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HIROSHIMA SANDBOX 広島で起きているビジネスイノベーション

LTSは2021年より広島県でのパブリック事業を支援しています。「実際に広島で何をやっているの?」と聞かれることが増えてきましたので、立ち上げから参画している星山さんに広島事業について話を聞きました。
星山 雄史(ワクト 取締役 兼 COO)

インフラ系のITエンジニアとして活躍後、高校講師、ITベンチャーでの営業職経て、2011年に(株)ワクトを設立。広島県が主催するニューノーマル時代の課題をデジタル技術を通じて解決するアクセラレーションプログラムの事務局主担当及び「ひろしまサンドボックス」のメンターを務める。(2022年2月時点)

広島事業をリードする星山さんは広島出身

僕自身が広島出身で、ワクトの創業から今に至るまでずっと住民票は広島です。LTSグループになるまでは、東京と広島を隔月で行ったり来たりしながらワクトの経営をがんばってきました。現在は、東京と広島の掛け橋になれればいいな、と思いながらHIROSHIMA SANDBOXをやらせてもらっています。

広島でLTSが支援しているHIROSHIMA SANDBOXについては後ほど紹介しますが、その中で6つのプロジェクトに関わらせていただきました。スタートが2020年なのでわずか2年弱の間に6つもやらせていただけたのは、LTSにジョインしたおかげだなと思っています。

「モノづくり」で発展してきた広島

まずは広島という場所と歴史について触れてみたいと思います。広島は歴史的に、自動車・造船・軍需などで発展してきた「モノづくり産業」が強い都市です。

県北のエリアは中国山地で、そこから大きな川が流れていて教科書にも出てくる有名な三角州になっています。この中国山地で昔は鉄が採れました。採掘した鉄は広島市に川で運ばれていたので、製鉄業が盛んな場所として発展しました。

また広島県の南には四国があり瀬戸内は波が穏やかになることから軍艦が出向する軍港がありました。軍港があった事から軍人が多くなり軍都となっていきました。

昔は現在のようにamazonでポチっとすれば次の日には商品が届く、ということはないので、軍人の生活必需品を全て地元広島でまかなう必要がありました。ですので、モノづくり産業では各分野においてかなり特出した会社があります。

しかし現在はグローバルの競争の時代に入り、このままでは広島は低迷期に入るのでは?と言われています。ですので、広島の地元の企業さんを時代に合わせて新しくしていく、変える必要がある、というところから広島のイノベーション事業が始まっています。

HIROSHIMASANDBOXとは

2011年に広島県の湯崎知事が「この広島をイノベーション立県にする」と宣言されました。

そこで、失敗してもよい、何度でもチャレンジできるような場所を作りましょう、というテーマで作られたのがHIROSHIMA SANDBOXです。

https://hiroshima-sandbox.jp/

先ほども説明した通り、広島の地元にはものづくりに関して良い企業さんたちがたくさんあります。その企業さんたちは、現状でも自らのビジネスにおいてはビジネスモデルを深めていくことはよくできてますし、効率化も十分にできています。

ただ、自らが持っている知財や技術を水平展開して新しい領域を獲得することがなかなか難しく、まだできていない会社さんが多いと思います。

そこでHIROSHIMA SANDBOXでは、スタートアップ企業を集めて地元の会社のナレッジや得意分野を合わせてシナジーを起こさせて、新しい領域を獲得する。そして新しい領域を進化させると新しいイノベーションができるのでは?という仮説をもとに、活動しています。

初めて広島県事業として参画させていただいた、HIROSHIMA SANDBOXのサブプロジェクトであるD-EGGSプロジェクトでは新たな経済的エコシステム(生態系)の創出を目指して、スタートアップ企業を集めるアクセラレーションプログラムを実施し、さらに広島で実証実験をすることを前提としました。

広島で実証実験するということは、広島の地場の企業とのコラボレーションが必ず発生します。地場の企業さんとスタートアップがコラボレーションしてイノベーションを起こし、同時に横のつながりを作っていくことによって、少しずつでもいいので新しいエコシステムを形成していく、これが目的です。

