チャレンジできる環境に価値がある~関西発「ちょうどいい距離感」が新しい価値を生み出す~

LTS経営・組織

2022年に創業20周年を迎えるLTSは、いまだ創業当時のように挑戦する意思を持ち続けています。今回はLTS内でも積極的に新しい取り組みに挑戦し、新たなイノベーション生み出す関西事業部のお2人に、その活動の背景や事業部のビジネスについてお話をお伺いしました。

インタビューに答えた方々

白鳥 健太郎(LTS 執行役員  関西事業部 部長)
(株)デジタルフォルン、監査法人トーマツを経て、LTSに入社。民間企業からパブリックセクターのコンサルティングまで幅広く経験。近年は、自治体/地域の民間事業者/金融機関など様々なプレイヤーを巻き込んだ事業スキームの構築・推進に多く関与。LTS関西事業部の責任者。

中村 美穂(LTS コンサルタント)
化学メーカーでの基幹システム刷新を支援。関西事業部活動の一環として、大阪オフィスの新設、大阪市の性的マイノリティの認証取得にも挑戦。その後、公共案件や社会課題解決に取り組むチームに参画。現在は、民間企業の新規サービスのシステム領域のPMOを担う。

インタビュアー

 忰田 雄也(株式会社エル・ティー・エス ビジネスマネジメント本部 マーケティングG)


みなさんは「ベンチャー企業」というとどのような企業をイメージするでしょうか。「ベンチャー企業」は、比較的設立年数の若い企業や、成長過程にあり新しい技術やビジネスモデルを展開している企業を指すことが多くありますが、明確な定義はありません。ですが、共通する要素として「成長志向」「新規性」「スピード感」を持っていることが挙げられます。

多くの企業は一定の成長を経てビジネスの基盤が構築されると、以後は安定を重視しベンチャー企業として抱いていた挑戦意欲を失う傾向となります。では、一定の成長を経ても挑戦する意思を持ち続ける企業はどのような組織体質なのでしょうか。

「まずはやってみよう!」が生み出すさまざまな活動

―――関西事業部ではさまざまな活動に取り組まれていますが、先日、大阪市LGBTリーディングカンパニーの認証を取得されましたね。活動のきっかけはなんだったのでしょうか。

中村
中村

関西事業部ではベンチャー企業を支援しているNPO法人に所属しているのですが、そのコミュニティー内でLGBTに関する取り組みについて話がありました。たまたま大阪市にLGBTリーディングカンパニーの認証制度というものがあり、わたし自身もこの領域に興味関心があったので、まずはそこをチャレンジしてみよう!となったのがきっかけです。


この認証制度は取り組みの基準項目が20個くらいあり、取り組みや実施を証明できる書類などを提出して認証という形になります。


項目の中にはまだクリアできていないものもあり、社内の方にご協力をいただき進めていきました。例えば、「女性」や「働き方」に関する社内の相談窓口は設置されていましたが、 “性の多様性・LGBT”に関する窓口はありませんでした。そこは人事の方に、もう少し窓口の幅を広げていただけないか、というご相談をさせていただきました。

大阪市LGBTリーディングカンパニー認証の取得に向けて取り組んだメンバー

―――先日、グループ内向けの研修も実施していましたね。その他の取り組みもグループ全体に先駆けて進んでいるという話を聞いています。関西事業部では通常のコンサルティングワーク以外の取り組みをされているメンバーは他にもいるのでしょうか。また、このような活動とコンサルティングワークのバランスのとり方も教えてください。

中村
中村

わたしは基本的にお客様向けのコンサルティングワークに業務時間の100%をアサインされているので、業務全体の状況を見て余裕があるときに、他のさまざまな活動にも取り組んでいます。

白鳥
白鳥

全員ではないですけど、コンサルティングワーク以外の活動に取り組んでいるメンバーは多いですね。


ウェルビーイング(well-being)な働き方をどうやったら実現できるか、というテーマを検討しているメンバーもいます。“新しい組織の在り方“とまではいきませんが、「個人の爆発」をテーマに、育成や組織バックアップの在り方などを検討し実践してくれているメンバーもいます。自分の興味関心のあるテーマについて積極的に取り組んでいるメンバーは多いです。


