上
よもやま(笑)。いいですね、週次なんですね。

佐藤
隔週だったり、月次だったりもします。
LTSに入社して、1on1の考え方・やり方が整理されていて驚いたんですが、それぞれで得たものを活かせたらいいなと感じています。

井上
LTSが1on1を制度化した背景としては、以前の人事制度だと上司と部下の対話の場は、半期に一度の評価面談の場に集中してしまい、それだと部門やプロジェクトによってコミュニケーションの頻度にバラツキがあったんです。
もちろん、皆さん現場でそれぞれコミュニケーションは取られていると思いますが、半期に一度の面談では信頼関係が築きにくいという課題もありました。

また、プロジェクト型の業務は、一定期間こっちで仕事をして、終わったら別のところで仕事をするというスタイルなので、人と人とのネットワークが築きづらいという課題もありました。
それを解決できるかもしれないということで、制度化に至りました。

佐藤
確かにメンバーからすると、1on1の時間を制度として取っていいということは、安心につながるのかもと思います。
以前は私から声をかけて1on1の場を設けていましたが、今ではメンバーが自主的に予定を入れてくれるようになりました。

堂本
私のところは、空いていれば自主的に予定を入れてくれたり、忙しそうだなと気を使って声をかけてくれたり、いろんなメンバーがいます。
毎週同じ時間で予定を入れておいて、そこで話そうというパターンもあります。

メンバーのための時間、自由に使っていい

井上
普段はどんな感じで1on1をされていますか?
どんな事前準備をしているか、参考にしているものがあれば教えてください。

佐藤
だいたい月次で一時間やることが多いです。キャリアとか広めの相談とかを話します。
週次でやると、どうしても業務確認の意味合いが強くなるなと思っています。
なので、これらを使い分けていますね。

堂本
私は、頻度はメンバーによって異なります。
週次でやっているメンバーもいれば、月次でやっているメンバーもいます。
あとは、積極的に話したいですというメンバーもいれば、あんまり…というメンバーもいるので、そこは尊重しています。

最初はプライベートな話とか雑談から入って、ちょっと仕事の話をして…。
オンラインになってから、コミュニケーションの場が減ったので、1on1は幅広い話題で話せる場みたいな位置づけかなと思っています。

佐藤
事前準備では、過去に話したことを一通り抑えるようにしていて、場当たり的にならないように気を付けています。

時間配分は特に決めていないんですけど、ひとつだけメンバーに伝えていることがあって、それは「これはあなたのための時間だよ」ということです。
評価をしたり指示出しをしたりする時間ではないので、何でも話したいことを話せるだけ話してといっています。

堂本
そうですね。節目でキャリアや目標の話はしますが、毎回だとしんどいのでだいたいフリートークです。
過去のログやメンバーの様子を見て、今日は聞くに徹しようとかアドバイスしようとか、状況ごとにスタンスを変えています。

佐藤
私の場合、メンバーが自主的に一定期間のふりかえりをまとめてくれていることが多いです。
週次だと業務報告みたいな感じなんですけど、堂本さんがおっしゃる通りオンラインで見えづらいものも多いと思うので、重要な場になっていますね。

佐藤さんの1on1の様子①
佐藤さんの1on1の様子②

業務の話はなるべくしないスタンスを心掛ける

井上
質問などは、事前に準備していますか?

佐藤
そろそろ今後のキャリアどう考えてるかな?とか、聞いておきたいと思うことは事前に準備することはあります。
もちろんメンバーに一通り話してもらって、ひと段落した後に自分が質問をします。

堂本
私もそうですね。プロジェクトの中でちょっと失敗しちゃったかなとか、しんどい思いしてそうだなと思うと、それに対してちょっと話してみたりはします。
どちらかというと、プライベートなことに関する質問が多いかもしれないです。そういうことを話す場もあまりないので。

でも、プロジェクトが同じだったりするメンバーほど、業務の話をしちゃうんですよね。
1on1ってそういう場じゃないと分かっていつつ、進捗を聞いたり中身を聞いたり。
これは、意識しないといけないことの一つだと思っています。

