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プロセス変革・業務改革

アジャイルプロジェクトにおけるビジネスアナリシスの在り方

このコラムは、株式会社エル・ティー・エスのLTSコラムとして2018年8月に掲載されたものを移設したものです。

7月15日に開催された「PMI日本フォーラム2018」にLTSのビジネスアナリスト大井悠が登壇しました。
「アジャイルプロジェクトにおけるビジネスアナリシスの在り方」をテーマに、海外の事例などをヒントにしたアジリティを実現するためのプロジェクトマネジメントやビジネスアナリシスの在り方について講演しました。
日本でもアジャイルの導入事例が増えてきましたが、海外では導入率が90%を超えるほど企業におけるアジャイル導入が進んでいます。1チームのためのソフトウェア開発方法論として生まれたアジャイルは、今や企業の組織的な意思決定にまで適用範囲が広げられてきており、これからの業務変革はアジャイルがスタンダードとなりつつあります。本講演ではアジャイルな業務変革の取組みの中で、どのように業務要求をマネジメントしていけばよいのか、コミュニケーションはどうあるべきか、既にアジャイルの導入が進んでいる海外事例を踏まえて紹介します。

「PMI日本フォーラム2018」は『新しい潮流へのチャレンジ~境界を越えて』をテーマに2018年7月14日、15日の2日間にわたって開催(主催:PMI日本支部)された会員向けのセミナーです。PMIフォーラムの開催報告はこちらからご覧いただけます。

アジャイルの動向

アジャイルは変化を前提とした適応型の特徴を持つ取り組みの進め方です。すばやく意思決定し、決定した内容を事業運営に反映させていくために、アジャイルメソッドを適用する動きが国際的に広がっています。ソフトウェア開発の領域を超えて、組織運営や大規模な業務変革プロジェクトにも取り入れられており、アジャイル型の運営をスタンダードとした枠組み作りが進んでいます。

ウォーターフォールとアジャイルの比較

これまで企業が採用してきたウォーターフォールは、“計画通りに正確に製造する”という思想で、最初にしっかりとすべての要件を決めて計画を立て、その通りに各工程でものを作りこんでいく進め方が特徴です。それに対して、アジャイルは“その時に必要な機能をタイムリーにリリースする”という思想を持ちます。しっかりと計画を立てても長い開発期間の間に要件が陳腐化してしまうというウォーターフォールの欠点を補うために考案されました。

要求管理のサイクルが異なるため、直線的なコミュニケーションを取るウォーターフォールが対してアジャイルは反復的なコミュニケーションを取ります。また、プロジェクトの成否の計りかたも「QCDに順守」するウォーターフォールに対し、アジャイルでは「ビジネス成果(売上・コスト等)」への貢献を評価基準としています。

ビジネスアナリストの役割の変化

ウォーターフォールとアジャイルは、要求管理のサイクル、コミュニケーションの形式、プロジェクトの評価観点の3点で大きく異なります。これらの点からアジャイルの取組みでは業務変革を推進するビジネスアナリストに従来とは異なる役割やスキルを持つことが期待されます。
これからのビジネスアナリストには、顧客と自社のビジネスの仕組みを理解してビジネス部門と一体になって変革を推進すること、業務変革チーム全体のコミュニケーションを円滑にしてコラボレーションを生むことが期待されています。これまでビジネスアナリストはビジネス部門から受け取った要求を矛盾や抜け漏れがないか分析するという立場にありましたが、今後は顧客ニーズ・外部環境・自社のビジネス全体の仕組みなど広い視野を持って変革を推進していく姿勢が求められています。


ライター

CLOVER編集部()

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