ここは賛否両論あると思いますけど、わたしはマルチタスクを持っている方がいいのではないかと思っています。職位があがってくると、複数案件を掛け持ちしたり、部下の仕事を見る必要があったりマルチタスクで仕事を進める場面が増えてきます。


その時になって急にマルチタスクをやろうとしてもすぐには対応できなかったりするので、いまはキャパシティが溢れてもいいからとりあえずどうやったらこなせるか、みたいなコツを掴むのも大事なのかなと思っています。


仕事としてマルチタスクをこなすなら、しっかりタスクマネジメントができていないといけませんが、自分がチャレンジしたい事や興味があることでまずやってみるのはいいかなと思います。

―――そういう環境なら、積極的にさまざまな活動に気軽に取り組めそうでいいですね。次の活動として何か考えているものはあるのでしょうか。

中村
中村

今後は、LGBTに限らず多様性に対する取り組みで、全社に活動を広げていけたらいいなと思っています。いま本社では女性の活躍に向けての行動計画を作っているので、そこを活性化していける取り組みができたら全社的にダイバーシティの機運が高まっていくんじゃないかなと思っています。

白鳥
白鳥

LGBTの取り組みのように、まずは関西事業部でやってみてグループ内に展開していくというのもそうですが、LTS内の誰でも、まずはクイックになにかやってみたい!と思うことがあれば、関西事業部に持ち込んでもらったらできるよ、というような形にしたいなと思っているんです。


関西事業部の人だけが実験的に取り組みをしていても仕方ないので、いろんな人を含めて実験したいなと思ったら、とりあえず関西に持ち込んでみる、そういうラボのような雰囲気が広がるといいなと思っています。

―――“LTS Lab”みたいな場所ですね。本社で新しい取り組みを始めようとすると、それなりに手間と時間、最初のエネルギーがかかるので、気軽に新しいことに取り組むハードルは以前よりも上がってる気がします。

距離の近さが生み出す一体感と新しい活動

―――関西事業部が作り出している気軽になにかに取り組める環境や、みんなで一緒にやろうという一体感、さまざまな活動に積極的なのは、“本社オフィス≒東京以外の環境”というのも関係しているのでしょうか。

白鳥
白鳥

前職の話になりますが、 “グループで一つになろう”というテーマを掲げていた時期がありました。でも、うまく実現できなかったんです。そんな中で唯一、大阪で行ったプロジェクトでは全グループ会社が結集し1つのチームとしてまとまることができました。それをたまたま私がリードしてやらせていただきました。それはその会社だったからというより、関西という地域だったからこそ実現できたのではないかと思っています。関西は、地域としての一体感があり、産官学を含めた距離感の近さと結束力の固さみたいなところは強く感じます。


関西事業部の人だけが実験的に取り組みをしていても仕方ないので、いろんな人を含めて実験したいなと思ったら、とりあえず関西に持ち込んでみる、そういうラボのような雰囲気が広がるといいなと思っています。


多様性の活動に取り組んでいるという話を冒頭でしましたが、関西ではダイバーシティやインクルージョンなどのテーマはすごく大事だと感じているんです。実はいま、一番密に情報交換をしているのがFPT※1の大阪事務所で、先日もペアで案件を受注しました。FPTは社員のほとんどがベトナム人なので、彼らと一緒にビジネスをやろうとなったときにダイバーシティといったテーマは大事だなと思ったりしますね。


東京の方がマーケットは大きいので、関西で同じスピード感で成長しようと思うと単独では限界があります。だからこそ関西では周りとの距離も近くなり、どこかと一緒に組んでやろうとか、みんな連合組合を作って新しくビジネスを作ろうっていうのが多いですね。そういうときに、自分たちの色・テーマを持っているのは大事ですね。

