育児休業を取得した、男性社員へインタビュー 前編 ~ライフイベントを通して、新しい気づきや発見が続々~

LTS働き方

この「シリーズ 働き方を考えよう」では、この人生100年時代にどう生きるか?自分の人生をどう充実させるか?を考えるきっかけとして、様々な人の多様な働き方を紹介します。

インタビュイー

山本 行道(LTS ビジネスマネジメント本部 本部長)
IT企業を経て、LTSに入社。各種コンサルティング案件や海外事業に携わる傍ら、執行役員として自社の組織・人財マネジメントプロセスを中心に、コーポレート機能全般を担当。社外では大学非常勤講師や、NPOのパートナーも務める。3児の父。

及川 辰幸(LTS コンサルタント)
大手メーカーに入社後、新規事業開発部にて、製品の提案および設計を担当。その後、LTSに入社。基幹システムヘルプデスクにて販売・購買における業務安定化、品質・生産性向上に寄与。現在は、製造BOM構築に向けた構想策定に奮闘中。

インタビュワー

舩木 いくみ(LTS ビジネスマネジメント本部・人事部 副部長)
コンサルティング部門を経て、人事職にキャリアチェンジし、
LTS内の組織開発・人財開発を担当。現在はオフィス移転(ワークスタイル変革含む)や20周年活動、ウェルビーイング活動に従事。

出産・育児に関する休暇制度

今回のテーマは、男性から見た育児です。

出産や育児のために、厚生労働省が定める休暇にはどのようなものがあるか、みなさんご存じでしょうか。「育児休暇」は一番有名かもしれませんね。その他にも、女性が出産予定日の6週間前から取得できる「産前休暇」、出産日から8週間取得できる「産後休暇」があります。また、夫婦2人で育児休暇を取得できる「パパ・ママ育休プラス」という制度も2010年からスタートしました。

同じ会社の休暇制度である有給休暇(以下、有休)と比べても、知名度は低いかもしれません。有休は比較的誰でも取得する機会があるため認知されていますが、出産や育児に関する休暇制度は、当事者になって初めて知ることが多いかもしれませんね。

ライフイベントの種類、タイミングは人それぞれです。一人一人に合わせた、ベストな働き方ができるよう、LTSでは社員の希望する様々な働き方を柔軟に受け入れています。育児休業※1(以下、育休)についても取得する/しないに関わらず、時短勤務やフレックス勤務を合わせた休暇の取得も可能です。

今回、LTSの男性社員2名へ、育児へどのように携わっているのかインタビューしました。山本行道さんは、育休を二度取得した3児の父(6才・2才・2才)、及川辰之さんは、育休と時短勤務を経験した2児の父(3才・1才)の目線で、これまでの育児経験や、育児を通して感じたことをお話しいただきました。

※1 LTSでは、「育児休暇」ではなく「育児休業」と規程している

インタビュー

育休取得の背景は人それぞれ

舩木:
及川さんは、育児のために取得された休暇のうち、1度目は前職で2週間の育休。
それを踏まえて2度目の今回は、育休ではなく時短勤務(以下、時短)にすることを選ばれたそうですが、その背景やご家族の様子を教えていただけますか。

及川:
1回目の育休で2週間家にいて、できたことは正直少なかったと思います。
ただ、家庭の状況がどうなっているか、どれだけバタバタするのか、というのを肌で感じることができました。仕事に追われていると、家庭を顧みることもできなくなってしまうと思っているので、家庭の状況が頭に入ったことだけでも良かったです。
2回目は、2人目が生まれたらどうなるのかというのも想像できなかったので…。テレワークという環境もあり、子どもが生まれてから翌月末までは時短にできるよう、調整をしていただきました。
上司に「1週間くらい育休取ってみたら?」と言っていただき、週の途中で生まれたので週末までお休みをいただきました。

及川:
あらためて、「テレワーク」は大きいなと思っています。
数日間お休みをいただく育休を取るのは、やはりすこし「休みを取る」という点で引け目がありました。業務を調整して、時短にしてもらうとか、少し休憩を長めにとるとか、家族が自分を必要としているときに少し抜けてもいいような調整をしてもらえるのがいいのかなと思います。
また、テレワーク下では、選択肢も増えますし、今後同じような機会のある方には、育休にとらわれずに自分の家庭に合った選択肢を周りに相談できればいいなと考えています。

舩木:
山本さんは、育休についてどのように考えていましたか。

山本行道:
若いころは、「仕事!仕事!仕事!」みたいな考え方をしていましたが、いつか子供が生まれたら育休を取りたいな、ということはぼんやりと思っていました。子育ては一生に何回もあることじゃないですし、ずっと続くわけでもないので、もしチャンスに恵まれたらチャレンジしてみたいな、という感覚です。
また、残念ながら仕事では、自分の代わりになる人はいくらでもいるわけですが、家族にとっては夫や父親は自分しかいないので、「仕事より家族が大事」というように、もともと考えていたこともありますね。