佐藤
確かに。
私も上司と1on1するときは、そういうこと話してるな…って今思いました。

堂本
わかります、わかります(笑)。
「明日のお客さんとの打ち合わせどう進める?」って、このタイミングじゃないと話す時間が無い…!と仕方なく。

井上
いそがしいと結構そういう話になっちゃいますよね。

1on1の後は「やってよかった」と思ってもらいたい

堂本
1on1ってエネルギー使いますよね。
やる気を起こさせる、火を灯すようなコミュニケーションが必要なので、そのためには自分がしっかりエネルギーを貯めていないといけないなと。

佐藤
分かります。
こっちのテンションが低いと、メンバーにも伝播しちゃうやつですよね!

堂本
そうです!
終わった時に、「頑張ろう!」と思ってくれないとやってる意味ないですよね。

井上
私も、研修中に新卒メンバーと1on1するときに同じことを考えていました。
限られた時間の中で多くのメンバーと1on1していると焦りや疲れから、状況を確認しなくては!とか、伝えるべきことを伝えなければ!という思いが先行してしまうときも正直あったんですよね。

でも、これって何のための場なんだろうと思い返し…後で反省しましたね。
こちら側もエネルギーを持っておく必要があるんだなと気づきました。

佐藤
確かに、1on1の後を見据えるって大事だなと、お二人とのお話を通して思いました。
終わった後にどういう気持ちになるかというところまで、ひとつの仕組みにして整備できるといいですね。

井上
1on1はお互い手探りですし、どんなやり方がいいのか分からないと思っている人も多いので、お二人のような生の声が届くといいなと思います!

正解がない、上司側の場づくりの難しさ

堂本
正直、1on1ってちゃんとできてるかできてないか分からないんですよね。
「いい時間にできたか?できていないか?」が大事だと思っていますが、フィードバックされることは無いので、メンバーはどう感じているのか分からないです。

堂本さんの1on1の様子①
堂本さんの1on1の様子②

佐藤
その、「場づくり」みたいなことって難しいですよね。
あんまり固くなりすぎるのも嫌だし、プレッシャーを感じさせるようにしたくないし、かといって、のらりくらりふわふわした話だけってわけにもいかず、大事なところは押さえて…みたいにやりたいと思ったときに、その場の醸成が難しいなと思っていました。

それに対しては、1on1研修の内容を参考にしたり、1on1の場ってこういうものだよねっていう認識合わせをして、少しずつ解消されてきたかなとは思います。
でも、堂本さんがおっしゃるように、自分の1on1ってどんな感じって分からないですよね。

堂本
そうそう。もし、メンバーにとって1on1が苦痛になっていたら、元も子もないですよね。
「連絡するの嫌だな…」とか「話したくないな…」とか思わせたくないなと思います。

佐藤
この対談をお受けしてから、メンバーに「私の1on1ってどう?」って聞いてみたんですよね。
そしたら、自分の性格などを踏まえて対応してくれる、やりたいことを重視してくれていると言われました。

堂本
そうなんですね。いいですね。
以前はLTSでも360°評価があったと聞いていますが、今は部下が上司を評価する機会がないですよね。

もちろん賛否両論あるかもしれないですが、そういう仕組みがあってもいいのかなと思います。上司側も手探りなので、メンバーからのフィードバックは欲しいです。

井上
1on1に関するアンケートを取った時に、そういう悩みや声は結構ありました。
フィードバックしてもらうとなると、結構勇気がいることかなという気もしますね。

堂本
匿名だと意味がないので、記名制にしてほしいですが、…確かに勇気がいりますよね。

織構造や風土で変わる必要なコミュニケーションの量

堂本
個人的に、1on1などの人とのコミュニケーションに使っている時間が月に10時間以上あって、結構多い方かなと思っているんですけど、リクルートではどれくらいの時間を使っていましたか?