※1 FPT
LTSとFPTジャパンホールディングス株式会社が設立した合弁会社のFPTコンサルティングジャパン株式会社

―――その他にも追っているテーマ・案件などあるのでしょうか。また、地域柄を生かして取り組んでみたいことなどがあれば教えてください。

白鳥
白鳥

そうですね。いまはSX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)※2サービスの拡大に力を入れています。地域に貢献できる案件は、社員のモチベーションも高まりますし、市場での認知度も高まる感覚があります。


現在は、関西の有名大学、大手企業、ベンチャー企業と連携し新たな災害対策事業を検討していたり、地域の起業家支援に携わるなど、LTSグループ内のさまざまなメンバーと連携しながらソーシャルな案件の拡大に取り組んでいます。


その他では、静岡のメンバーが中国地方での案件を行っていて、その案件の継続・拡大を関西でも支援しようという話をしているんです。本社以外の地域同士でなにか一緒に取り組みをやりたいというのはありますね。そういう地方と地方のメンバーが協力し合って一緒になにかに取り組んでいく形を、案件ベースで作っていけたらいいなと思っています。その先に、地方連合みたいな考え方があってもおもしろいかなと思ったりしています。

※2  SX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)
不確実性が高まる環境下で、企業が「持続可能性」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革するための戦略指針。

他にはない関西エリアのビジネスの魅力

―――東京にはない魅力がありますね。関西事業部もここ数年で拡大・安定してきたと思いますが、今後はどの様な展開を考えているのでしょうか。

白鳥
白鳥

そうですね、ただビジネスの規模だけ追及するならば東京の方がいいとは思うんですよ。でもそれだけではなくて、東京ではなかなか手を組みづらい相手との協業や、東京ではできない案件を、関西でできるといいなと思っています。


関西の特徴として政治と経済の一体感が強いという点があります。東京で「東京都の戦略」を意識する企業やプロジェクトに出会うことはほとんどないと思います。一方で関西では、大阪府や京都府の戦略と自社の戦略を紐づけて考える企業が多くあり、地域活性化を意識したプロジェクトも多く存在しています。そのような取り組みに参加しているとさまざまな立場の方とお会いする事があり、そういった出会いからまたいろいろな活動が生まれてきます。そういうダイナミックな動きって、巨大なマーケットではないからこそ動きやすいんだよな、とすごく感じますね。


地方に行き過ぎるとビジネス規模も小さくなり過ぎてしまうと思うんですけど、関西はその距離感が絶妙というか。東京ではできない案件や新しい地域ビジネスを起こすとか、そういうことをやっていきたいなと思います。


あとは先程も話しましたが、いろんなチームと連携して案件を作っていきたいです。いまの関西事業部の案件も、ほとんどは他部署と組んでいて、ミニLTSみたいな感じです。関西に来るとみんなチームで組んでやっている、そういう楽しさが関西にはあるよ、と伝えたいです。


いろいろ取り組んでいくと必然的に規模は大きくはなっていくと思いますが、すごく大きくするというところまでは考えてないですね。一定規模までいったら限界もあると思うので、次は別のエリアを大きくするとか、関西で作った新しいイノベーションや事業の起こし方を一つのノウハウとして、別のエリアとか別の新しいコンサル以外の事業に展開するとか、そういうふうにできたらいいなと思っています。そういった形で、東京では実現できない取り組みを進めていきたいなと思いますし、それができる魅力が関西にはあると思います。


執筆者

yuno
yuno

CLOVER編集メンバーの一人。
メディアの立ち上げから携わり、現在は運営と運用・管理を担当。
SIerでSE、社会教育団体で出版・編集業務を経験し、現在はLTSマーケティングGに所属。
趣味は自然観賞、旅行、グルメ、和装。

編集者

yuya.kaseda
yuya.kaseda

CLOVERの編集・全体監修~メディア企画・運営全般。
SE、テクニカルライターを経てLTSでコンサルタントを経験、現在はLTSのマーケティングGリーダー。
スライド式QWERTY物理キーボード愛好家。