今回は1on1を上司側の視点から見て、普段の様子や工夫していること、難しいと思っていることなどを、アサインナビの開発リーダー 高石さん、人事部新卒採用グループ 太田さんに伺いました。インタビュワーは、人事部組織人財開発グループ所属で、1on1制度を担当する井上さんです。
LTS新卒入社後、コンサルタント職で5年間クライアントワークに従事(ヘルプデスク運用支援/ECサイトPMO/予算管理業務のIT化支援)。2020年9月〜現在はエンジニア職で、自社webサービス(アサインナビ/CSClip)の開発業務及びチームマネジメントをリードしている。(2022年3月時点)
金融機関などを経てLTSに入社。コンサルタントとして、IT導入支援プロジェクトや人財開発プロジェクトに多数従事。その後、人事部に異動願いを出し、人財開発領域を担当。今後は新入社員のオンボーディング&エンゲージメントのさらなる充実を図っていく。最近の趣味は息子の影響で始めたキャンプ。(2022年3月時点)
1on1の話題、業務内容?プライベートな内容?
井上:
今回は、1on1についての対談第2回です。
まずはお二人の普段の業務を教えていただけますか。
太田:
人事部の新卒採用グループでグループ長をしています、太田です
普段は、私や育休中の方も含め、8名で業務をしています。
私が直接1on1をしているのは4名です。
採用職種でチームを分けているので、メンバーが複数名いるチームはチームリーダーに
メンバーの皆さんとの1on1をお願いしています。
グループの中では転職後1年以内の方が5名いますし、既存メンバーの方もご家族が増えてライフステージの変化にあります。
メンバーの方の状況を理解したいので、1on1ではプライベートの雑談から入ることが殆どです。
井上:
いいですね(笑)。
採用チームはメンバー同士の付き合いが長いことも関係しているのでしょうか。
1on1の内容はチームの普段の運営や、雰囲気でも随分変わりますね。
高石さんはどうですか?
高石:
私はエンジニア職で、LTSのグループ会社アサインナビでマネージャーをしています。
太田さんと同じく3~4名のメンバーと1on1を実施していますが、雑談は普段の業務の中でできるタイミングが多いので、キャリアの話が中心です。
井上:
太田さんとはまた違う形ですね。
では、私からも簡単に。人財開発領域を担当しています、井上です。
新卒研修や階層別研修などをやっていて、最近は太田さんのチームの採用活動にも携わっています。
太田:
そうですね。
実は、高石さんにもエンジニア職の採用活動で沢山ご協力いただいているんですよね。
今回は1on1に関してということで、普段とは違うお話が聞けるので楽しみです。
メンバーの課題解決のためには応援要請も
井上:
お二人は1on1のときに気を付けていることはありますか?
太田:
中身の話ではないところからになりますが、
メンバー全員月次で1on1する中で、その実施順序は意識しています。
1on1自体、そのメンバーの方のための時間であることは第一目的ですが、
やっぱり個人として、チームとして、パフォーマンスやエンゲージメントを高めることに繋がる時間になって欲しいと思っています。
そうすると、まず若手メンバーがどんなことで困っているのかを聞いて、一緒にケアしてほしいところがあるという場合は、後で1on1するベテランメンバーにも伝えてフォローしてもらっています。
内容は業務の直接的なお話もあれば、組織の中で誰かとネットワークを繋げるようなお話もあったり様々です。
高石:
それは私も同じです!
自分じゃ解決できなさそうな課題を抱えているメンバーがいるときには、上のマネージャーにどうしたら良さそうか相談することもあります。
井上:
1on1の内容について、お二人とも他の方とも連携して動かれているんですね。
太田:
もちろんプライバシーもあるので、
1on1の内容を気軽に他の人に共有することはできませんが、キャリアの延長線で、「○○の仕事について知りたい」という要望があれば、分かる方に繋がせてもらったりしています。
高石:
そうですね。
やっぱり自分の経験の範囲でしか選択肢を見せてあげられない、上司が天井になってしまうこともあると思います。
その人自身が成長を止めないのは大前提として、上司が一人でメンバーをケアしなければいけないわけではないという捉え方もありますよね。
井上:
なるほど。
確かに、1on1をする上司が全部を抱える必要はないですよね。
そのあたり、周囲のメンバーともうまく役割分担して取り組めるといいですね。
1on1のベースとなる信頼関係の築き方
高石:
1on1で難しいなと感じることで、お二人に聞いてみたいことがあります。
腹を割って本音で話ができる関係を築けていないと、表面的な会話で終わってしまうのではと思います。
まずは心理的安全を確保して信頼関係を築くのが大切だと思うのですが、心を開いてもらうために心掛けていることはありますか?