舩木:
LTSで、初めて育休を取得した男性社員は、山本さんでしたね。
1度目と2度目の育休について、背景や状況も全く違っていたと思いますが、いかがですか。

山本行道:
1度目の時は、半分は個人の希望でしたが、もう半分は仕事の事情もありましたね。
社員の家族を大事にしているって、やっぱりよい会社の一つのカタチだろうと思うんですよ。なので、LTSでも「くるみん※2」を取得したいと思っていました。男性社員の育休取得率を0から1にしたいという思いも手伝って、思い切って自分自身が育休を取得しました。

※2 くるみん:くるみんとは、「くるみんマーク」、「くるみん認定マーク」、「次世代認定マーク」、「次世代育成支援認定マーク」などと呼ばれるものの愛称名。少子化対策を計り子育て支援など一定の基準を満たした企業や法人などが厚生労働省によって認定され、そのマークを広告や商品(役務も含む)などに付け加えることができるもの。

山本行道:
一方で、2度目の育休については、個人の事情が100%以上でした。
下の子どもが双子だとわかった時は衝撃で、これはサバイバルになるな、と。家族総出で“生きる”ということに向き合わないと、誰か確実に倒れるなと思いました(笑)。
なので、「育休を取らない」という選択肢はなくて、サバイバルのための必要条件、というくらいシンプルな話になっていましたね。

子育てや家庭に対する基本スタンスが形成される

舩木:
育休を取得して、自分が変わったことってありましたか?

及川:
そうですね…一般的にも言われますが、女性は自分の身体から子どもが生まれているので、子どもが生まれた瞬間に自分の子どもだって意識できるそうです。しかし、男性はなかなか意識を変えづらいという記事を読みまして、確かにそうだなと思いました。
仕事から帰宅して、一時的に育児をするのではなくて、その場に身を置いてこそ、その感覚が養われるというのは感じました。その場に身を置けるというのが、育児のために取得する休暇の醍醐味かなと思います。

山本行道:
確かに、間違いなく親としての自覚は持ちやすくなるんじゃないでしょうか。

舩木:
育休を取得する前後の、奥様の反応はいかがでしたか?

及川:
1度目も2度目も、妻から要望があったわけではないです。
ただ、育休を取得しないと、父親は仕事で外に出ていて、母親が育児で家にいる、という流れが最初から出来上がってしまい、後々夫婦間での相談(予定の調整など)とかもしにくくなるのかなと思いました。1度育休を取ると、そういう調整なども、可能にしたうえで復職できます。

山本行道:
すごくよくわかりますね。
結局のところ、育休って会社の制度の話じゃなくて、家庭の話で夫婦の話なんだと思います。子どもが生まれてすぐの育児への関わり方で、その後の夫婦関係や親子関係は全然変わってくるんじゃないかと思いますよ。
うちも妻からリクエストがあったわけではないのですが、仕事に行って帰ってちょっとあやして…みたいな関わり方が許されるわけもなく…(笑)

舩木:
特に、大変な時期はそうですよね。

及川:
今のテレワーク下でもある話ですが、子どもたちのいる部屋に行くと「パパ、パパ~」って機嫌がいいけれども、「今は機嫌がいいけど、日中は大変だったよ」なんて聞くと、確かに一日中子供と一緒にいるのは大変だよねと、すぐそのに状況が思い浮かびます。
もし育休を取ってなかったら、そんな風に思えなかったかもしれないです(笑)。

舩木:
あるあるかもしれないですね(笑)。

山本行道:
そうですね。子育てや家庭に対する基本スタンスは、人それぞれだと思います。
ただ、子育ての最初のシーンではそのスタンスが問われて、そしてそこでその人やその家庭のベクトルも作られる。 この最初のベクトルの小さな違いが、10年20年経つ中で、その後の大きな違いにつながっていくんじゃないでしょうか?

舩木:
やっぱり、育休は大きいと?

