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リーダーシップ

「ITアウトソーシングサービスの新規開拓」という挑戦

創業期からのメインクライアントの一つである矢崎グループ(以下、矢崎)様へのご支援をきっかけに立ち上がったLTSのITSMアウトソーシングサービス。このサービスを提供するITSM Outsourcing事業部は、ここ数年でその体制を変えています。今回は事業部長と、2022年に新しく立ち上げた第3グループ長にお話を伺いました。
漆畑 晃司(LTS ICTエンジニアリング本部 ITSM Outsourcing事業部 部長)

静岡県の地元採用一期生として、2008年にLTSに入社。大手自動車部品メーカー向けのシステム運用アウトソーシングチームの立ち上げと、同顧客の営業責任者を担当。現在は静岡事業の責任者としてエリア開拓と、RPA等のテクノロジー導入PJのPMを兼務している。(2021年10月時点) ⇒プロフィールの詳細はこちら

石田 雅司(LTS ICTエンジニアリング本部 ITSM Outsourcing事業部 部長代行 兼 第3グループ グループ長)

2012年 、静岡県の地元採用としてLTS入社。大手自動車部品メーカー向けのシステム運用アウトソーシングチームにて業務を担当した後、現場責任者としてチーム全体の管理・マネジメント業務を担当。現在は、静岡事業の開拓およびRPA導入支援PJにてRPA運用チームのリーダとしてチームマネジメントを兼務。(2023年4月時点)

ITSMアウトソーシングサービス(ITSM:ITサービスマネジメントの略)
ITサービスマネジメントとは、ITシステムの提供を利用者の目的遂行を支援する「ITサービス」と捉え、その提供や運用、管理、改善などを組織的に行うこと。そのための体系化された仕組みを「ITサービスマネジメントシステム」(ITSMS)という。

組織全体の新たな道を切り開く新グループの立ち上げ

漆畑
ITSM Outsourcing事業部(以下、ITSMO事業部)はこれまでずっと矢崎様の一本足で、良い意味で捉えるとシステム運用という領域を突き詰めて10年以上拡充してきました。一方で、それ以外の領域はまだ知見が十分ではないですし、お客様が一社しかなくサービス提供先が限定されていて、サービスの幅も広がっていないというところに課題がありました。

この先のメンバーのキャリアアップや活躍の場を考えた時に、サービスやお客様が限定されていると、キャリアの幅も限定されてしまうなと思って。これまで組織や事業拡大についていろんなことを考えてきましたが、まずはチームを立ち上げるところからやってみようという感じで、2022年にITSMO事業部第3グループ(以下、G)を立ち上げました。

石田
新しい顧客やサービスの幅を広げるというのは、長年課題として認識していたところではあるので、いつかはやらないと、と思っていました。私も長く裾野(ご支援している矢崎様の拠点の一つ)にいて、タイミング的に次にチャレンジする領域を考えていたので、やってみようかなと思いグループ長を引き受けました。

ITSMO事業部のメンバーには、キャリアの幅を志向できない・成長意欲を持続できないといった状況も見受けられたので、第3Gがきちんと立ち上がり、メンバーが別の領域にチャレンジし、キャリアの幅に対してちゃんと志向できる状態を作っていきたいなという想いもあり、頑張っているところですね。

漆畑
お客様の中で長く運用をやっていると、いわゆるコンサルティングのようにAs-Is/To-Beを描いた業務改善はしていなくても、小さな業務改善を常にやっているので、それをサービスとして切り出せるんじゃないかと思ってます。

既存の第1・2G(ITSMO事業部の記事第1Gの記事第2Gの記事)は、矢崎様とのお付き合いの延長線上のビジネスでしたが、第3Gでは、第1・2Gでやってきたサービスの延長線上で何ができるかを、いま考えています。第3Gは新しいグループという位置づけではあるもの、ITSMO事業部のこれまでの課題を克服しこれからを推進していく役割なのかなと思ってますね。

現状の課題を一つずつ整理して、新グループの歩みを始める

石田
現在私の方では、運用周りに課題のある他部門のプロジェクトに入り現場の改善を推進しながら、第3Gとしての活動を並行して進めているところです。第3Gはまだメンバーや体制が整っていないので、まずは活動アイテムとしてやっていくことを整理しながら、体制が整い次第検討しているものを走らせたいなと思っています。

まず考えているのは、現状の運用サービスを可視化することです。いきなり新規のお客様を取りに行くのはハードルが高いので、ビジネスユニット横断で取り組むことを考えています。他部門のプロジェクトで運用の領域をやっている案件もあるので、そういったところや、引き合いとして運用の領域が他部門から上がってくれば、ITSMO事業部で受け取れるようにしていければと思っています。

とはいえ、同じLTS社内でもITSMO事業部が何をやっているか分からない人もいるので、これまでやってきたサービスをきちんと可視化することで、我々のサービスは何を強みにやっているのか、どんな人財がいて、どういうスキルセットを標準的に提供できるサービスなのかをきちんと整理して細分化していくことを第3Gとして推進する必要があると思って準備を進めています。

石田

漆畑
ここ1年で第3Gのメンバーが担当したサービスは、これまで矢崎様でやっていた幅広いサービスの一部を切り出して提供している感じですね。なので、これまでのサービスは他のお客様にも提供できるというのはそれなりに感じていて、あとはどうやって案件を獲得していくか。また、ITSMO事業部の全てのメンバーが新規顧客に入っても活躍できるわけではないと思うので、ローテーションできるスキルセットをもう少し考えていく必要があるかなと思っています。