太田:
難しいですよね。
自分も初めに人間的な繋がりをしっかり作った上で、こちらから本音で話をしていくようにしているつもりではいます。
高石:
そうなんですね。
私は、まずは上司部下という構図を意識させない関係づくりがとにかく大事だと思っています。
積極的にこちらから自己開示をするように気を付けて、
「成長や、よりよいキャリアのためにお手伝いをさせてほしい」と伝えています。
太田:
いいですね。
私自身が上司に1on1で話を聞いてもらう場面では、心情理解や、それを受け止めてくれるようなコミュニケーションを大切にしていただいていると感じています。
それが「何でも話してよい場なんだ」という自分の気持ちや信頼に繋がっているように思うので、他の人も一緒とは一概には言えませんが、大事なことだなと。
それを踏まえると、「こうして欲しい」といったフィードバックは普段の1対1の業務ミーティングやチャットの中で取っていて、できるだけ1on1に持ち込みたくない気持ちでいます。
これもまた難しいんですが…。
井上:
普段の業務の中で伝えるべきことは伝えておき、1on1はそうではない場にするんですね。
高石:
メリハリを作るんですね。
私も普段から、「絶対的な味方です」というスタンスを心掛けていて、フィードバックのタイミングや伝え方もかなり気を付けています。
「今日こころの天気どんなかんじ?」みたいな
フランクなコミュニケーションで相手の様子を探って、どのような伝え方が良さそうか、もしかしたら自分ではない誰かに言ってもらったほうがいいかも、とか。
太田:
いいですね、こころの天気(笑)!
真面目な話をするのが気恥ずかしいというか、慣れていない方もいると思うので、そうした距離から段々と相手を理解していくかたちはとても参考になります。
井上:
信頼関係の構築には、単純に時間がかかる場合もありますよね。
そういう意味では、新入社員の皆さんとの面談は難しいなと普段から考えています。
普段新入社員の皆さんと面談する際には、
いいところをたくさん見出して、認める、受け入れる、などを心掛けています。
関係性が浅い相手にこそ「あなたのことが好きだよオーラ」を前面に出している気がします(笑)。
太田:
「あなたのことが好きだよオーラ」!いいですね!
高石:
あとはチーム内でお互いに、
「こんなことを期待してますよ」「こんな活躍をしてほしいと思っていますよ」と期待を伝えることが信頼関係の基盤を作るのかもしれないですね。
太田:
たしかに!相手に対する期待を明確にするというのは重要ですよね。
期待を明確にしようとすると、チームのゴール、向かいたいところ、大切にしたい価値観を言語化して共有することが大切にもなってきますね。
本人の志向と、自分やチームとの一致点を見出していくのも信頼関係に繋がってくるように思います。
業務上かかわりのない上司やメンバーとも1on1の機会を
井上:
LTSの1on1制度が始まって、もうすぐ2年になります。
社内でも様々な所感をいただいて、改善すべき点は多いなと思っていますがいかがでしょうか?
高石:
1on1をする上司が複数いるような環境のほうが、メンバーは嬉しいんじゃないかなと思います。
プロジェクトでたまたま同じになった上司の人としっくりこないなぁと思いながら、
自分からは言い出せないまま無理をしてしまい、1on1自体が嫌いになったりすることも…。
職種やプロジェクトなどの枠組み以外にも、いろんなつながりができたら理想的です。
いろんな人にいろんな話が聞けて、メンバーの選択肢も広がりますよね。
井上:
みなさんお忙しいので、一筋縄にはいかなそうな気もしますが、仕事以外のつながりといった人間関係の構築はとても重要なので、前向きに検討したいと思います。
「相手への愛に溢れた場」「自然体で臨める場」が理想
高石:
上司への遠慮はいらないですよ、というのはこの場を借りて声を大にして言いたいかもしれないです。
基本的に、上司は部下の話を聞きたいので、「これ言わないほうがいいかな?」というブレーキを踏む必要はないと思います。
そして、1on1は「上司とだけ…」という決まりはないので、ぜひいろんな人と話す機会を持ってほしいです。
太田:
今日こうしてお話を伺って「相手への愛」に溢れる場であるといいんだろうなと感じました。
そして、固定的な組合せの1on1だけではなく、もっと柔軟に捉えたやり方もあるなと気付かせていただきました。
あとは、途中のお話にありましたが、「直接的なサポートは、自分が知ってる範囲に規定されてしまう」という点、周囲を頼りつつも、同時に上司側であるその人自身の視座の高さとか学びの広さ・深さも大切になってくるな…と身が引き締まる思いでした。
そうなると、時間と気持ちの余裕はかなり重要だなと思いました。
井上:
つい「あれもこれも聞こう…」とか「あと残っている時間は…」と考え始めると、焦りが先行して、場として良くないものになりますよね。
太田:
そうですね。
何か話さなきゃとか、良いこと言わなきゃと考えると、うまくいかないことが多いので、今まさにこの瞬間もそうなんですが、自然体で「間」を含めて楽しめるといいですよね。
自然体で臨んで自然体で話ができる場だということが、LTSの組織カルチャーとしても理解されるといいなと考えています。
井上:
ありがとうございました。
ライター
自動車部品メーカーにて、グローバルで統一された品質管理の仕組みの構築・定着化を支援。産休・育休を経て、CLOVER Lightの立ち上げ、記事の企画・執筆を務める。現在、社内システム開発PJに携わりながら、アジャイル開発スクラムを勉強中。Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM)、アドバンスド認定スクラムマスター(A-CSM)、Outsystems Delivery Specialist保有。(2023年12月時点)