佐藤
私がいたのは三年前ですが、話すことが好きな人が多い文化だったので、それなりにあったと思います。
それでも堂本さんよりは少なく、60人くらい部下がいても1on1するのは2~3人でした。

オフィスで仕事をしていれば、自然と一人一人とコミュニケーションが取れていたので、それでも成り立っていたのかなと思います。

堂本
事業の内容や、組織構造、風土によって違うんですね。
LTSだとプロジェクト単位の働き方で、別プロジェクトだとほとんど接点無いので、そういう時間を作ることは大切だなと思っています。

井上
堂本さんは、月に10時間以上コミュニケーションに時間を使っているとのことですが、リモート環境になって増えたんですか?

堂本
そんなに変わらないですね、むしろ対面のほうが隙間時間とかも合わせて多かったかもしれないです。
LTSは若手が多い組織構造なので、他の部門長も同じような状況かもしれないです。

とはいえ、必要な時間だとは思っているので、メンバーには遠慮しないでほしいです!

部門を超えて、会社を超えて、様々な形の1on1

佐藤
リクルートでは、上司と部下という縦の関係だけではなくて、斜めの関係のよもやまもありました。

井上
斜めの関係でのよもやまは、自然発生的におこなわれていたんですか?

佐藤
そうですね、そういう風土だったのか、日常的にやっていました。

井上
面白いですね。
LTSはまだまだ上司と部下で、場にオフィシャル感が強い印象ですよね。

でも、お二人の話を聞いていると、実際は肩肘張らずに自然といろんな話ができているんだなと思います。
最終的には、そういう場になるといいなという気がします。

堂本
別の部門の人や、別のグループ会社の人との1on1とかも、いろんな気づきがありそうですね。

井上
部門や会社を超えた1on1、メンターとまではいかないけど、よもやま的な感じであるといいですね。

佐藤
あとは、たまに2on1みたいなこともしていますが、他の人の1on1を見てみたいですね。
それぞれカラーがあると思うので、そこから気づきや学びもあると思います

巷では、2on2なるものも存在するらしいです(笑)。

井上
そうなんですね、バスケのフォーメーションみたいな(笑)。

堂本
なるほど。いいですね、新しいですね。

1on1って子育てと似ていて、自分がされたようにするんじゃないかなと思っています。
実際に私も、自分の上司の1on1を真似してやってみることもありました。いろんないい例を自分のものとしてメンバーに受け継いで、良い連鎖が生まれるといいですよね。

対談の様子(左上:佐藤、左下:堂本、右上:井上)

「LTSの人」というベースが、コミュニケーションを円滑にしている

堂本
初めの方で佐藤さんがお話しされていましたが、1on1はメンバーのための場なので、その場をどう活用するかは、メンバーそれぞれで考えてほしいかなと思います。

そして、制度だからやらなきゃいけないというわけではなく、やらないという選択肢もあることも知ってほしいです。

佐藤
本当にその通りだと思います。メンバーには上司をうまく使ってほしいです。

堂本
1on1をする側のメンバーへは、信頼関係が大事だよと伝えたいです。

前提として、日ごろから信頼してもらっている、という関係がないと成り立たないのかなと思います。
そもそも信頼してもらっていないと、何も話してもらえないので、その根底の部分は大事ですよね。

佐藤
「根底の部分」ということで、ちょっと観点は変わりますが…。
これって、採用がすごく大事なんだってことにつながるなと思いました。
1on1での変なストレスがないなと思っていて、それって人当たりの良い人しかいないからなんですよね。

1on1の場で間違いを矯正しようとか、変えようとかそういう方向にいかないですよね。
それは、大事な根底の部分がそろっているから、しっかり人と向き合えているのかなと思います。
誰をバスに乗せるかが明確になっている、LTSの採用チームがすごいということですよ。

堂本
そうだと思います。

ベースにLTSの人っていう保証があるので、その先のコミュニケーションが成り立っています。
採用メンバーの皆さん、いつもありがとうございます!

井上
お二人のお話、大変参考になりました。
ありがとうございました。


ライター

大山 あゆみ(LTS コンサルタント)

自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)