写真1 対談中の様子(左:山本、右上:舩木、右下:及川)

山本行道:
大きいと思いますよ。
育休自体は、たかだか数週間、数か月の話でしかないので…今はまだあまり実感できてないんですけど、いずれ…将来、なにか意味あるんじゃないかな、という気がしています。というかそこに希望を抱いています(笑)。
子どもがまだちっちゃい時、あんまり意識がない時に、親と時間を長く過ごしているということが、子どもと親の関係性…うちの場合は父と息子ですが、そこの一番奥底のつながりを作ってくれているんじゃないかなということは、願っています。

及川:
子どもにどう関係しているかは分からないですけど、親としては育児の練習期間というか土台づくりであることは間違いないなと思いますね。

山本行道:
確かに練習!(笑)

及川:
子どもが生まれるまでに、心の準備はできていても、生まれたからと言ってすぐに調子が出るわけではないので…。
育休期間に、夫婦間でいろいろ相談しながら、どう家事育児を分担するのかを擦り合わせできるのが、育休なんじゃないですかね。

新しい命と接することで新たに発見したもの

舩木:
1度目に育休を取得されたときのご家庭の状況はどうでしたか。
想像と違いましたか。

及川:
想像していたものと、全然違いました。全く眠れなかったですね…。夜泣きがひどくて全然眠れず。育休後も夜泣きは続いたので、しばらく頭がぼーっとした状態で仕事をしていたと思います。
なので、休んでいた2週間、夜泣きの日々を家族と共に過ごせただけでも良かったなと思っています。

舩木:
変わりましたか?見方とか。

及川:
育児は日中も気が休まらないんだな…と身をもって感じました。1人目は育て方も分からないから、どれくらい目を離してよいのか分からなくて。母乳やおむつ以外の時間もずっと意識を配っていなきゃいけないというか…。
2人目になると、ずいぶん慣れましたが、1人目の時はずっと気を張っているということを、一緒に過ごしていないと気づけなかったかもしれません。帰ってきてちょっと抱っこして、お風呂に入れて寝て…という時間だけでは、なかなか気づきづらいのかなとは思います。

舩木:
2人目の時はテレワークで家にいらっしゃったんですよね。
ご家庭のことはどのように分担されていましたか。

及川:
基本的に生まれた子を妻が、上の子を私がみていました。時短をしていた1か月半の間は、上の子の保育園のお迎えをやっていました。赤ちゃん返り※3もあって大変でした。

※3 赤ちゃん返り:子どもが弟や妹が生まれたことをきっかけに、赤ちゃんのような行動をとること。専門的な言葉では「退行」といい、行動などが少し前の発達段階に戻る状態のこと。

舩木:
1度目と2度目の休暇とで、何か違いはありましたか。

及川:
個人的には、1人目が生まれたときは何も分からないから、形式的にでも育休を取得したほうがいいのかなと思いますね。それが2週間なのか1か月なのか、何がその人に適しているのかは人それぞれですが。

舩木:
山本さんはいかがですか。
双子となると、だいぶ違うところもあると思いますが。

山本行道:
1人目の時は、特に何もなく、普通に生活していました。
家事をやって、子どものお世話をして、という感じでいわゆる育休っぽい過ごし方だったと思います。「平凡な日常に幸せを感じる」というような。穏やかな生活を送りながら日々小さな命と接する中で、これまで抑え込んでいた自分の感情が呼び覚まされていくような変化を感じた記憶はあります。

山本行道:
2人目3人目の時は…育休をとっていた2か月間、ほぼ記憶はありません…。
家事があって、上の子の幼稚園があって、双子の内の一人は自宅にいるけど一人は入院していて。
「忙しい」という字は、「心を亡くす」って書きますけど、まさにそんな感じで、朝から晩まで…いや、朝から朝まで忙しかった(笑)。

舩木:
1度目と2度目で、生活の状況が全く違ったんですね。

山本行道:
見事に違いましたね(笑)。
1人の子どものケアに10の力が必要だったとしてください。双子なので10の2倍で20かというとそうではないんですよ。なんと10の“2乗”で100なんですよね、これが。
片方が泣くので抱っこをすると、もう片方が泣き始める。これはいかんということで、やむなく抱っこしている方を下ろして新たに泣き始めたもう片方を抱っこする。そうすると、今度は下ろした方がまた泣き始める…まさに無限ループですね(笑)。
一言で言えば、天地がひっくり返ったような生活だった…となんとなく記憶しています。

舩木:
本当に、未知の世界ですね…。

山本行道:
想定外の連続でした。
双子あるあるかもしれませんが、例えば街を歩いていると、とにかくよく話しかけられます。普段はないじゃないですか、街で見ず知らずの人に話しかけられることって。それがバンバンあるので…不思議な引力があるのかもしれません。

…後半へ続く

執筆者

ayumi.oyama
ayumi.oyama

CLOVER編集部員。育休復帰後、CLOVERの立ち上げ・運営に携わる。
主に、記事の企画立案・取材・執筆を担当。仕事と娘2人の育児で毎日がにぎやか。
地元は九州。通訳、翻訳、心理学の勉強を細々と続けている。

編集者

yuya.kaseda
yuya.kaseda

CLOVERの編集・全体監修~メディア企画・運営全般。
SE、テクニカルライターを経てLTSでコンサルタントを経験、現在はLTSのマーケティングGリーダー。
スライド式QWERTY物理キーボード愛好家。