長年の運用業務で培った強みを武器に新規顧客開拓

漆畑
僕は矢崎様の運用を経て他のお客様の運用を経験しています。矢崎様のご支援は業務ボリュームもすごくありますし、エンドユーザー一人一人に対する受け答えや記録の取り方も、まだまだ自分たちには足りない物がある・改善余地がある、という感覚でやっていました。ですが、他のお客様の運用の状況を見聞きすると、矢崎様へのご支援は体系的に整えられていて、品質を担保するという観点でしっかりと運用ができていたんだなと改めて感じたんですよね。

それって活かせる部分が多いと思うので、それを僕ら自身がお客様に発信できるサービスとしてコンテンツを作れれば、品質は勝負していけるかなと思って。

石田
私も別のお客様の運用に入って、カルチャーショックを受けましたね。やっぱりちょっとしたミスが許されちゃう環境で運用を続けていると、後々重大な事故につながってしまう恐れもありますし、お客様の信頼も大きく崩れてしまいます。ちょっとしたミスも起こさないよう事前に品質を担保していくという、これまでの矢崎様で培ってきた運用は、ITサービスマネジメントの観点で強みだなと改めて感じてますね。

漆畑
我々の運用のルールやオペレーションは十分誇れるものだと思うので、それをちゃんとサービスとしてお客様に理解してもらうこと、求められる領域を自分たちが見つけることができれば、同じアウトソーサーやITベンダーと渡り合うっていける品質は十分あると僕は感じてますし、そこをお客様にしっかりと示せればニーズはあるんじゃないかなと。

トライ&エラーでチームの長年の課題を乗り越える

石田
新しいグループでの活動は手探りの部分が多く、またサービス提供における適切な体制が見えてこないところがあり難しさを感じています。あとは、単純に人手が足りないのも課題です。また、新規開拓はこれまでと同様に長年課題としてあるので、その辺りの進め方はトライアンドエラーでやるしかないかなと思います。それなりにプレッシャーもありつつというところですね。

一方で、これまで矢崎様の仕事が長かったので、別のお客様を経験できるというのは、気持ち的にも新鮮味があって面白いですし、そういった点で外から矢崎様を見れるのと、矢崎様以外のPJに関われる状態になっているというのは、一つ楽しみなところではあります。

実際、矢崎様の場合は常駐型なので、完全に現場作業ですね。対面でチームビルディングができて管理しやすいですし、仕事もしやすい。そういった意味でチームのまとまりや一体感はすごい感じられる現場だったなと思います。

現在はリモートワークが主流なので、リモートでのチームの仕事の課題感として、一体感を持って仕事をするところが対面とは大きく違うなという感触があります。今後、矢崎様を出てリモートワークを経験していくメンバーが増えた時、人によってはリモートが合う・合わないがあると感じているので、その辺りのメンバーのコンディションは今まで以上に気をつけて見ていく必要はあるかなと考えていますね。

漆畑
これまでのお客様へのサービス提供スキル以外のところで、新たにチームを作っていくために必要な条件や要素は難しさが増した感じがしますよね。

漆畑(左)

メンバーに成長の場を提供し、組織の成長につなげる

石田
第3Gを一つのきっかけにして、第1・2Gの既存メンバーがより働きがいを感じられる事業部になればいいなと思っています。そのために、現状のサービスを整えること、育成の観点で、運用サービスで身に付くスキル、 IS (ITサポート)職のスキルセットを定義していくことはやっていきたいと思っていますね。

運用の現場で長くオペレーションをしていると、当たり前に日常業務をこなすことが続くので、成長の実感がなかなか得られないんですよね。スキルセットを定義することで、基準に対してスキルが“足りている・足りていない”が見えるようになるので、プロジェクトに参画した直後はこのスキルはなかったけど、今は得られているよね、というのがきちんと可視化される状態になります。そうすれば、日常業務が続いても目指したいポイントや成長したいスキルセットも捉えていけるかなと思っているので、成長意欲を持ってもらえるかなと。

加えて、他部門の運用案件や他のお客様が見えてくれば、ITSMO事業部=矢崎様だけではなく、別のプロジェクトに参画してみたいという発想・視野が広がってくるはずなので、LTSの人財として自分がどういうバリューを発揮できるかというマインドに少しずつ変わっていけると良いなと。第3Gをそういった足がかりにしてもらえる状態にできればいいなと思っています。

漆畑
今後3年くらいかけてチャレンジしていけるといいなと思っていて、この第3Gのチームの存在自体が、ITSMO事業部全体の中で投資という位置付けで考えたいんです。

メンバーがこっちをやってみたい、こういうのをトライしてみたいっていうのを案件化することが、一番サービス拡充や新規開拓の近道になる気がしていて、今までも静岡で営業した時期があるんですけど、結局人がやるサービスなので、最初は想いを持ってコミットできる人がいないと形にならなくて、単発で終わっちゃうんですよね。

それだとサービスにならないので、ここを伸ばしていこうと最初から決めるよりは、小さいところからでもいいので案件化していくこと、やれそうなところにトライしていくことを今後3年くらいかけて、第3Gのメンバーや、第1・2Gのメンバーが第3Gを使ってチャレンジしていく時期にできればいいなと。

それが本人の志向性とあっていて、1年、2年、3年かけて続いていく、そういうのが一つか二つあるだけでも、これまでのITSMO事業部とは全然違うものになっていると思うので、第3GはITSMO事業部のチャレンジをしていく場という位置づけで、いろいろ頑張っていこうかなって思っています。


ライター

Yuno(LTS CLOVER編集部員)

CLOVER編集部員。メディアの立ち上げから携わり、現在は運営と運用・管理を担当。SIerでSE、社会教育団体で出版・編集業務を経験し、現在はLTSマーケティングGに所属。趣味は自然観賞、旅行、グルメ、和装。(2021年6月時点)