現在の広島はまだ従来の製造業を中心としたエコシステムですが、新しいエコシステムを作って魅力を生み出すことで県外からの移転を呼び起こします。そしてさらにエコシステムを大きくしていくために、 広島県の大学等の教育機関と連携して新しいエコシステムで活躍できる人材や新しい企業家を送り込みます。そういうことができたらいいよね、とリリースする時に考えてイメージを作りました。

RING HIROSHIMA スタートアップ企業をメンター(セコンド)が伴走

スタートアップというと、まずアイデアがありそれを必要とする顧客がいて、トライアル、再現性などを検証していく流れになりますが、HIROSHIMA SANDBOXでは多くの企業を集めたいと考えていますので、アイデアと顧客像までがセットされているフェーズのスタートアップをターゲットとしています。

社会課題を解決できるようなソリューションの種を集めるということで、 スタートアップ(チャレンジャー)をサポートするメンター(セコンド)がボランティアで参加していて、現在セコンドが20人集まっています。

https://hiroshima-sandbox.jp/ring/

HIROSHIMA SANDBOXでは、通常のアクセラレータプログラム以上にスタートアップ企業との伴走を大事にしています。

セコンドとチャレンジャーの関係は指導する側とされる側の関係ですが、予測不可能な事象も発生するため全てにおいて指導ができるわけではありません。そこで、エフェクチュエーションの理論を活用したブートキャンプを実施し、セコンドとチャレンジャーが共に考えて事業を作っていく関係を構築していきました。

また、世界で初めて公共事業でエフェクチュエーションを活用する実績作りもできましたので、アジアで初めての「エクチュエーションカンファレンス」を広島で開催させて頂き、実践で学んだことをグローバルに向けて発信する機会を得ることもできました。

https://effectuation.site/

イノベーション・エコシステム・サイト

HIROSHIMA SANDBOXには、イノベーションエコシステムサイトというサイトがあります。

https://innovation-ecosystem.site/

これはひろしまマッチングサイトをLTSリンクのアサインナビプラットフォームをベースに機能を多く盛り込み生まれ変わらせたサイトとなっています。

このサイトでは、課題と解決策のマッチングや、登録されてる個人の方に対して「こんなことを相談したいんだけど」といったような形で直接コンタクトができます。単にマッチングができるだけではなく、相互のやりとりによってコミュニティ形成ができる場になればいいなと思って作っています。

イノベーション・ハブ・ひろしまCamps(キャンプス)

Campsはリアルに情報交換できる場所です。

https://www.camps-hiroshima.jp/

様々なアクセラレーションプログラムに参加されてるスタートアップ企業の方たちが集まり、コミュニケーションが生まれています。広く広島県民にも解放されてますので、HIROSHIMASANDBOXに参加している人に限らずコワーキングやマッチング企業の事業支援などでも利用されています。

これからの広島イノベーション

現在実施しているアクセラレーションプログラムはRING HIROSHIMAセカンドバウトといって、2回目のプログラムが実施されています。前回と同様の実証費や滞在支援もありつつ、3つのバンソウも実施していて、今後も継続予定です。

また、Campsでもアクセラレーションプログラムを実施します。

これらすべてのプログラムを実施することによって、広島県のエコシステム成型における総合プロデュースをしています。
これをしっかりLTSとして訴求することで、新たなブランドとしていければ嬉しいなと思っています。


ライター

忰田 雄也(LTS マーケティング&セールス部 部長代行)

SE・テクニカルライターを経て、LTS入社。ERP導入や業務改革におけるユーザー向け広報・教育企画および業務文書改善など組織コミュニケーションに関連するコンサルティングに従事。2017年よりLTSコンサルティング事業のマーケティングを担当。2021年より本サイト「CLOVER Light」の立ち上げ~運営・編集長を務める。(2024年1月時点)